安部公房のレビュー一覧

  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「豚に、豚みたいだと言っても、おこったりはしませんよ…」

    安部公房のSFって言われてるけど安部公房の話だいたいSF的要素あるとおもう。サイエンス要素ないのに火星が舞台なだけでブラッドベリの火星年代記がSFなら、火星人と名乗る男が家におしかけてくる人間そっくりもSFじゃないのか?SF概念はむずかしい…
    この作品、以前読んだ砂の女や人間そっくりに比べると取っ付きにくく感じ、特に途中の科学的な話の部分は自分には難しくあまり頭に入ってこなかったが後半からあとがきにかけてSFの醍醐味である固定概念を崩されるという感覚を味わうことができて最後まで読んで良かったと思えた。
    今まで過去の人が現代の生活を知っ

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    2025年03月28日
  • 箱男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    情報を整理しながら読んでいったはずだけれど、理解するのが難しい小説だった。登場人物はごく少ないのにも関わらず、なぜこんなにも入り組んで話の展開が読めないのだ。怒涛の展開に頭が追いつかない。
    読み始めてしばらくすると、映像化は無理じゃないかという思いでいっぱいになった。言葉によるこの絶妙な可笑しみをどう映像で表現するのかと。
    でも読み進めてちょうど半分を超えたあたりで、それどころじゃないと気付かされた。かなり実験的な試みを感じる小説で、こんな複雑な構造をしているとは想像もしていなかった!
    途中、意味がわかりかけたのに終盤で再びけむに巻かれてしまって、途方に暮れている。
    箱男にとっては居心地のいい

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    2025年01月22日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    夢をテーマにしたちょっぴり怖くて不思議な短編集。
    怖いというより…人間の野蛮さが垣間見えて少々気持ち悪い。

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    2025年01月15日
  • 箱男(新潮文庫)

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    なんだ…この作品は…
    ずっと、ずーーーっとよく分からないまま、そのまま読み続ける。しかし分からないからと言っても、決して途中で本を投げ捨てる訳でも無く、いつか分かる時が来るのか…ただただ字を読む。常に「私は誰?…ここは何処…?」状態。また別の感覚で表現するならば、万華鏡のような物から本の世界観を見てるような…または、手垢が付いたガラス越しにハッキリと何を見てるか分からない状態で物語を読んでるかの様でした。自分にとっては理解が難しく、頭の中をシャッフルされてるような感覚になりましたが「面白い」本であったなと。また読み返したい気持ちもありつつ、またあの迷宮に入る覚悟が持てるか…。映画化されてるので

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    2025年01月10日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    前情報なしで読んだのでここからどうなるんだろうというところで終わってしまい残念でした。その次の「さまざまな父」でエピソード0まで描いているので叶わないことですが最後まで読みたいと思いました。

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    2025年01月01日
  • 箱男(新潮文庫)

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    かなりアクロバティックな構造の小説。
    特に後半は完全には理解できていないけども、小説という枠組み自体が箱人間の箱の内側に書かれた記録であり、またその中身の人間自体が入れ替え可能であるとすると、それは究極的には近代が自明のものとしてきた自我を深く疑うことに繋がってきそうだ。本物の自分とは?と、考え出すとアイデンティティが崩壊しそうな気味の悪さを感じてしまう。

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    2024年12月26日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    家に自称火星人と名乗る怪しい男が訪ねて来るというワンシチュエーションだけでよくこんなに書けるな
    しかも読んでいて飽きさせないからすごい

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    2024年12月21日
  • 箱男(新潮文庫)

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    安部公房、晩年に近い作品。
    いや、はや、あっぱれ。面白かった。

    箱をかぶった箱男。まんまっちゃまんまだが、
    これが意味するのは「匿名性」
    つまり現代における「SNS」のようなものだ。
    これをまだネットがない時代に書いているのだから、、さすがと言わざるを得ない。今新刊です!と登場しても話題になるのでは。

    匿名の仮面を被った人間が取る行動。
    あちらからは見えないが、こちらからは見える、という状況で人間が起こす行動。

    そして覗き穴から覗く、という描写も、スマホの出現と人類全クリエイター、カメラマンの現代においては、とっても上手くできた箱である。

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    2024年12月21日
  • 壁(新潮文庫)

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    ネタバレ

    壁。人間とは壁なのだ。

    いや、ちょっとこれは、挫折するよ。
    と言う難解な小説。

    意味わからん。。。なんなの荒野を吸い込むとか、名刺に名前を奪われるとか。。
    とっても安部公房らしい、文体とリズムではあるし、短編ではあるけど、難しかった。。Sカルマ氏という名前はなんだったの。

    でも、これ、この時代に書いてるのやばいな。
    ベルリンの壁崩壊のだいぶ前なんよね。

    壁というのは、人と人の境とも読める。

    真理に対しては大衆はいつもかたくなな壁である。(引用)

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    2024年12月21日
  • 箱男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ダンボールを被ってまちにでる?
    箱男が家の前に住み着く?
    隣の家のトイレを覗き見?
    箱の下ははだか?

