安部公房のレビュー一覧

  • 箱男(新潮文庫)

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    読み終わるのに時間が掛かったけどすっっごかった。

    虚実が入り乱れるし、かなり観念的なんだけど、ぐいぐい引き込まれながら読んだ。

    何にも縛られない、本当の意味での自由を求めると外に開くのではなく、内に篭もり孤独を選ぶしか無いというやるせなさ。

    箱男は浮浪者と違い、社会から離脱した(自ら社会を捨てた)存在であり、社会動物ではない。
    つまり人間では無いのに、社会を見つめ続けたいという欲求だけは捨てられないアンバランスさが苦しかった。
    学校にも行きたくないし、遊びに行く気にもならないし、誰にも指図されたくないし、誰とも話したくないけど学校で何が起きたかは知りたいし流行も知りたいからTwitter

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    2025年04月30日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    ネタバレ

    4/6 他人の顔 阿部公房
    強い女性の手のひらで転がされる男という構図が大好きなので本作も大好物。男性のあらゆる努力を水泡に帰す最後の手紙は鳥肌もの。素晴らしい。最後の事件は自暴自棄の結果なのか。

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    2025年04月06日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    面白かった。安部公房の中では比較的理解しやすい内容だったのでは。主人公の肥満男モグラは核戦争に備えた方舟を作り、ノアさながら乗船させる人間を選別していく。
    肥満男のモグラのせいで昆虫屋がかたまりに思えてしまい、ずっと空気階段のコントを見てるような気持ちになってしまった。

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    2025年03月27日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    読み始めと、途中と、読み終わってからとでは
    印象が違って、すごく疲れた
    そしてもう一度読みたくなった
    顔が仕事上の事故でケロイド状になってしまった主人公
    妻から拒否されていると悲観する
    そこから始まった計画
    完璧な仮面を作り、それを被ることによって
    仮面に乗っ取られていく
    それははたして他人なのか?
    そして妻への計画は成功するのか?

    主人公がみた映画の内容がまたなんともいえず
    主人公と重なり、さらに切なさを重ねる
    主人公も妻も、不器用で、人間らしく
    いじらしい

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    2025年02月16日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    おもしろい!と思ったり
    訳がわからない!と思ったり
    おとぎばなしを聞いている気分になったり
    ひとつひとつが笑えたと思ったその次には
    背筋がゾワ〜と恐怖を感じたり
    やっぱりおもしろいのでしょうね
    不思議な世界の中にも
    素敵な文章の数々
    次にあげる表現は雪に囲まれた冬の今だから、
    なおさら心に響いて残っています。素敵な表現!

    「そしてそれらの雪の上に、また新しい雪が重なり、町の表面はなだらかな雪の曲線に覆われてしまって、数日の後、もしくは数時間の後、不意に映写機の歯車に故障がおきたかのように、街全体がぴったりと動かなくなっていた」

    「本当の春が近づいていたのだ‥
     ある日、雲の割目から、太陽が

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    2025年02月13日
  • 死に急ぐ鯨たち・もぐら日記(新潮文庫)

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    安部公房の数少ない評論集。長らく入手困難だったが、装いも新たに重版され、再び日の目を見ることとなった。そして旧版から引き続き、養老先生が解説を書いている。養老先生は昔NHKで安部公房と対談したことがあり、「私(=養老)が小説を書き、安部氏が研究室で実験をするべきだという結論になった」。そのエピソードとともに、安部公房の文章を「理科的」と評している。

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    2025年02月11日
  • 他人の顔(新潮文庫)

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    主人公の行動一つ一つが世界の不幸と照らし合わせて合理化しているのが怖い。けれどその言葉が一瞬一理あると見せてるのがさらに恐怖心を煽る。
    原爆の件も自分は原爆経験者の彼女のように顔や心を傷つけられ白鳥のように飛び立った気になってる、他人の顔して演じたゆえに裏切られただけなのに飛躍してひたすらみんなの同情と喝采が欲しいゆえに複雑に空回りながらそうだと言わせようとしている。
    しかし、どんな顔してもしたらダメなこともあるって気付かされた。

    この本を読むに辺り、少し前の友人の言葉を思い出した。
    「人間は物事を簡潔に導く」
    けれどその中は深淵で顔もなくてでも複雑。簡単に導き出した逃げのようなもの、或いは

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    2025年02月05日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    やったことある人には分かる絶対夢日記だ!!
    どうやって作ったのかは分からないけど、例えばめちゃくちゃ面白い夢を見て起きた日の夜に、その夢を強く思い出しながら寝ると続きの夢を見れる、そうやって続きを書いたのかも。由希さんは自分の夢日記を見てカンガルーノートを思い出したらしいから、夢を描く時の構造や文章や表現は似てくるのかも。

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    2025年01月15日
  • 死に急ぐ鯨たち・もぐら日記(新潮文庫)

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    かなりおもしろかった。気難しいおっさんの独り言に付き合ってるような感じ。難解なところもあるけど『方舟さくら丸』以降安部公房が何を考えていたのかよくわかる。
    ナショナリズムを憎み、この世から戦争を無くしたいと本気で考え、それは《言葉》にしかできないのだと本気で語る作家の姿には感動すら覚えた。

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    2024年11月13日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    これまで読んだどの本よりも再読必須だと思いました。
    作者の思想や作品への融合などについて書かれた解説も読み応えがあり楽しめました!
    読み終えてから表紙を見て、わー!となりました笑

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    2024年11月13日
  • 壁(新潮文庫)

