安部公房のレビュー一覧
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ネタバレ物語の初めまでは理解できるんだけど気がついたら理解の範疇を超えちゃう。名前を名詞に奪われたあたりまでは理解できるんだけど壁調査団のところはもうわからない。ラクダを針の糸に通すより金持ちが天国に行くのが難しいことを逆転の発想にするところは好き。目に入ろうとしてぐんぐん体が小さくなっていくところはなぜか爽快だった。涙が溢れてその洪水に巻き込まれるのは理解を超えてくる。けど好きな場面。ノアが出てくるけどノアも洪水に巻き込まれる。最終的に主人公は壁となる。どういうこと?なんかの比喩だとしてもよくわからん。
バベルの塔の狸もいい。なんだかワクワクしながら読んだ。影を取られたらその結果の原因である身体ま -
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まず、とっておきの睡眠誘導術を伝授されてから夢の話へ。
「こんな夢を見た」系のエッセイなのかな、と読みはじめました。笑う月、これはトラウマになりそう。
そこからだんだん安部公房の創作や発想のきっかけみたいな話になってきて、これはこれですごく面白かった。
夢のイメージが作品に反映されてるって事は…
作品を読めば安部公房の夢を体験できちゃうってこと?あの独特な雰囲気は、無意識下のイメージ…?うーむなんだか妙に納得。
そしてその後は、夢の話のような創作のような短編作品が続きます。
奥さんの安倍真智による挿絵(コラージュ作品?)も差し込まれていて贅沢。
夢の中感が漂ってる〜〜 -
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あまりに奇妙。5作あって、1作目は慣習的に生きていた男が名前を名刺に奪われ、それぞれの役割を無機物に奪われる。慣習から外れると無機物が有機物になるための蜂起、不条理な裁判、ガールフレンドのマネキン化、など様々な困難に巻き込まれる。途中雑誌の1ページの荒野を胸の穴に吸い込んでしまって(恐らく名刺に奪い取られたものの隙間)荒野に生息している動物に魅入られ魅入るようになる。その胸の穴に次は壁を吸い込んでしまい、父親がラクダと裁判に関与していた病院の先生と共に"探検家"という名称で主人公を解体しようとする。最終的に主人公は胸の中の荒野で壁そのものになってしまった。
2作目は詩人が -
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ネタバレ安部公房にしては読みやすいなあ、というのが最初の印象。
電子計算機に大量のデータを与えただけで未来を予言できるというのは、カオス理論を考えると、前時代的という感は否めない。未来も過去もシュミレーションできてしまうというのも、そんなに単純じゃないだろっていう気はする。でも安易なタイムマシンものにはなってないし、死体の神経組織に電極を差し込んでデータを取得し、生きている状態をシュミレーションするというのは、怪しくてなかなかいい。
未来予測のサンプルに選んだ男が殺され、死体を予測機械にかけるとその口は<胎児堕胎>について語り始める。男を殺したとされている情婦からデータを取ろうとするとその女も殺 -
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ネタバレ「こんにちは、火星人」というラジオの脚本家は、ピンチに陥っていた。
"存在するはずのない火星人をネタに日本を風刺する"番組はこれまで順調にやってきたが、火星にロケットが軟着陸することになり、火星のことが明らかになると世間の目は厳しくなると予想されるからだ。
そんな彼が部屋で鬱々としていると、突然自らを火星人だと名乗る男が訪問してくる。
その男の妻から電話もあり、30分後に迎えに行くが、気違いで暴力的なため逆らわずに話を聞くようにと言われ、家に上げてしまう。
最初は気違いの戯言と聞き流していたが、相手は意外と論理的で適当な相槌は見逃してくれず、真剣に向き合わざるを得なくな -
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順平は砂穴に閉じ込められる。脱出したい、自由になりたい、こんな生活は異常だ。しかし次第に砂穴の生活に「意味」を見出し始める。水を得るための砂の研究に夢中になる。脱出ではなく、与えられた状況の中で、自分なりの意味を作っていく。安部公房『砂の女』1962
時間と死。砂の不毛は、その絶えざる流動によって、いかなる生物も一切うけつけない(p.17)。巨大な破壊力や廃墟の荘厳さに通ずる死の美しさ(p.202)
不安定な人間存在。固めても崩れ、掴んでもこぼれる。流動がそのまま、存在である世界(p.202)。孤独は幻を求めて満たされない渇き(p.236)。
社会。形態を持たないのは、力の最高の表現(p