安部公房のレビュー一覧

  • 壁(新潮文庫)

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    シュールレアリスム的小説でカフカと似たる作風。
    読者によって作品イメージが異なるであろう。
    安部公房は繰り広げる世界観は狭いけれど、そこには想像を掻き立てる仕掛けがあり飽きさせない。
    安部公房満載の作品である。

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    2025年09月13日
  • 壁(新潮文庫)

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    この頃の作品が好き。
    抽象化と具体化に富んでいて、まるでモジュールが組み込まれてるのかというような試みが感じられる。
    プログラミングされてるのか?と思うくらい発明家っぽいこの頃の作品達はとてもよい。

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    2025年09月08日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    すべてわかったわけではないが、とにかく好きだった
    一緒に夢を見ているようだった、楽しい、面白い、悲しい

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    2025年09月02日
  • 箱男(新潮文庫)

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    ずっと面白いが、正直言って全体としては意味不明。
    以下はなんとか整合をつけようとしたもの。覗くという行為は世界の中の対象に価値づけをすることであり、そうして初めて世間は成立する。つまり、覗かれることなしには世間、ましてや時空間が成立しない。一方、そのような視線で覗かれることは嫌悪を惹起するものでもある。覗かれることなく覗くだけの箱男はその意味で人間とは隔絶した存在である。そのため、彼らにとって対象は等価値あるいは一様に無価値なものであり、角が取れたものに映る。彼らの価値は箱の中の手近なものにかぎられている。しかし、覗かれるためであるとも思われる裸をもつ「女」に対しては、箱男は覗かれることに嫌悪

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    2025年08月28日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読んでいると、体をはたきたくなるような
    口の中までジャリジャリしてくるような感覚。
    蟻地獄に落っこちたアリの気分
    掻いても掻いてもさらさら埋まって戻っていく
    砂の怖さ。
    ずっと夢の中で走っているみたいな感覚。

    理不尽としか言いようがない話だけど、
    抵抗しても無駄なんだと悟ったら…
    この生活も悪くないと思ってしまったら…
    怖すぎでした。

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    2025年07月28日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    やはり安倍公房の小説は面白い。
    分かるような分からないような不思議な雰囲気も好きだし、人物描写が唯一無二でめっちゃ好き

    安倍公房の小説は読めば読むほど、どんどん読みたくなる

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    2025年07月07日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    あー天才だなぁ〜
    最初は何言ってるん?なんの話?
    ってなるんやけど最後はのめり込み過ぎて
    私も頭がおかしくなる。
    読み終わっても結構引きずる
    読むドラッグって感じです。
    登場人物はほぼ2人
    ずーっと喋ってるだけの話
    なのになぜこんなに面白いのか。

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    2025年06月30日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    やっぱり凄い作家なんだな。
    いま、こんな作品を発表する人はいないよね(この作風を求める読者って減ったのかな)。
    ほとんど会話しかないのに独特な雰囲気があって、状況がコロコロ変わる。事実と妄想の違いが分からなくなっていく。
    観念操作のマジックというよりは安部文学独特のロジック展開なんだろうな。

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    2025年05月20日
  • 箱男(新潮文庫)

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    7年ほど前に読んで再読。まったく覚えてなかった。
    プロットのしっかりしたストーリーではなく、後半にかけてどんどん崩れていく。前衛的。
    感想が難しいけど、とても面白かった。箱男と同じ年に出版されたのが、重力の虹であることに驚いた。

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    2025年05月09日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    SFマガジン1966年9月号から3回に分けて連載。2か月後の67年1月に「日本SFシリーズ」の1冊として刊行され、71年5月には「世界SF全集」に収録。この迅速さから、早川の編集長(福島正実)の力の入れようがわかろうというもの。
    人間そっくりの火星人。見かけが人間と同じだというのに、火星人であることをどう証明するのか、あるいは人間でないことをどう証明するのか。火星人を名乗るセールスマンと放送作家の問答が、団地の1室で繰り広げられる。堂々めぐりの会話がみごと。そしてどんでん返し、そのどんでん返しもまたひっくり返される。巧いとしか言いようがない。
    新潮文庫版の解説は福島正実。作品を解説せずに、安部

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    2025年05月06日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    1954年刊の書き下ろし。北日本の山あいの町で繰り広げられるドタバタ劇。山師と地熱発電、革命を目論む秘密結社、政治家どうしの利権争い……戦後数年経ったばかりの頃の地方の町なら、ありえたかもしれない。
    登場人物はみな個性的、総勢25名のキャスト。紆余曲折の展開があるので、日曜劇場のような連ドラに仕立てたら、けっこういけるかも。
    通俗小説のように書いてみるという作者の「実験」のようにも感じられる。哲学・文学・思想のニオイがないのもいい。もちろん、筋書きは緻密に計算されていて、細部ではいつもの安部公房らしさが顔を出す。たとえばギニョール人形劇が登場し(いわば劇中劇)、そこではシュールな展開があったり

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    2025年05月06日
  • 箱男(新潮文庫)

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    読み終わるのに時間が掛かったけどすっっごかった。

