安部公房のレビュー一覧

  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    ノーベル文学賞にもっとも近かった作家
    安部公房さんの初読み「友達」ある日一人暮らしの男の部屋に見知らぬ男女9人の家族が押しかけて居座る。
    「棒になった男」ビル屋上から子供の目の前で
    飛び降りた中年男が棒もなり落下し男女の地獄調査官による検分を受ける。発想がぶっ飛んでいて不条理な戯曲は海外でも評価が高く米芸術科学アカデミー会員にも。



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    2021年02月23日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    療養中に書かれた安部公房の最後の作品。

    シュールレアリスム的であり、人生とは何かという自問自答が伝わってくる。

    夢の中の夢。

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    2021年01月16日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    ナショナリズムについて書かれた小説

    同じ思想を持つ仲間を選び抜くというのは、違う思想の人々を排除することでもある。

    ノアの方舟から着想、さくらは日本の象徴である。

    小説に登場するユープケッチャという昆虫は、他者と一切の接触をせず生きる閉じた虫であるが、人間は完全に閉じることはできない。

    ※ユープケッチャは船底のような腹を支点に回転しながら、自分自身の糞を食べると同時に糞をし続け生きる。日中は頭が常に太陽の方向を向き夜になると眠り、時計虫とも呼ばれる。

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    2021年01月16日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    安部公房 「 方舟さくら丸 」核シェルターを舞台とした近未来小説。

    仕掛け(著者が提示したアイテム)が多いので、いろいろな捉え方ができる

    著者にとって 人間の在るべき姿は、定着せず 移動し変化することであり、生きのびることより、最後まで 生の希望を持ち続けることであるというメッセージを感じた

    近未来への警鐘的なテーマ
    *自分の糞を餌として 移動せず 生きる虫(ユープケッチャ)と 便器にしゃがんだまま 旅を妄想する主人公を同一視している
    *核兵器や便器を リセットボタンのように描いているが、リセットされても悲観的な人間像しか出していない
    *生きのびるための切符配りやオリンピックの国家の出し

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    2020年09月20日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    ラジオ番組の脚本家である主人公の元に、火星人を名乗る人物が現れる。存在の不確かさを突きつけられる不気味な一冊。

    自分が地球生まれである証明はできず、ましてや他人が同族であることも証明不可能だ。
    出版年は昭和42年。戦争や政治的なムーブメントが巻き起こった時期に、他人への不信感が募っていたことの表れではなかろうか。

    今や、大きな経済の変動は見込めない安定した社会になっている。しかし、だからこそ価値観が多様になり、他人を同族と見なしにくくなりつつあると思う。
    筆者の測り得たことではないが、現代にも通じる側面があったと思う。

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    2020年08月13日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    難しい。。
    メッセージがあるとは思うがはっきり分からない。
    映画「マルホランドドライブ」を初めて見たとき以来の謎を感じている。

    全体を通して大量消費に基づく、資本主義への皮肉を描いているのか?

    第一景 鞄
    女と客が資本者で鞄は労働者のメタファーなのか?
    鞄の中身が虫だとしても殺虫剤で軽く殺そうとしている描写。虫は労働者の心、人格のメタファーで資本者にとっては取るに足りない、なんの哀れみもなく殺せる、むしろ嫌なモノ。ということを描いている?

    第二景 時の崖
    ボクサーはサラリーマンのメタファー、
    階級は社内の出世のメタファーと考えた。
    とすると、ボクサーがランクを上げる際に何人ものボクサーを

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    2020年07月25日
  • 密会(新潮文庫)

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    エログロの迷路。病院内の構造がどうなっているのか全然わからなかった(完全に作者の手のひらの上)。
    近未来的。
    安部公房の変態性をそのまま脳味噌から出してきた感じ。

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    2020年05月16日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    ネタバレ

    妻の立場だったなら、「顔だけが変わったからって、あなただって気付かない訳ないでしょう」と思う。骨格、肉付き、爪の形、仕草だって、「あなた」だって気付かせるに十分すぎるくらいだと思うから。けれど人って、失われたと思うものに程執着するし、「顔」って常に外界に向けて公開されてしまうものだから、主人公がここまで執着して苦悩してしまうのも無理がないし私もそうなると思う。妻も主人公の悲しみ苛立ちを受け止めようと、また一部道徳的な自己戒律から仮面をかぶって暮らしていたんだと思う。その全てが見えなくなるほどに苦しんだ主人公を非難はできないけれど、妻からすれば、私の気持ちをくもうともせず自分のことばかり憐れんで

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    2020年05月14日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読んでいて、段々訳が分からないものに足元を掬われる思いがしてきた。

    人間そっくりだと言う、火星人を名乗る男と、放送作家の男の会話で物語は進んでいく……が。
    火星人を名乗る男の目的が全く分からない。分からないのに、それを回避してひたすら喋っている。作中で本人も言っていたが、大きな嘘を隠すために小さな嘘を沢山ついている。だから、何が本当か分からない。

    最後の最後まで、訳が分からない。
    放送作家は、自分が段々何者か分からなくなっていったと思うが……
    以前、カンガルー・ノートを読んだ時も、何が現実で、何がそうじゃないのかが分からなくなってきたみたいな感想を書いたが、今回もそんな感じだった。

    これ

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    2020年05月10日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    中学生の頃砂の女を読んでから触れてこなかった安部公房。
    もう一度読みたくて手に取った。
    変形の記憶と鉛の卵が好き。
    物とか動物を人間と同列に語るのは好きだな。

