安部公房のレビュー一覧

  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    追うものが、追われるものになる。
    無関係のものが、関係するものになる。
    支配するものが、支配されるものになる。

    他の安部公房の作品と同様に、この短編集の中でも立場の逆転が沢山起こっている。
    恐ろしいけど、楽しい。
    小さなきっかけ一つで、目に映る世界が大きく変わっていく。

    「誘惑者」と「賭」が、個人的には好み。

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    2014年03月05日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    読む本がなくなってしまったので、BooksKiosk新大阪店で買いました。
    (2013年9/28)

    男は、砂の穴からは逃げなかったけれど、
    岩の穴からは逃げ出したんですね。
    (2013年10月5日)

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    2013年10月06日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    カフカ的な作品で理解が難しかったです。断片的には、何かを象徴しているのかなっと思うシーンもあるのですが。。。これを読んで面白いといえる人っているのでしょうか。。。

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    2013年03月18日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    過去に読んだ本。

    大学4年の頃、その時受講していた講義の先生の影響で安部公房にハマって、何作か読んだ。

    暗い、不条理な感じがいい。

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    2012年12月15日
  • 密会(新潮文庫)

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     小説内で登場する架空の病院内および市街地がとても精密に描写されていることに驚いた。作者は当初地図を描いて載せようとしたほど(全集26・構造主義的な思考形式)作品内の空間設定が練られていることがわかる。
     作品の冒頭は主人公の妻が連れ去られてから4日目の早朝、報告書というかたちで読者に提示される。それから最終章である「付記」の始まりまで主人公は病院に到着してからの経緯を薄暗い隠れ家(旧病院跡地)で報告書を書き続ける。主人公が過去の説明し終わる頃、やっと「付記」にて現在の時間が流れ出すが、最後の数ページで明日に追い越されてしまう。 
     このような時空の中に不気味で悲しい登場人物たちが無駄なく配置

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    2012年07月12日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    人類みな友達、この言葉で済ませたい。飄々とした人たちが、やらかしちゃう物語、「友達」。「棒になった男」はいきなり降ってくるとこからナイス。文学的幅を示した、才能あふれる作者の戯曲。他者と自己の関係を恐ろしくも滑稽に描いた、日本昔話的表現にジーンっ。

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    2011年05月12日
  • 友達・棒になった男(新潮文庫)

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    安部公房は初めてなのだけど…、
    戯曲は基本嫌いなのだけど…、
    しみじみ面白かった…。
    久々の充実感。
    最近読んでいた本って軽かったんだなーと。

    すごい演劇的なストーリーだと思う。
    当たり前だけど。
    その全体の理不尽さがすごい演劇っぽい。

    表題の『友達』は、
    ちょっと私が不得意なタイプの理不尽物語でした。
    私にはちょっと辛い。
    そして怖い。

    でもこの世界観。
    他の安部公房を読んでみたい。
    全作品素晴らしいのですが、
    私は『棒になった男』が一番好きです。

    収録作品
    ・友達
    ・棒になった男
    ・榎本武揚

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    2009年10月07日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    ネタバレ

    砂にさらされることで人生観が浮き彫りになるの、なんか嫌だなあ! 嫌だなあ、という気持ちがずっとあった。人生の本質の一つがあまりにも容赦なく書かれてると感じたからかもしれない。そこに悪意はないけど、だからこそ。
    これってタタール人の砂漠を読んだ時と同じ感情かも。奇しくも砂漠モチーフというのも共通(タタール人の方は山岳地帯のイメージの方が強いけど)。 "タタール人の砂漠"には、停滞を破るきっかけとなる役割・それを支えに停滞に甘んじさせる楔の役割、どちらもあったと思うので、そこらへんも似ている。

    もし男が一人で放り出されてたとしたらどうなったのか(女がいないとしたら)。
    その場

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    2026年02月21日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    たくさんの滑稽で余計なものに覆われているからこそ、その真髄にある中身が深刻に立ち現れる。死が大きなテーマだったが、自分が今まで死について考えていたものなど笑い飛ばされるような、複雑でグロテスクな描かれ方をしていた。

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    2026年02月20日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    主人公の宅に来訪してきた目の前にいるこの気違いは、果たして人間なのかそれとも火星人なのか。話しているうちに会話の主導権を握られ、己すらも人間であるという自信がなくなってくる。なぜ己は己を人間だと断言できるのか。気違いが火星人ではないと否定することもできなくなってきてから、物語は予期せぬ展開を迎えることになる。

