安部公房のレビュー一覧

  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    性の威力
    便器を中心に生活する滑稽さ
    対しユープケッチャは自分のフンで生きる
    人は大きな流れのユープケッチャとも言えるし正反対とも言える
    政治的な側面や民主主義に関する疑問提唱でもあり、核戦争に対する皮肉でもある。自分が作った王国を危機に瀕死させて自分が脱出する。
    そして、サクラ。サクラを題名に使い、それをわざと説明する安部公房は読者に対して何を言いたかったのか。
    人は皆ある種のサクラであると伝えながら、サクラでいることも美しさの一つなのかもしれないと思わせた。

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    2024年10月05日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    ネタバレ

    こちらはブクロクに登録していない一冊です。
    平成13年まではエクセルに書籍を整理(現在も)していました。そちらまでこちらに移すことは出来ず。

    コンピュータが予測した全世界が水没した未来の世界で、呼吸のできない水上に出て自死をする私たちの子孫の描写の美しさと切なさに涙した若い自分を忘れたくはないです。

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    2024年09月23日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    学生時代に読んだ本を再読。
    父に薦められて読み、SF好きになり、読書習慣が付くことになった思い出深い本である。
    予言機械、水棲生物の存在は常識から大きく外れている。
    その異常さ、不気味さに起因しているのだろうか、読み進めるにつれて主人公の世界自体が現実から剥離していく様な感覚に陥る。
    未来の残酷さを受け入れるか否かが、この本の主題となっているが、楽観主義の私は本編の未来はまだ良いように感じた。
    現実では、今まさに起きている戦争ですぐ近くの国が核を撃つかもしれない。
    それを起点とし、人類が滅ぶ事もあり得る。
    そんな未来が無いと言い切れるだろうか。

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    2024年09月16日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    ネタバレ

    久し振りの安部公房。いつも意味不明という感想で終わりがちの安部公房であるが、比較的わかりやすい主題で惹き込まれる。未来予知装置により、陸地がなくなることを知った陸棲人が水棲人を産み出す物語。予測装置を作り出した博士は予測装置による未来を信じられないことを理由に予測装置自体に殺されてしまう。

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    2024年09月13日
  • 密会(新潮文庫)

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    人間の歴史は逆進化の歴史。
    発情の衰退(進化とも言える)と、嘘と本当と、記録と(時には嘘がある明日の新聞)、また見る見られるの不思議な関係、そして盗聴ポルノテープ。
    何をしても明日には死んでる自分、手淫という行為という1人だけの密会。
    イカれた現代の性。をさらに進めた密会の中。
    全員が病気でこの世界は病院。いつのまにか僕も病人、このイカれた性の世界に取り込まれた。
    夢の話のようで精神病のようでどこかで自分との親近も感じるストーリー。すごい。

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    2024年09月08日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    けものたちは故郷をめざす
    著:安部 公房
    新潮文庫 あ-4-3

    ヤマザキマリの「国境のない生き方」にお薦めがあったので、一読させていただきました

    逃げ遅れた日本人久木久三と、日系中国人高との、満州からの逃避行

    八路軍を巻くように、都市を避ける南下路
    眠ることすら難しい凍土の旅程
    野犬、狼がうろうろとする、身を隠すことができない原野
    氷はあるが、水を飲むことがなかなか許されない
    ピストルをもち、なかば脅されながら進む
    疲労困憊でわずかな坂を上ることすら時間がかかってしまう

    敵とも味方とも分からない連れにも神経を研ぎ澄ませ、久三の生への挑戦が続く

    凍傷でボロボロとなる皮膚、パンをもうけつけなくなった胃や、どす黒い血、極限の状態でたよるものは自分ただひとりである

    目次

    第1章 錆びた鉄路
    第2章 旗
    第3章 罠
    第4章 扉

    ISBN:9784101121031
    出版社:新潮社
    判型:文庫
    ページ数:320ページ
    定価:670円(本体)
    1970年05月25日発行
    2018年02月15日23刷改版
    2024年02月20日27刷

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    2024年07月08日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    自らのことを火星人だと言い張る訪問者。対話を通じていく中で、寓話と現実の境が曖昧になってゆく。物語の立て付けやパーツによる定義を超えた、物語の現実との連続性の中での寓話性によって読者の現実を揺るがす手法がSFの真髄を体現していた。

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    2024年05月06日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    本屋をぶらっと見ていたら何と新刊に安部公房が!!!一番好きな作家と言っていいくらいに好きなのでとても感激!

    未完ながら、この精緻で堅牢な構造物のようにかっちりとした文章は正に安部公房。飛ぶ男というのも安部公房らしい。最初未完と知らずに読み始めたので、途中から文字が欠けていたので印刷ミス?と一瞬思ったがそうではなかったみたい。あの微妙な空白は何の空白なんだろうか?