    突飛なようだけど、安楽死やら路上生活者の記事やらなにやら社会問題がちりばめられていて。

    死んだ僕のしたいを打合せ通り醤油工場のうらにすてる?

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    2024年12月10日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    戦争、敗戦、極寒という最悪の状況で満州から日本を目指す少年。
    飢える、だまされる、襲われる、失うという極限で、人間の本性はどのように現れるのか、どんどん読み進んでしまう。
    絶望的な世界で現れる人間の獣性を味わいたい方は、是非。

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    2024年12月08日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    孤独と独善の中で方舟に引き篭もるモグラ。ひょんなことからそれが打ち破られ、予想外に自己の中に進出してくる。安倍文学らしい滑稽さを含みながら、現代社会の個人に対する影響力とそのシニカルな視点を提示している。

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    2024年12月05日
  • 壁(新潮文庫)

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    Podcast「夜ふかしの読み明かし」の読書会で取り上げられていた一編、第一部の「S・カルマ氏の犯罪」を読んだ。
    見渡す限りの荒野、静かに果てしなく成長してゆく名前を奪われた壁による、問わず語りの「おかしなことばかり多くて、普通のことがほとんどない」多分“ぼく”にはあまりむかないのだと思った”現実“の数日間。
    名刺に名前を奪われたり、身のまわりの品に存在理由をかけた闘争を仕掛けられたり、永遠に続く裁判にかけられたりする現実に向いている人はまあいないと思うし、そのわりに冷静に話しますよね、と思いながらも、これは現実をあきらめ、自由を奪われた独房の孤独のなかで、それ故に語らざる得ない哀しい物語のよ

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    2024年11月29日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    20代半ばで芥川賞を受賞した安部公房が、30歳前後に書いた12の短編を収録した作品集。

    どれもシュールで実験的で、ユーモアやウイット、アイロニーに笑わせられる場面もちらほらあります。毒が盛られたような内容の話であっても、おかしみを感じさせるシーンをちゃんと作られているため、シリアスになりすぎずに、フィクションの中身と適度な距離を保ちつつ、楽しめるのでした。また、そこのところをちょっと角度をかえて考えてみると、たまに水面に浮かんでくるあぶくのように、ここぞのところで効果的に滑稽さが仕組まれているからこそ、これは小説つまり虚構なのだ、と読む者は踏まえることができるんだなあ、とひとつ気づくことにな

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    2024年11月19日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    探偵の男が少しずつ自分を見失ってゆくにつれて、読んでいるこちらまで自分を見失ってしまいそうになる。靄につつまれて抜け出せない苦悩は、誰にでもありうる現実なのかも。

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    2024年11月10日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    再読。君は火星人であるか?それとも地球人であるか?密室で繰り広げられる対話劇。ただそれだけと云えばそれだけだが、こんな面白い対話劇なんて中々ない。途中で飽きる事のない中毒性の高い作品。精神や思考が侵食されていく様が恐ろしくも面白い。

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    2024年11月04日
  • 壁(新潮文庫)

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    ずっと途切れることのない不条理の連発に読書の快楽を感じた。
    こちらに考える猶予すら与えずに繰り出されると、それは受け入れざるを得ない上に予想もできないのだからひたすらに驚き、それが娯楽性に繋がっていた

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    2024年10月30日
  • (霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集―(新潮文庫)

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    「題未定──霊媒の話より」
    霊媒師とは、要するにアドリブ俳優である
    霊魂に身体を貸したというテイで
    お芝居をやっている
    相手はそれを本当に先祖の霊魂と信じるのだけど
    それによって現世の鬱屈が
    いくらかでも癒やされるのなら
    単純に否定すべきものではないのである
    では、かの霊媒師はいかにして霊媒師になったか
    そういう話なんだけど
    これは、自分の話を他人事のように語っているのではなかろうか
    副題からそう臭わせることで
    自然主義文学へのひとつの問題提起ともなっている
    死者の意思が捏造されうる以上
    自らの経歴もまた捏造の可能性を免れない
    その事実を発見したことが
    反近代のはじまりなのかもしれない

    「老

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    2024年11月02日
  • 壁(新潮文庫)

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    バベルの塔の狸
    魔法のチョーク
    事業

    現実とは事実なのか、改めて考えさせられる。
    シュルレアリスムによって非現実を現実化する方法を学んだとされる安部工房。

    夢や無意識、偶然と言った意識でコントロール出来ないものが現実を凌駕するような感覚は今だからこそわかる。我々が普段当たり前に区別しているであろう現実⇄非現実の区別が曖昧になる。そればかりか、今の自分には非現実の精神世界の方が不可欠な物のような気がしている。

    世界観が好き。文体が海外作家っぽい。

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    2024年10月19日
  • 壁(新潮文庫)

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    見たことあるはずが無いのにありありとヴィジョンが浮かぶ圧倒的な描写力と自分でも気が付かなかった心情をピッタリ同値な比喩で表現されて、ヤバババ〜

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    2024年10月13日