安部公房のレビュー一覧

  • 砂の女(新潮文庫)
    ハードル高いと思っていたのですがサラサラッと読めました(砂だけに)ただし、作品の意味する所までは読み取れてなかった気もします。日常生活のふとした時に砂の女の描写を思い出してしまいそう。それだけ影響力は大。面白かったです!
  • 密会(新潮文庫)
    愛と快楽にまみれた出口のない現代人の地獄…
    虚無感、喪失感、絶望…なんとも言い難い感情を味わった。
    馬人間、女秘書、溶骨症の少女、奇怪な人物を通して描かれる。
    やはり安部公房先生の作品は衝撃的です。

    ⚫︎良き医者は良き患者

    ⚫︎動物の歴史が進化の歴史ならば、
    人間の歴史は逆進化の歴史

    ⚫︎明日...続きを読む
  • 砂の女(新潮文庫)
    人間の"慣れ"という本能の極致へ誘う強烈物語。

    小説でここまで鮮明な描写が浮かぶのか、
    この物語は何を伝えているのか、と文学デビュー戦ながらに素敵な経験を与えてくれた思い出の一冊。
  • 砂の女(新潮文庫)
    騙されて砂の底に閉じ込められた主人公は、食べ物を得るために毎日砂を掻き出さなければならなくなった。
    この「砂」というものの解釈が重要なわけだ。
    毎日降り積もり、放置すれば家も自分も滅してしまう。つまりこの「砂」というものは、人間が日々やらなければならない「役目」のことだとわかるわけ。
    しかし安部公房...続きを読む
  • 人間そっくり(新潮文庫)
    本での中で過ぎている時間よりも、読んでいる時間のほうが長くて不思議な感覚になった。そのせいなのかは分からないが徐々に洗脳のようにいわゆるトポロジー症候群にかかっていく様がリアルすぎた。自分もなってるような気持ちになった。本の中でリアルと寓話が混じっていく過程で、本の中と現実の中も混ざっていく気がした...続きを読む
  • 砂の女(新潮文庫)
    想像力がたっぷり効いた小説は、読み終わって元気をもらうとか、悲しく切ない気持ちになるとか、そういう感情の軸を選べない、複数の感情が混沌とした心持ちになるものである。安部公房の小説を読んだのはこれが初めてであったが、村上春樹や江戸川乱歩の幻想ものに対して、全体的に角張ったような印象を受けた。それでも安...続きを読む
  • 壁(新潮文庫)
    第一部「S・カマル氏の犯罪」と第二部「バベルの塔の狸」を読んだとき、まるでピカソの絵のようだと思った。どこまでもどこまでも突き進む想像力が紡ぐ奇々怪々な世界。その「なんじゃこりゃ」と叫びたくなるような世界は、ピカソの絵がそうであったように、演繹という論理的な思考の展開によって極めて理性的に導出されて...続きを読む
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)
    最高。
    通常の世界からだんだん夢の中を歩いている気分になる。自分は誰なのか、むしろ自分が追い求めていた人物かもしれないし自分はその弟かもしれない。ファイトクラブのような気もしつつ、ただ人を探す行為に疲れた精神錯乱かもしれない。それを風刺として利用したのかそれとも夢の世界に引き摺り込みたいのか。安部公...続きを読む
  • 砂の女(新潮文庫)
    砂の生活への充足感も徐々に高まり、溜水装置という武器をも手に入れた男には、もはや罰などない。罰がなければ、逃げる楽しみもないのである。

    創造力に長け、それでいて正確な比喩によって、じめじめとした砂が皮膚にまとわりつく感覚は忘がたい。
  • 箱男(新潮文庫)
    「箱男」という一方的に見続ける存在。
    私は箱男になりたいと思った。人に見られずに人を見れるなんて、そんなに愉しいことはないように思う。
    だが、「箱男」は人間という立場を放棄しているからこそ誰にも見られない訳だし、決してノーリスクではないのを鑑みると悩ましいところではある。

    著者はそんな「箱男」とい...続きを読む
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)
    初めての阿部公房。読んではいないが映画やその他の情報からの「砂の女」の暗くて重いイメージで読む気になれなかった。しかしそのイメージ撤回。複雑で深く、喜劇的でもあっておもしろかった。世界が滅びても自分は生き延びるってどういうことだろう。
  • 第四間氷期(新潮文庫)
     非常にショッキングな作品だ。予言機械が映し出す過酷なまでの未来、その未来を前提として、海底開発協会のメンバーは行動する。「現在」では罰せられるべき犯罪を犯してまで。しかし、勝見がそれらを糾弾すると、彼らは未来の論理を使ってそれらの行為を正当化していき、次第に勝見の方が言葉を失っていく。自分の子供を...続きを読む
  • 密会(新潮文庫)
     いやー、安部公房の作品の中でよもやこんなに理解できないとは。自分の感性が死んだのかと不安になる。
     ただ巻末の解説をよみ、「うわー!さすが安部先生!」となった。この小説は、分かりやすくてはいかん、順序立ててはだめなのだ。

     まず時系列が掴みにくい。「今」か回想かの境が判別しにくく、全部読んでも半...続きを読む
  • 箱男(新潮文庫)
    何が言いたいのか全然わかんなかった。
    でも分かりたい。
    2年前読んだ時の鮮明な気持ち忘れちゃった。
    もう1回読みたい。
  • 壁(新潮文庫)
    私には安部公房さんは難しいです
    解説してる人も少なく、解説すら難しくて
    少し残念でした。
    しかし、設定はすごく面白くて
    意味わからないはずなのに飽きずに読める本です。
    設定は全く現実味がないはずなのに
    現実に起きたかのように主人公や私の心情を
    繊細に動かしてくれます。
    バベルの塔の狸という章で
    本当...続きを読む
  • 箱男(新潮文庫)
    迷路という言葉が最後のほうに出てくるけれど、まさにその様な作品でした。魔法陣の様な。この世ならぬものを召喚するための。その接続点である様な。ちょうどローリング ストーンズに親しもうと思い始めた時に読み終えて、シンパシー フォー デビルス、山羊の頭のスープ、という魔術的かつアーシーな呪句めいた文言やグ...続きを読む
  • 壁(新潮文庫)
    登場する主人公はどれも、日常から非日常に放り出される。
    次から次へと変化するめまぐるしい展開を漫然と楽しむのもおもしろいし、作者の展開する非日常の論理を考察するのもおもしろい。
    ぼく→彼→ぼくの変化はどうにも難解だった。
  • 他人の顔(新潮文庫)
    現代(令和)におけるVtuberとかにも応用できる、予見してるなぁとか思った。

    自分の行動の動機や選びとる選択、何に起因し何に向けてるのか、日々の自分を内省せざるをえなかった。
  • 壁(新潮文庫)
    魔法のチョークが好きです。

    あと人間がみんな水になる話も好き。

    不思議な文章ですね、世代がものすごく違うのに、描かれている物語は現代にも通じるような、不条理で不思議で、自然の摂理に反しており、概念がそのまま文章化されているような…主人公が壁になる理由はなんだったんだろう…とか、ある名前が消失して...続きを読む
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)
    大学4年生だったかな。まぁ、十何年も前のこと。ちょっとお手伝いしてたバイトのマスターが、好きな本なのだと、いくつか本を下さって、そこに安部公房の砂の女があった。それまでは、高校の教科書で赤い繭が載ってて、奇妙で怖い感じの話を書く人くらいの印象だったのだけど、

    そこからどハマりして、いくつか呼んだ記...続きを読む