    とはいえしっかり安部公房の世界を感じれてよかった。「さまざまな父」も同じモチーフのようなのでこれらがひとつの作品として纏まればかなり面白い作品になるだろうな、と空想するのもまた楽しい。

    安部公房、また全部読み直そうかな、と思って家にある新潮文庫をみたら字が小さくてちょっと辛い…(まだカバーの背中も今の銀じゃなくて青いやつ)落ち着いて読めるように書い直そうかな…

    安部公房を全部読んだ人は是非!そうでない方はまずは他の完成作品から読むことをお勧めします。

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    2024年05月04日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    現代の寓話とも言うべき短編集。主人公らは人間から変態したり、そもそも人間ではない存在を描いており、その中に著者のユーモアがふんだんに散りばめられている。不条理な展開に振り回されつつも、その中にある様で存在しない大きなメッセージを感ずるだろう。

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    2024年04月25日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    かいわれ大根から始まる旅。
    テンポ良くて、読みやすい。
    死が其処此処に配置されているけれども、暗くない。

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    2024年04月21日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    未来とは天国か地獄か。科学技術によって人間を取り巻く環境は大きく変化し、その新しい自然によって人間自体も大きく変容してゆく。未来の価値を図る尺度は現在の側にはなく、善悪の彼岸すら大きく捩れてゆく。これはある種のSFが未来を通して現在の人間社会を描くという試みを、未来予知機械をSFと見立ててそれによる変化をメタ的に捉えて描いている。SFミステリーのような導入から最期は幻想小説にまで変化してゆくジャンルレスな作品。

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    2024年04月17日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    文学的挑戦に富んだ短編集。文学を解体して、再構築しているような難解さがありつつも、エンタメ小説としても全く古びない力強さと、奇妙でじっとりとしていてニヒルな感触が印象的だった。

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    2024年03月26日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    シュールの極みだった。世界観を楽しむ作品という気がする。あれこれ考えても全く訳がわからないけど、テンポがよくてリズム感もあって読みにくくはなかった。笑い転げるほど面白い場面もあるし、語り口調のおもしろいところもなんかかわいらしいところもあった。景色は暗いのだけども、どんよりとした気持ちになる作品ではなかった。

    安部公房は初めて読んだけれど、癖になりそう。

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    2024年03月19日
  • 密会(新潮文庫)

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    愛と快楽にまみれた出口のない現代人の地獄…
    虚無感、喪失感、絶望…なんとも言い難い感情を味わった。
    馬人間、女秘書、溶骨症の少女、奇怪な人物を通して描かれる。
    やはり安部公房先生の作品は衝撃的です。

    ⚫︎良き医者は良き患者

    ⚫︎動物の歴史が進化の歴史ならば、
    人間の歴史は逆進化の歴史

    ⚫︎明日の新聞に先を越され、ぼくは明日という過去の中で、何度も確実に死に続ける。やさしい一人だけの密会を抱きしめて…

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    2024年01月06日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    本での中で過ぎている時間よりも、読んでいる時間のほうが長くて不思議な感覚になった。そのせいなのかは分からないが徐々に洗脳のようにいわゆるトポロジー症候群にかかっていく様がリアルすぎた。自分もなってるような気持ちになった。本の中でリアルと寓話が混じっていく過程で、本の中と現実の中も混ざっていく気がしたから感情移入出来るのかもしれない。すごく面白かった。

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    2024年05月03日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    最高。
    通常の世界からだんだん夢の中を歩いている気分になる。自分は誰なのか、むしろ自分が追い求めていた人物かもしれないし自分はその弟かもしれない。ファイトクラブのような気もしつつ、ただ人を探す行為に疲れた精神錯乱かもしれない。それを風刺として利用したのかそれとも夢の世界に引き摺り込みたいのか。安部公房だった。

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    2023年11月02日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    初めての阿部公房。読んではいないが映画やその他の情報からの「砂の女」の暗くて重いイメージで読む気になれなかった。しかしそのイメージ撤回。複雑で深く、喜劇的でもあっておもしろかった。世界が滅びても自分は生き延びるってどういうことだろう。

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    2023年10月06日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    ネタバレ