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    2020年04月12日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    ネタバレ

    高校生以来の安部公房。 内容よりもまず、文体と構成、言葉選びがかっこよすぎる。「物語」としての強度は言わずもがな、その独自の「形式」の圧倒的なセンス。ラインを引きながら読んでいたのだけれど、引く箇所があり過ぎた。 特に後半にかけてのスピード感と陶酔感、そして虚無感が素晴らしい。全編に散りばめられたブラック通り越した底が見えない、あの便器のように暗い黒いユーモア。

    閉ざされた巨大空間、方舟、=王国。自らの「排他性」を他者の介入により自覚していく主人公=モグラ。外の世界では「棄民」とされ、またそれを自覚して強度を増す「ほうき隊」と呼ばれる老人男性集団の躁状態。
    「統治」する快感と「統治」される

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    2020年04月07日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    ネタバレ

    安部公房にはまりました。顔を通して人間を認識する主人公と、そうではない主人公の妻ということでしょうか。最後の妻の手紙を読むと、全てはただの被害妄想による独りよがりの空回りだったのかなとも思ってしまった。顔というアイデンティティの存在意義とは。。

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    2020年03月29日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    ダイダイ色の月が笑いながら追いかけてくる。恐怖の極限のイメージ。

    安部文学の秘密に迫る17の「夢」絵巻。

    禁じ手「夢の記録」が示す異世界は、あり得ないほど遠く、心落ち着くほど親近感湧くクリエイティブ。

    船上でのサバイバルを描く『自己犠牲』が大好き。

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    2020年03月28日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    ネタバレ

    こんなに不気味な喜劇があるのか

    起こっていることを羅列するならばひどく喜劇的、あるいは滑稽である
    しかし、どのエピソードも言葉では説明し難い不気味さを有している

    ひたすら現実逃避し続けている”もぐら”
    しかし、本人にとってはそれこそが現実であるという奇妙なコントラスト

    そして、ひどく世俗的な理由から方舟に乗り込む3人

    さらに、もぐらと一方では類似的な、”ほうき隊”の登場

    僕たちはただ、大きな物語の中で生きているだけなのかもしれない

    さらには選民と棄民のアイディアも秀逸

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    2020年03月15日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    これも面白かった。

    特に好きなのは、
    『R62号の発明』と『人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち』。

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    2020年03月07日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『夢の兵士』
    詩的。
    『使者』
    安部公房らしさは、少しはあるが、発想とかの点で、あまり面白くない。
    『賭』
    安部公房らしい発想と内容で面白かった。
    『なわ』
    戦後文学ぽく、面白かった。
    小島秀夫が、ゲーム『デスストランディング』で引用していた言葉が、最後に出て来たが、この短編『なわ』で使われていた"なわ"の使い方は残酷だった。
    『無関係な死』
    誰もが考えそうな、家に帰ってみると見ず知らずの他人が死んでいたという設定で、安部公房らしい話が続く。
    『人魚伝』
    人魚への純愛を描く。
    結末は、何とも面白かった。


    〈感想〉
    いかにも戦後文学というのを味わえた。

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    2020年04月24日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    ネタバレ

    阿波環状線の話が面白かった。
    イメージのない認識のみの夢...
    この発想が安部公房のすごいところなのかな?

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    2019年06月01日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    読書会で紹介された本です。
    こちらの表紙は「デンドロカカリヤ」っぽいですが、読んだ本の表紙は「水中都市」っぽいので古いバージョンなのかな。
    面白かったです。
    「デンドロカカリヤ」「手」「詩人の生涯」「水中都市」が好きでした。
    人が植物や魚になったり、世界が凍りついたり水中に沈んだりする、不思議な世界が楽しかったです。水中都市で空中を泳いでみたいです。魚は怖いけど。
    「闖入者」はとてもブラックで怖かったです。結末が辛い。
    安部公房は寓意があるのかどうかよく分からないですが、このよく分からない感じを楽しむので良いのかなと思います。
    解説がドナルド・キーンさんでした。読者に私なりの「解釈」を押し付け

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    2019年03月09日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    R62号に続いてこれを読んで気付いたのは、自分は小説にストーリーを欲しているということ。表現だったり文章力だったり、とにかくもの凄い作品だってのは伝わるんだけど、好みかどうかと言われると微妙なところで……。
    分かりやすく起承転結が整っている作品ばかりを好んで読んできたから、この手の小説は噛み砕きにくい、だからこそあごの力がつくんじゃねえかなというもくろみ。あえて好みを上げるとしたら「使者」「賭」「なわ」の3つ。短編だけじゃなく長編にも挑戦してみたいところだけど……どうしようかな。

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    2018年06月15日
  • 壁(新潮文庫)

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    本書は『砂の女』で知られる安部公房の芥川賞受賞作。

    ある日、名前を失ってしまったことで、
    社会の外に放り出されることになった主人公。
    その世界は奇妙さを増していき、
    ある意味で支離滅裂な夢のようなイビツなものとなっていく表題作の『壁』と、
    他、二章からなる作品です。

    非現実的なタイプの小説です。
    現実性からかなり高くジャンプしています。
    そこには、現実性の強い重力から逃れながらも、
    現実性から逃れたがゆえの、
    孤独による、よるべなさのようなものがあります。
    しかし、その世界観といい、文体といい、
    何故かとても心地よくもあるのです。

    その幻想世界にある、現実社会を照らすするどい寓意。
    それ

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    2025年07月14日