安部公房のレビュー一覧

  • 密会(新潮文庫)

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    いわゆるスリップストリームぽい小説で、話の流れとしてはおいおいどこ行くんだよと感じますが、随所の比喩はさすがの安部公房でファンなら楽しめる一冊だと思います。ファンじゃないならもっと先に読む本があるかな。

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    2015年08月22日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    話の筋は置いておくにしても、なかなかに理解が難しい作品だった。結末も救いがない。
    本筋とは外れるが、私は著者の日本語の使い方が非常に好きである。個人的には三島由紀夫よりも素晴らしいと思っている。

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    2015年07月26日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    ずいぶん前に安部公房はこんな前衛的な作品を書いていた。地下の核シェルター。巨大便器。ユープケッチャ。方舟に乗って逃げ出せるのは一体誰なのか。

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    2015年04月07日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    風刺とかそういうのが一番の魅力なんだろうけど、やっぱり登場人物が抑圧され続けるのが面白い。戦場の物理的な不快感や、自分の状況からくるどうしようもない絶望感とか、そういうのが何重にも押し潰そうとしてきて、でも何もできない。一番好きだったのは、死んだ娘が歌った…

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    2015年02月25日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    しんみりしたり、ゾッとしたり、少しミステリーだったり、いろいろ楽しめる短編です。
    やっぱり阿部公房は面白い!

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    2015年01月19日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    超久しぶりに読んだ安部公房。核戦争が起きるかもしれないと廃坑を船に見立てて立てこもる太った主人公と、それにまつわる人たちの微妙にへんちくりんなやり取りが延々と。核戦争、って辺りが時代を感じてやや古臭かったけど、へんちくりんなやり取りはいかにも。

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    2014年10月01日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    脳内宇宙です。
    いつも誰かに見張られているような視点があり、逃げたり、対峙したり、無視したり、囚われたり。
    脳内世界へようこそ。

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    2014年07月19日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    再読。
    初めて読んだのは10年くらい前で表題作の「無関係な死」以外は印象が薄かったのだけど、今回は他の作品もじわじわ楽しめた。
    特に面白かったのは複雑な構造のビルが登場する「賭」、盲目の恋に警鐘を鳴らす(鳴らしてないか)「人魚伝」、ボクサーの孤独な戦いを描いた「時の崖」、そしてもちろん表題作の「無関係な死」。

    安部公房さんの小説に私はいいように振り回されてしまう。
    モグラ叩きやらワニワニパニックやらのようにあっちかと思ったらこっち、その次の瞬間にはまた別のところにいる。
    その混乱が不思議と癖になる。
    短編は混乱の度合い(?)がちょうど良い気がする。
    これが長編になるとまた大変で、以前は読み切

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    2014年07月17日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    父親を名乗る男が奇怪な魚に生まれ変わり街が水中世界に変わっていく。青年が見慣れぬ植物になっていく。等々、阿部公房の傑作短編集。もちろん優れた文学なわけだが、まーぶっちゃけカフカのような世界観がマジキチw

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    2014年06月22日
  • 密会(新潮文庫)

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    なんともいえない破滅感のなかで脈略なきストーリーが進んでいく。失踪した妻を追うなかで出会う馬をはじめとした人々が主人公を崩壊させていく。
    エロスとユーモア散りばめられるが一寸先がわからない読み味により、何度も意識がとんでしまいそうになる。
    結末が気になり最後まで読ませてくれるが、本来は非常識が常識となる雰囲気を楽しむのがこの本の味わい方と考える。

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    2014年01月18日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    もし自分がもぐらだったら、乗組員なんて求めずに
    それこそユープケッチャのように閉鎖的に生きていくのになぁー
    なんて思ってしまった。
    そして、それはもぐらより排他的な考えなんだと気づいてへこんだ。

    ラストはもぐらにとってハッピーエンドだったのか。バッドエンドだったのか。
    まっすぐ立っているつもりが、いつのまにか地面がぐるっとひっくり返って
    逆立ちさせられてるような気分。
    女への尻叩きで表現される駆け引きの変態性がたまらない。

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    2013年09月23日
  • 密会(新潮文庫)

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    安倍公房による、1977年の長編小説。

    社会には催淫表象が遍在している。文化的・欺瞞的意匠を施していても、一皮剥けばそこには性的欲望の蠢きがその生々しい貌を出す。現代社会を駆動させているものは、およそすべて「性」に根源をもっているのであるかのように。