    虚実が入り乱れるし、かなり観念的なんだけど、ぐいぐい引き込まれながら読んだ。

    何にも縛られない、本当の意味での自由を求めると外に開くのではなく、内に篭もり孤独を選ぶしか無いというやるせなさ。

    箱男は浮浪者と違い、社会から離脱した(自ら社会を捨てた)存在であり、社会動物ではない。
    つまり人間では無いのに、社会を見つめ続けたいという欲求だけは捨てられないアンバランスさが苦しかった。
    学校にも行きたくないし、遊びに行く気にもならないし、誰にも指図されたくないし、誰とも話したくないけど学校で何が起きたかは知りたいし流行も知りたいからTwitter

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    2025年04月30日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    ネタバレ

    4/6 他人の顔 阿部公房
    強い女性の手のひらで転がされる男という構図が大好きなので本作も大好物。男性のあらゆる努力を水泡に帰す最後の手紙は鳥肌もの。素晴らしい。最後の事件は自暴自棄の結果なのか。

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    2025年04月06日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    面白かった。安部公房の中では比較的理解しやすい内容だったのでは。主人公の肥満男モグラは核戦争に備えた方舟を作り、ノアさながら乗船させる人間を選別していく。
    肥満男のモグラのせいで昆虫屋がかたまりに思えてしまい、ずっと空気階段のコントを見てるような気持ちになってしまった。

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    2025年03月27日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ある著名人が言っていた作品で、興味はあったが今ではないと思っていた。しかし本屋に行ったら、光を差しており思わず買ってしまった。余談でした。

    本作は砂の女というタイトルの通り、砂の女と男の物語であり、比喩表現や物語の構成などさすがであった。また、どっぷり浸かってしまい、口の中や喉の表現があれば無意識に、自分の口を探ってしまう。ジャリジャリとした食感も伝わってくるそんな作品でした。

    正直なところ、未熟なのでこの本が伝えるメッセージはあまり掴めなかったです。

    2025/12/10追記
    心理学でいう学習性無気力(ストレス)の状況に似ていると思った

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    2025年12月10日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    読み始めと、途中と、読み終わってからとでは
    印象が違って、すごく疲れた
    そしてもう一度読みたくなった
    顔が仕事上の事故でケロイド状になってしまった主人公
    妻から拒否されていると悲観する
    そこから始まった計画
    完璧な仮面を作り、それを被ることによって
    仮面に乗っ取られていく
    それははたして他人なのか?
    そして妻への計画は成功するのか?

    主人公がみた映画の内容がまたなんともいえず
    主人公と重なり、さらに切なさを重ねる
    主人公も妻も、不器用で、人間らしく
    いじらしい

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    2025年02月16日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    おもしろい!と思ったり
    訳がわからない!と思ったり
    おとぎばなしを聞いている気分になったり
    ひとつひとつが笑えたと思ったその次には
    背筋がゾワ〜と恐怖を感じたり
    やっぱりおもしろいのでしょうね
    不思議な世界の中にも
    素敵な文章の数々
    次にあげる表現は雪に囲まれた冬の今だから、
    なおさら心に響いて残っています。素敵な表現!

    「そしてそれらの雪の上に、また新しい雪が重なり、町の表面はなだらかな雪の曲線に覆われてしまって、数日の後、もしくは数時間の後、不意に映写機の歯車に故障がおきたかのように、街全体がぴったりと動かなくなっていた」

    「本当の春が近づいていたのだ‥
     ある日、雲の割目から、太陽が

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    2025年02月13日
  • 死に急ぐ鯨たち・もぐら日記(新潮文庫)

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    安部公房の数少ない評論集。長らく入手困難だったが、装いも新たに重版され、再び日の目を見ることとなった。そして旧版から引き続き、養老先生が解説を書いている。養老先生は昔NHKで安部公房と対談したことがあり、「私(=養老)が小説を書き、安部氏が研究室で実験をするべきだという結論になった」という。そのエピソードとともに、彼の文章を「理科的」と評している。

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    2025年02月11日
  • 箱男(新潮文庫)

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    東京の映画館でポスター 安部公房だよと教わる 年末年始 3冊貸してくれた中で1番読みにくいと聞いてあとまわし 読んでみると進む進む 今まで借りた本の中で今何ページ読めたかなーって気にすることが1番なかった本だった 1週間ちょっとのきゅーばんだけで読み終ったのでは? 映画も観てみたかったという気持ちと映画を観る前に読めてよかったという気持ち 既にNetflix配信されていることを帰宅後知りKAZUMAに思いを馳せる 砂の女以来安部公房 まだ2冊目だけど相変わらずの面白さにびっくりするゆいちゃまであった

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    2025年02月06日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    主人公の行動一つ一つが世界の不幸と照らし合わせて合理化しているのが怖い。けれどその言葉が一瞬一理あると見せてるのがさらに恐怖心を煽る。
    原爆の件も自分は原爆経験者の彼女のように顔や心を傷つけられ白鳥のように飛び立った気になってる、他人の顔して演じたゆえに裏切られただけなのに飛躍してひたすらみんなの同情と喝采が欲しいゆえに複雑に空回りながらそうだと言わせようとしている。
    しかし、どんな顔してもしたらダメなこともあるって気付かされた。

    この本を読むに辺り、少し前の友人の言葉を思い出した。
    「人間は物事を簡潔に導く」
    けれどその中は深淵で顔もなくてでも複雑。簡単に導き出した逃げのようなもの、或いは

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    2025年02月05日