安部公房のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説内で登場する架空の病院内および市街地がとても精密に描写されていることに驚いた。作者は当初地図を描いて載せようとしたほど(全集26・構造主義的な思考形式)作品内の空間設定が練られていることがわかる。
作品の冒頭は主人公の妻が連れ去られてから4日目の早朝、報告書というかたちで読者に提示される。それから最終章である「付記」の始まりまで主人公は病院に到着してからの経緯を薄暗い隠れ家(旧病院跡地)で報告書を書き続ける。主人公が過去の説明し終わる頃、やっと「付記」にて現在の時間が流れ出すが、最後の数ページで明日に追い越されてしまう。
このような時空の中に不気味で悲しい登場人物たちが無駄なく配置 -
Posted by ブクログ
そもそも論だけど、安部公房の文体かっこよすぎる、勇ましいというか、なんというか、
アリスのカメラ
「シャッターを押しつづけていさえすれば、いつかアリスが写っているかもしれないという幻想。不可能にかけた、一瞬の緊張。それは、現実の拒絶であり、部分への解体の願望でもあるだろう。だが、アリスと出会えるのは、不思議の国の中でしかない。」
カメラで写真を撮ることで写り得ないであろうものの存在を肯定しようとするの皮肉だよな、あるものしか写らないカメラに対して、存在しないはずのものが写ることを祈るなんて、
公然の秘密
「当然だろう、弱者への愛には、いつだって殺意がこめられている。
やがて仔象は、古新聞の -
Posted by ブクログ
ネタバレ何回も笑わせてもらった。
特に主人公モグラのキャラクターが面白かった。
肥満体型に黒のレインコートを羽織っていたが、後はサングラスでもかければモグラとして見栄えがする。
「豚」というワードに過敏に反応するがデブという比喩で怒っているわけではなく、父親は猪みたいにガタイのいい人間で中身は最悪(母親も強姦されてモグラを産んだ)であり、今回シェルター活用している洞窟に、左足に足枷をつけられて放置されたこともあり、最初こそ痩せた体型だったが、そこから母親に枷の鎖を切ってもらって脱出してから父親への憎悪などでどんどん太ってきて、父が猪なら子は豚だな、などと同類扱いされるのがたまらないのである。
なので -
Posted by ブクログ
ずいぶん前に、Twitterで「脛にカイワレ大根が生えてしまった男が病院に行ったところ、温泉療法を勧められて、自走式ベッドで地獄めぐりをする話」と紹介されていたのを見た。興味を持ち買ってから数年積読されていたのを開いたが、紹介されていた通りの話だった。本当に面白い。今度、友人と読書会で読むことにした。
とはいえ、物語の全体像を一貫したストーリーとして把握するのは、かなり難しい物語だ。とにかく、場面と場面の間に脈絡がなく、「地獄めぐり」の言葉通り、大黒屋、賽の河原、硫黄泉の露天風呂、キャベツ畑、病院……といった場所で、現実にはあり得ない光景に出会っていく。
先行研究なんかを見ていると、大筋として