    "それにしても、べらぼうな音の氾濫だった。追従、怒り、不満、嘲笑、ほのめかし、ねたみ、ののしり・・・・・・そしてそれらのすべてにちょっぴりずつ滲み込んでいる猥褻さ。"

    人間は、その剥き出しの性的欲望、セックスの無間地獄に落ち込んでいくしかないのか。ところでいま「地獄」と表現したが、そもそもそれは本当に「地獄」だろう

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    2013年09月24日
  • 密会(新潮文庫)

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    安部公房の中では読みにくいタイプ。「箱男」タイプの一人称視点とレポートが混在する。謎の誘拐(?)事件から、病院への潜入、病院内での乱歩「パノラマ」的な性的な倒錯、偏執とまあ、ストーリー自体は追えるが、細かい描写に表現に頭がなかなか付いて行かない。とにかく、始終夜である。夜の倦怠と恐怖と魅力というものが、これ以上ないくらいに詰め込まれている作品。夢と性という視点から考えると、ユングかフロイトが下敷きになっているのかな。

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    2013年06月29日
  • 密会(新潮文庫)

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    どこまで地獄に続くだろうと期待しながら読み進め、やっと最後の2ページで地獄らしく切なくなった。
    安部公房の小説の構造は、何度も読み込まなければ味が染みてこないような気がする。

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    2013年02月08日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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     1967年初出だが、内容は極めて現在的。近年よく「生きづらさ」ということが言われるが、そんなものは今に始まったわけではないことがわかる。

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    2018年08月16日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    八方塞がりの現実のなかであがきもがいているわたしたちすべてのうちに、花井や矢根や森といった人間が現に住み着いていることを、わたしたちははっきりと知るべきだろう。(p268)

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    2012年07月02日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    描写が生き生きしていてすごくよかった。舞台やキャラクター設定、SF要素なども、安部さんらしさ満載。雪にまどろむ寂れた町、診療所を与えられない医者、の組み合わせがカフカの「城」を思い出させる。

    しかし、花井さんは骨の髄までしゃぶられっぱなしだったなぁ。同盟が空中分解くらいで済むのかなーと思ったら、予想以上にひどい結末だった。うーん。主人公二人の身の上が自分と重なってしまって、結構堪えた。

    どんな思想があっても、どんな努力をしても、現実は壁だらけでどう行っても回り道だらけで、結局目的地にはたどり着かないまま歩かされ続けるんだよなぁ。
    春が来て、窪地に落ちた小鳥の死骸が一瞬見せた可能性が切ない。

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    2012年06月03日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    閉ざされ沈む小地方都市の町花園。
    それ自体がまるで一つの巨大な病棟のような町の中で
    "ひもじい"と呼ばれ疎外されたよそ者たちが結成した飢餓同盟。
    地熱発電に託した若い彼らの野望は
    町に渦巻き、飲み込まれ、やがて崩れ去っていく。

    安部公房の著作にしては珍しく、登場人物・主人公に名前があってびっくり。
    「夢」を生け捕りにした様な
    シュールにシュールを塗り重ねた彼の多くの作品とは
    ちょっと趣向が違う作品でした。

    「医者」と「党」の、安部公房。
    こんなに現実に寄った作品は初めて。
    革命の思想から遠ざかって久しい世代の私には
    少し入りづらい読みかかりでした。

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    2012年05月09日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    探偵である主人公は依頼人の失踪した夫を探すが、いつの間にか誰を探しているのか分からなくなり自分自身をも見失っていく。読んでいて、重苦しく読後感は良くなかった。でもなぜか惹きつけられるところもある。さまざまな情報が錯綜する現代社会の中で、確固たる自分の世界を築いていくことのむずかしさ、というかそもそも自分の世界なんて築くことができるのか、そういった不安を感じた。

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    2012年03月02日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    おすすめされて読んだ本。
    どれも不気味で、不条理で、それが面白くもあり。
    全5篇の戯曲形式のお話。
    表題作の「友達」は侵入してくる家族の理不尽な親切心が
    とても不気味。彼らが話す言葉は一見正論。
    だからこそ反論する余地がなく、受け入れさせられてしまう。
    それは「棒になった男」内の「鞄」も同様。
    登場人物たちのココロの有り様、揺れ動きの様が
    いつかどこかで見たような、感じたようなことがあるのだろう。
    それが不快感に繋がっているのかな?

    「棒になった男」も何故突然に棒に??と疑問が付きまとう。
    推測するしかないのだけれども、だからこそ地獄の男の
    最後の台詞にゾクッとさせられた。

    「友達」「棒に

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    2012年02月18日