安部公房のレビュー一覧
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ずっと面白いが、正直言って全体としては意味不明。
以下はなんとか整合をつけようとしたもの。覗くという行為は世界の中の対象に価値づけをすることであり、そうして初めて世間は成立する。つまり、覗かれることなしには世間、ましてや時空間が成立しない。一方、そのような視線で覗かれることは嫌悪を惹起するものでもある。覗かれることなく覗くだけの箱男はその意味で人間とは隔絶した存在である。そのため、彼らにとって対象は等価値あるいは一様に無価値なものであり、角が取れたものに映る。彼らの価値は箱の中の手近なものにかぎられている。しかし、覗かれるためであるとも思われる裸をもつ「女」に対しては、箱男は覗かれることに嫌悪 -
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SFマガジン1966年9月号から3回に分けて連載。2か月後の67年1月に「日本SFシリーズ」の1冊として刊行され、71年5月には「世界SF全集」に収録。この迅速さから、早川の編集長(福島正実)の力の入れようがわかろうというもの。
人間そっくりの火星人。見かけが人間と同じだというのに、火星人であることをどう証明するのか、あるいは人間でないことをどう証明するのか。火星人を名乗るセールスマンと放送作家の問答が、団地の1室で繰り広げられる。堂々めぐりの会話がみごと。そしてどんでん返し、そのどんでん返しもまたひっくり返される。巧いとしか言いようがない。
新潮文庫版の解説は福島正実。作品を解説せずに、安部 -
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1954年刊の書き下ろし。北日本の山あいの町で繰り広げられるドタバタ劇。山師と地熱発電、革命を目論む秘密結社、政治家どうしの利権争い……戦後数年経ったばかりの頃の地方の町なら、ありえたかもしれない。
登場人物はみな個性的、総勢25名のキャスト。紆余曲折の展開があるので、日曜劇場のような連ドラに仕立てたら、けっこういけるかも。
通俗小説のように書いてみるという作者の「実験」のようにも感じられる。哲学・文学・思想のニオイがないのもいい。もちろん、筋書きは緻密に計算されていて、細部ではいつもの安部公房らしさが顔を出す。たとえばギニョール人形劇が登場し(いわば劇中劇)、そこではシュールな展開があったり -
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おもしろい!と思ったり
訳がわからない!と思ったり
おとぎばなしを聞いている気分になったり
ひとつひとつが笑えたと思ったその次には
背筋がゾワ〜と恐怖を感じたり
やっぱりおもしろいのでしょうね
不思議な世界の中にも
素敵な文章の数々
次にあげる表現は雪に囲まれた冬の今だから、
なおさら心に響いて残っています。素敵な表現!
「そしてそれらの雪の上に、また新しい雪が重なり、町の表面はなだらかな雪の曲線に覆われてしまって、数日の後、もしくは数時間の後、不意に映写機の歯車に故障がおきたかのように、街全体がぴったりと動かなくなっていた」
「本当の春が近づいていたのだ‥
ある日、雲の割目から、太陽が -
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主人公の行動一つ一つが世界の不幸と照らし合わせて合理化しているのが怖い。けれどその言葉が一瞬一理あると見せてるのがさらに恐怖心を煽る。
原爆の件も自分は原爆経験者の彼女のように顔や心を傷つけられ白鳥のように飛び立った気になってる、他人の顔して演じたゆえに裏切られただけなのに飛躍してひたすらみんなの同情と喝采が欲しいゆえに複雑に空回りながらそうだと言わせようとしている。
しかし、どんな顔してもしたらダメなこともあるって気付かされた。
この本を読むに辺り、少し前の友人の言葉を思い出した。
「人間は物事を簡潔に導く」
けれどその中は深淵で顔もなくてでも複雑。簡単に導き出した逃げのようなもの、或いは -
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学生時代に読んだ本を再読。
父に薦められて読み、SF好きになり、読書習慣が付くことになった思い出深い本である。
予言機械、水棲生物の存在は常識から大きく外れている。
その異常さ、不気味さに起因しているのだろうか、読み進めるにつれて主人公の世界自体が現実から剥離していく様な感覚に陥る。
未来の残酷さを受け入れるか否かが、この本の主題となっているが、楽観主義の私は本編の未来はまだ良いように感じた。
現実では、今まさに起きている戦争ですぐ近くの国が核を撃つかもしれない。
それを起点とし、人類が滅ぶ事もあり得る。
そんな未来が無いと言い切れるだろうか。