安部公房のレビュー一覧
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ネタバレ「砂の女」という題名
読みはじめは「砂の女だ!」と感じても、
読みおわりは「砂の女か?」と感じられます。
砂の女は、終盤で主人公に歯向かいます。しかも強めに。それは「愛郷精神」つまり「部落の集合的意識」があらわになった場面です。
目の前の「女」ではなく「部落」が歯向かってきたと感じた主人公も、最終的にはその部落に順応しました。主人公は「砂の男」になり、部落に定着して、愛郷精神を育んでゆくのでしょう…。ハッピーエンド…?
主人公目線、砂の本質は「流動=定着の拒絶」だと見抜いていました。しかし極限状態におかれた人間はその「定着の拒絶」にすら「定着」してしまう、という有様!
人間の強さと、 -
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人生において場所がどれだけ重要なものなのか。結局不平等な社会にも適応してしまい、やる意味を与え続ければ不満なく生きられるのか。
蟻地獄に転落した主人公が脱出を試みながらも社会の縮図に気付き(?)順応していく様を見届ける不条理物語。
男は地上にいるときから幸せを持ってない。
教師という仕事も、希望を持つのは生徒、嫁との生活にも活力はなく、趣味の昆虫採集も名声のためでしかない。
最初から幸せじゃない男は、蟻地獄の底で生きがいを見つけてしまう。
幸せな人生とはなんぞやと思わず迷走してしまう。
結局彼は穴の底で、最初に求めていた"名声"のカケラを手にして終わる。この小さな小さ -
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ネタバレ意味が分からないままとりあえず読み進め、読後にあらすじまとめを読んでもやはり意味がわからず、考察を読んで初めて少し納得した感じ。
途中、展開の意味がわからなすぎて、アリスのような童話のつもりで書いているのかと思った。
名刺という社会的な自分の名前を消された時、残った自分という存在は、自分を自分であると認識ができるだけで、そこにただ”存在”しているだけの、生物としてだけの存在になってしまうのではないか。
考察を読むと、とらぬ狸が特に面白かった。
とらぬ狸とは人間の非現実的な願望であり、目玉銀行へ目玉を預けること要求されるのは、現実を見る能力を手放すように促している。
赤い繭では、家を探し求 -
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「間氷期」とは、地球の氷期と氷期の間の比較的暖かい期間のこと。現在が「第四間氷期」である。とすると、次の氷期が訪れるという話なのかと思いきや、そうではなかった。未来を予知する「予言機械」の開発者が殺人事件に巻き込まれるところから始まり、人類の未来に関する大いなる謎へと繋がっていく。
主人公である予言機械の開発者は、その機械の「使い道」を考えなければならない状況になっている(しかも政府の意向に反しない範囲で)。それは当たり前のように見えて、実はそうでもない。純粋に技術的興味(シーズ)によって開発をしているだけの開発者にとって、用途(ニーズ)などはどうでもいいのである。
そもそも、新しい技術が -
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第14回読売文学賞受賞作。
昆虫採集に訪れた男が、砂に囲まれた穴の底に閉じ込められ、そこで暮らす女と共に生活を強いられるという特異な設定の物語。住居は絶えず砂に埋もれていくため、男は脱出を望みながらも、生き延びるために日々砂掻きを続けることになる。
当初は脱出が第一の目的であったはずが、生活を続けるうちにその意識は徐々に変化していく。やがて男は状況に適応し、砂掻きの効率化を考え、女との共同生活にも疑問を抱かなくなっていく。この過程は、外部から見れば半ば強制された労働でありながら、内側からは日常として受け入れてしまう人間の性質を象徴しているように感じられた。
簡単に言えば社畜である。
砂と