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    20年振りの再読。安部作品の中では今作が最も理解しにくい。第3部しか感覚としての理解が追い付かなかったが、20年前にはその感覚すら味わえなかったのだから多少進歩したのだろう。第3部「洪水」は貧困層(低所得者)からの逆襲と呼んでも良かろう。搾取する富裕層への逆襲。きっかけは嫉妬心ではなく貧乏人から順に液体へと変わる点が問答無用の冷たさをはらんでいて現実的。嗚呼、貧困から抜け出したいな。誰もが願う事が容赦なくコミカルに描写されているので、やはり安部公房は現実的で冷たい観察眼を持つ独特な作家だ。

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    2024年11月12日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    性の威力
    便器を中心に生活する滑稽さ
    対しユープケッチャは自分のフンで生きる
    人は大きな流れのユープケッチャとも言えるし正反対とも言える
    政治的な側面や民主主義に関する疑問提唱でもあり、核戦争に対する皮肉でもある。自分が作った王国を危機に瀕死させて自分が脱出する。
    そして、サクラ。サクラを題名に使い、それをわざと説明する安部公房は読者に対して何を言いたかったのか。
    人は皆ある種のサクラであると伝えながら、サクラでいることも美しさの一つなのかもしれないと思わせた。

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    2024年10月05日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    ネタバレ

    こちらはブクロクに登録していない一冊です。
    平成13年まではエクセルに書籍を整理(現在も)していました。そちらまでこちらに移すことは出来ず。

    コンピュータが予測した全世界が水没した未来の世界で、呼吸のできない水上に出て自死をする私たちの子孫の描写の美しさと切なさに涙した若い自分を忘れたくはないです。

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    2024年09月23日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    学生時代に読んだ本を再読。
    父に薦められて読み、SF好きになり、読書習慣が付くことになった思い出深い本である。
    予言機械、水棲生物の存在は常識から大きく外れている。
    その異常さ、不気味さに起因しているのだろうか、読み進めるにつれて主人公の世界自体が現実から剥離していく様な感覚に陥る。
    未来の残酷さを受け入れるか否かが、この本の主題となっているが、楽観主義の私は本編の未来はまだ良いように感じた。
    現実では、今まさに起きている戦争ですぐ近くの国が核を撃つかもしれない。
    それを起点とし、人類が滅ぶ事もあり得る。
    そんな未来が無いと言い切れるだろうか。

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    2024年09月16日
  • 第四間氷期(新潮文庫)

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    ネタバレ

    久し振りの安部公房。いつも意味不明という感想で終わりがちの安部公房であるが、比較的わかりやすい主題で惹き込まれる。未来予知装置により、陸地がなくなることを知った陸棲人が水棲人を産み出す物語。予測装置を作り出した博士は予測装置による未来を信じられないことを理由に予測装置自体に殺されてしまう。

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    2024年09月13日
  • 密会(新潮文庫)

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    人間の歴史は逆進化の歴史。
    発情の衰退(進化とも言える)と、嘘と本当と、記録と(時には嘘がある明日の新聞)、また見る見られるの不思議な関係、そして盗聴ポルノテープ。
    何をしても明日には死んでる自分、手淫という行為という1人だけの密会。
    イカれた現代の性。をさらに進めた密会の中。
    全員が病気でこの世界は病院。いつのまにか僕も病人、このイカれた性の世界に取り込まれた。
    夢の話のようで精神病のようでどこかで自分との親近も感じるストーリー。すごい。

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    2024年09月08日
  • けものたちは故郷をめざす(新潮文庫)

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    けものたちは故郷をめざす
    著:安部 公房
    新潮文庫 あ-4-3

    ヤマザキマリの「国境のない生き方」にお薦めがあったので、一読させていただきました

    逃げ遅れた日本人久木久三と、日系中国人高との、満州からの逃避行

    八路軍を巻くように、都市を避ける南下路
    眠ることすら難しい凍土の旅程
    野犬、狼がうろうろとする、身を隠すことができない原野
    氷はあるが、水を飲むことがなかなか許されない
    ピストルをもち、なかば脅されながら進む
    疲労困憊でわずかな坂を上ることすら時間がかかってしまう

    敵とも味方とも分からない連れにも神経を研ぎ澄ませ、久三の生への挑戦が続く

    凍傷でボロボロとなる皮膚、パンをもうけつ

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    2024年07月08日
  • 人間そっくり(新潮文庫)

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    自らのことを火星人だと言い張る訪問者。対話を通じていく中で、寓話と現実の境が曖昧になってゆく。物語の立て付けやパーツによる定義を超えた、物語の現実との連続性の中での寓話性によって読者の現実を揺るがす手法がSFの真髄を体現していた。

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    2024年05月06日
  • 飛ぶ男(新潮文庫)

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    本屋をぶらっと見ていたら何と新刊に安部公房が!!!一番好きな作家と言っていいくらいに好きなのでとても感激!

    未完ながら、この精緻で堅牢な構造物のようにかっちりとした文章は正に安部公房。飛ぶ男というのも安部公房らしい。最初未完と知らずに読み始めたので、途中から文字が欠けていたので印刷ミス?と一瞬思ったがそうではなかったみたい。あの微妙な空白は何の空白なんだろうか?

    とはいえしっかり安部公房の世界を感じれてよかった。「さまざまな父」も同じモチーフのようなのでこれらがひとつの作品として纏まればかなり面白い作品になるだろうな、と空想するのもまた楽しい。

    安部公房、また全部読み直そうかな、と思って

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    2024年05月04日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    現代の寓話とも言うべき短編集。主人公らは人間から変態したり、そもそも人間ではない存在を描いており、その中に著者のユーモアがふんだんに散りばめられている。不条理な展開に振り回されつつも、その中にある様で存在しない大きなメッセージを感ずるだろう。

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    2024年04月25日