     非常にショッキングな作品だ。予言機械が映し出す過酷なまでの未来、その未来を前提として、海底開発協会のメンバーは行動する。「現在」では罰せられるべき犯罪を犯してまで。しかし、勝見がそれらを糾弾すると、彼らは未来の論理を使ってそれらの行為を正当化していき、次第に勝見の方が言葉を失っていく。自分の子供を、水棲人という「片輪の奴隷」にされたにもかかわらず。この作品は、私のよく見る悪夢を想起させる。内容は忘れるのだが、冷や汗がたらたら出てくる悪夢だ。目の前で起こっていることに対して、何か叫ぼうとしても、声が出ない、届かない。出来事を眺めるしかできない無力の状態になってしまう。勝見も頼木達の論理に完璧に打ちのめされて、言葉が出ない。妻の胎児を中絶させられ、自分自身もこれから殺されるというのに、叫ぼうにも、それが声となって空気を震えさせることができないのだ。
     私は、未来にどうしても耐えられない。そこで、まず勝見と同じく、「予言機械」の正当性を考えてしまう。誤差のない予測(シミュレーション)なんて、ナンセンスだし、予言を知った場合の行動をn次予言値としてカバーしているかのように見えるが、2次予言にしたって、誰が・いつ・どこで・どのような状況で、1次予言を知ったかによって変わるべきで、それを刻々と計算していると、時間が足りないはずだ。しかも、作品中に出てくる二次予言値も相当妙な存在である。単なる予言で人格などない、と言いつつ、勝見を殺す段になって「私だってつらい」と感情を滲ませるのだ。また、勝見がいくら予言を鵜呑みにしては危険だと叫んでも、海底開発協会のメンバーは取り合おうとしない。その正しさは絶対的で、それからの論理だと、勝見は未来に対応できない人間として裁かれる運命にあるらしい。しかし、そのような未来を受け入れられないのは私も同じで、だからこそ「予言」の正当性を疑わざるを得ない。予言機械が語る未来の過酷さを思うと、なおさらに。
     しかし、「予言」を「預言」と読み替えると分かるような気がする。ちょうど、ノアが神から洪水の預言を聞いたように。勝見もまた、自ら作った予言機械から預言を授かったのだ。しかし、傲慢で残酷なノア(少なくとも安部にとっては)と違い、断絶に耐えられない勝見はその預言を信じることができなかった。故に、未来の論理によって裁かれ、代わりに弟子達・海底開発協会がノアにならざるを得なかったのだろう。海の主人となるべき水棲人類の父親となる、ノアに。勝見が責めを受けるとすれば、未来予測という神の領域に足を踏み入れたにもかかわらず、神の言葉を信じられなかったという一点に尽きる。しかしながら、そのことこそが、予言がタブーであることを暗示していると思う。
     さらに、物語の後半で、予言機械によって未来が映し出されていく。ただし、それが「実際」に起こることなのかどうかは、一切語られることはない。ただ映されるのみだが、その未来像はとてもリアルに迫ってくる。洪水、水棲人社会の到来、水棲人社会の日常、「風の音楽」にあこがれる水棲人、などの物語。それらに対して、私たちはもはや判断することはできない。ただ眺めるしかないのだ。でも、本当にこの「ブループリント」は正しいのだろうか?
     いや、もう予言だの水棲人社会だの言うのはよそう。たとえ、近い将来、水棲人を眺める望遠鏡のように水没していく運命にあっても、我々は「現在」を生きるしかないのだから。

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    2023年09月24日
  • 密会(新潮文庫)

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     いやー、安部公房の作品の中でよもやこんなに理解できないとは。自分の感性が死んだのかと不安になる。
     ただ巻末の解説をよみ、「うわー!さすが安部先生!」となった。この小説は、分かりやすくてはいかん、順序立ててはだめなのだ。

     まず時系列が掴みにくい。「今」か回想かの境が判別しにくく、全部読んでも半分位しか順序立てて整理できない。
     そして地理関係の分かりにくさ。「旧病院跡」?「崖っぷちを切り抜いた商店街」?「中庭に面した6つに分かれた小部屋」?一文ずつ頭の中に地理を浮かべようとするが、すぐに矛盾が生じて追えなくなる。

     このわからなさこそがこの作品の肝。論理立てて整理できないその混乱こそ、主人公が囚われている世界。

     私は安部公房の描く「ナルシスト的孤独」が好きだ。ただこの作品は少し毛色が違うように思う。
     いつもの主人公は、他者とのコミュニティから疎外されている。外界との繋がりに不具合が生じ、それを拗らせて精神世界に没入する。
     だがこの作品の主人公は、むしろ周りからはどんどん関わりを持たれ、コミュニティに取り込まれようとしている。そしてとてもノーマルな人間だ。だけど最終的には孤独になっている。

     「坩堝」、私はなんとなくそんな印象を受けた。何度も読み返す作品だ。

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    2024年01月13日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    現代(令和)におけるVtuberとかにも応用できる、予見してるなぁとか思った。

    自分の行動の動機や選びとる選択、何に起因し何に向けてるのか、日々の自分を内省せざるをえなかった。

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    2023年05月09日