安部公房のレビュー一覧
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ネタバレ贋物ユープケッチャからの始まりで、早速にも好奇心を鷲掴みにされた。
嘘か本当か分からないような情報と共に、サバイバルゲーム的な展開が繰り広げられる。
結局、ユープケッチャは何だったのか?
ユープケッチャに何を託そうとしたのかが分からない。
公房独特のクセの強いブラックユーモアもあり、そこで安心感と安定感を得る。
ノアの方舟には正直な、唯一の人間しか乗船できないらしい。
「砂の女」が苦手意識があり、初めに読んだ時は暑苦しいしで辛かったけれど、再読を決心させてくれた。
まだ公房作品に慣れないし掴めないまま「砂の女」を読んだ記憶があり、しかし本書は夢中になれたので、再読すればまた違う視点や感覚に触れ -
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学生時代以来の安部公房。
BOOKOFFで購入。
「砂の女」を読んで新婚旅行で鳥取砂丘に行ったくらいだから、学生時代にはわりと熱心に読んでいたと思う。
安部公房はくせがあり、最初にスッと入れないとなかなか読み通すのが難しいが、これはスッと入れた。
スマホもパソコンもほとんど普及していない時代、想像力の豊かすぎる主人公が核戦争に備えて巨大なシェルターを作り、「生き残るに値する人々」をスカウトする筈だったのだが…という話。
主人公を始め、出てくるのはいびつな人たちだ。いびつさが奇妙に誇張されグロテスクでさえある。
しかし、読後感はわりと爽やかだった。 -
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放置された地下採石場跡の広大な洞窟に、モグラこと〈ぼく〉は核シェルター設備を作り住み込んだ。近づく核投下の日までにこの方舟に乗れる資格のある人を見つけて乗船切符を渡そうとするが、ひょんなことで3人の男女とシェルター内での共同生活が始まる。しかし洞窟に侵入者が現れ、仇敵とも言える父親からの連絡、さらには便器に片足を吸い込まれて身動きが取れなくなり〈ぼく〉の計画は崩れ始める。核による人類滅亡、シェルターにより生き延びる人たち、生き残った人たちによる新しい社会と平和、そうした一連の想像はすべて幻想であり現実逃避でしかない。逃避した先の世界もまた現実と変わらない。
冒頭で〈ぼく〉は自分の糞を食べて同じ -
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手掛りを辿れども辿れども、真実に近付きも遠のきもしない感じが、失踪人の周囲を同心円上にぐるぐる回っているだけのようで徒労感と無力感が延々と繰り返される。それでも次は何かがわかるかも知れない!という期待を込めてページを捲る手が止まらない。
通常の推理小説ならラスト一気に真実の一点へ駆け込むが、そうは問屋が卸さないのが安部公房。不確実で掴みどころのない手掛りを次々に無くし、結果として唯一確実な存在だった自分自身すら見失う。地図は燃えつきた。お見事。
草臥れたような「場末」の表現が抜群に上手くて笑える。大抵の場合古本から煙草の匂いがするとハズレ籤を引いた気になるが、安部公房だと逆に煙草の匂いがアジ -
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箱男を数年前に読んだ以来の安部公房。
この人の文章によって思い描く景色は、古いビデオテープに録画した古い映画のような、ざらざらした触感の音声と映像で再生される。
そうして再生された景色も、埃と砂でざらざらしている。
また、この与太話の説得力は何だろうか。
「ショウチュウを飲みすぎると魚になる」とか、酔っ払いの戯言のようなのに、なんとなく「そういうもんかな」と思わせる。
起承転結が夢のようにチグハグで、読み終わってすぐは「なんだこれは」と思うのに、なんとなく腑に落ち…いや落ちないわ。全然落ちない。その腑に落ちなさと不条理が良い。
あまり深く考えない方が楽しく読めるのかもしれない。
ざらざらし -
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小学校の高学年くらいに「棒になった男」や「他人の顔」が紹介されていたのを読んで興味を惹かれて手に取った一冊。
ファンタジーやSFか、カフカのような不条理モノか、乾いていながら、新宿ゴールデン街的な雑さと人間の粘度ある文体からにじみ出る別世界、でもそれは非常に身近で、そんな世界の話に引き込まれた。
ご本人も亡くなり、あまり話題にのぼるという事も無い気がする作家だが、新潮文庫に変わらずあるのが嬉しく、また懐かしく、最近読んだスタージョンあたりに刺激されて久々に手に取ってみた。
又吉くんオススメの帯がついていたが、これをきっかけに読者が増える事を期待する。
また、ラジオドラマ「R65の発明」は -
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ハードボイルド小説だ。或いはノワール小説的でもある。
ハードボイルドやノワールという物語の成立には都市という舞台は必要不可欠だ。
田園風景の中で、誰もが誰もの家族たりうる社会でハードボイルドもないだろう。
この物語も等しく、都市が舞台であって、さらに、拡大してゆく最中の都市とも言える。
この舞台装置はまったくノワール的と言ったら研究者には笑われてしまうだろうか。
都市において人や事物、そしてそれらに与えられた役割は完全に匿名的で交換可能な価値を持つ。
だからこそ、都市の機能は平等公平で自由である。
しかし、その内実は孤独で冷酷で不平等でもある。
P.293『「ほら、あんなに沢山の -
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アヴァンギャルド。
もはや死語であったはずの前衛がこの2020年に再読して生き生きとしてしまう。
「天は人の上に人を作らず」
ある種の人たちは自らの事を選ばれた人間だと思ってはいないだろうか。
実際には誰もが誰かを選んでいるだろうし、同時に誰も誰かを選んでなどいない。
無知のヴェールという概念がある。生まれる以前に人間は平等だが生まれた直後に不平等となる。
生まれた国、地域、親を選ぶことはできず、ヴェールを被された状態である。
だからこそ、明るみに出た瞬間に、恵まれた存在は公共性を保持するために努めなければならない。
無知のヴェールについて、日本人はあまりにも知らなすぎ、考えが