    気違いと対峙しているシリアスな緊張感があった。特に序盤のナイフを手にするくだりでは、自称火星人が何をしでかすのかわからない恐怖がありありと伝わってきた。しかし最後まで読んでしまうと、一体誰が人間で誰が気違いなのかがぼやけてくるのも恐ろしい。いっそ皆火星人であってくれた方が幸せな結末だっ

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    2026年02月18日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    ネタバレ

    主人公はやはり狂気。妻の愛することは愛する人のために仮面をかぶり、それを剥がしあうことという手記に胸を打たれた

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    2026年02月13日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    ひと昔前だったら笑って流せた作品だが、生成AIの時代となった今ではリアルすぎて笑えない。第四間氷期で地上を失うことになった場合、AIも同じように水棲人になれと言ってくるのだろうか?それはもはや生きるための環境選択であり、未来とか地獄とかそういう次元の話ではなくなる。プロンプト力ばかり発達して思考能力を失ったとき、人間はどういう選択肢をとるのか。自分もその一人になるのか。死後の世界を考えるよりも難題だ。

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    2026年02月11日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    少し前の世代の作品が読みたくなり、手に取る。
    未来予測が可能な機械が、秘密裏に開発された社会の物語。
    被験のである男性がトラブルに見舞われてから、物語が動き出す。

    非常に読みやすい文体。古臭さは微塵も感じさせない。
    ただ、『他人の顔』で感じた文の美しさなどは、若干見劣りするのかも。後期の作品の方が、その意味では好き。
    序盤はミステリーのような流れだが、後半はハードsf寄りになっていき、内容が哲学的に。
    予想を上回っていく展開で、引き込まれていく。
    素晴らしい内容だった。

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    2026年02月06日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    生成AIが世界を変えそうな、このタイミングで読むに相応しい作品。昭和45年にこれを書いている作家としての想像力が素晴らしい。

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    2026年02月04日
  • 笑う月(新潮文庫)

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    そもそも論だけど、安部公房の文体かっこよすぎる、勇ましいというか、なんというか、

    アリスのカメラ
    「シャッターを押しつづけていさえすれば、いつかアリスが写っているかもしれないという幻想。不可能にかけた、一瞬の緊張。それは、現実の拒絶であり、部分への解体の願望でもあるだろう。だが、アリスと出会えるのは、不思議の国の中でしかない。」
    カメラで写真を撮ることで写り得ないであろうものの存在を肯定しようとするの皮肉だよな、あるものしか写らないカメラに対して、存在しないはずのものが写ることを祈るなんて、

    公然の秘密
    「当然だろう、弱者への愛には、いつだって殺意がこめられている。
    やがて仔象は、古新聞の

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    2026年02月01日
  • 壁(新潮文庫)

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    初・安部公房。難しい。短編でかろうじて飲み込めたかも。
    バベルの塔の狸は視覚的に面白くて、理解が追いつかないなりに楽しかった。
    S・カルマ氏の犯罪はよく分からない!

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    2026年01月31日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    ネタバレ

    何回も笑わせてもらった。
    特に主人公モグラのキャラクターが面白かった。
    肥満体型に黒のレインコートを羽織っていたが、後はサングラスでもかければモグラとして見栄えがする。

    「豚」というワードに過敏に反応するがデブという比喩で怒っているわけではなく、父親は猪みたいにガタイのいい人間で中身は最悪(母親も強姦されてモグラを産んだ)であり、今回シェルター活用している洞窟に、左足に足枷をつけられて放置されたこともあり、最初こそ痩せた体型だったが、そこから母親に枷の鎖を切ってもらって脱出してから父親への憎悪などでどんどん太ってきて、父が猪なら子は豚だな、などと同類扱いされるのがたまらないのである。
    なので

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    2026年01月10日
  • 砂の女(新潮文庫)

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    読み終わってしばらく経ったあと、世界には今でも砂で皿を洗う文化がある国が存在しているという情報を偶然耳にし、「砂の女の世界だ…」となった。
    フィクションじゃないのね。

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    2026年01月07日
  • 箱男(新潮文庫)

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    高校2年生の課題で、7人の文豪の作品を一冊ずつ読むことになった。その7作品の中で一番面白かった。サイコパスや「家族ゲーム」を思い起こさせる。

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    2026年01月04日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    満州で育ち、引き揚げ時に苦労したらしい著者。
    どこかで「満州は非常に近代的だった、云々」と満州について語っていたインタビューを、目にしたことがある。
    物語はフィクションではあるが、当時の著者自身の体験が潜んでいるような気はする。
    そう思わせる生々しさが所々に散見される。

    逃げ出しても逃げ出しても……ラストも壁が立ちはだかる。
    ぐるぐると荒野を堂々巡りする。
    生への執着と、根なし草の孤独。

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    2026年01月02日