安部公房のレビュー一覧

  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    追っているはずが追われてた、人を嵌めようとしていたはずが自分で自分を追い込んでた、飼っているはずが飼われていた……というような状況の話が多い短編集だった。
    相変わらず絶望的というか無慈悲な終わり方をする話ばかりだけどなんだか好き。

    ただ、『なわ』だけはどうしてもだめだった。
    犬好きの私はあの展開はちょっと読めなかったという個人的な問題なのであって、小説自体としては良いんだと思う…けど。

    『誘惑者』は比較的わかりやすい話で好き。
    『夢の兵士』の哀愁も。
    『無関係な死』は私もあぁなったら焦ると思うし深刻な問題なんだけど、主人公の行動はなんだかギャグにもできそうな感じにみえてきて面白かった。

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    2018年08月27日
  • カンガルー・ノート(新潮文庫)

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    公房最後の長編とあり、かなり意味深でもある内容でした。
    死をテーマに描写されていて、半分まではまあまあ笑って過ごせるが、後半からシャレにならない内容になり、かいわれ大根の行方は結果、主人公の生命であることが解説で分かりました。
    かいわれ大根が萎びていけばいくほどに、主人公の場面の置かれている状況が、どんどん死へと近付いていく。
    何故、かいわれ大根なのか若干不明ですが、たぶん生命力の強さかなと認識しました。
    ラストの新聞記事で、バン!と謎が解ける、公房のトリック。
    改めて嵌りました。

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    2018年08月11日
  • 密会(新潮文庫)

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    ネタバレ

    布団になった母、膀胱の括約筋がイカれておしっこ垂れ流しの看護婦、勃起したまま意識不明の医者、そのぺニスを玩具にする看護婦。私は読み終わり三日間連続で最低な夢を見た。

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    2018年07月26日
  • 飢餓同盟(新潮文庫)

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    閉鎖された町、革命がテーマですが、読み進めるうちに小さな組織、例えばご近所付き合いとか学校とかに例えると理解しやすいかと思います。
    正気の革命なんてものは夢。
    だが、そこに魅せられてしまう者がいて、思いが強いと狂気になり、やがてそれは成功か不成功か、人為的なものもあるけど、この本では狂気、狂気、更に狂気。
    だけど、所々ギャグコミックのような描写に笑ってしまったりもする、いいエッセンスが加わりあまり苦がない作品だけど、個人的には結構難しかったので、また読み直したいと思います。

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    2018年03月18日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    「死んだ娘が歌った・・・・・」について

    一文あらすじ

     家が貧乏なために出稼ぎで上京した少女が、「自由意志」によって殺される話。


    メモ

     職場の上司から「自由にしてよい」と命じられ、出稼ぎ先を首になった少女は、欲しくもない自由を手に絶望して自殺する。
     近代以降の人間は、自由を万人が持つべき絶対不可侵の権利のごとく認識してきた。しかし、自由とは権利なのだろうか。自由とは、意図的な力が加わらない状態のことではなかったのだろうか。
     自由を権利として定義づけ、あたかも義務かのように個人に課すこと、これは暴力にほかならない。これこそ、かつて自由を求めて闘った人々の共通の敵であったはずだ。金

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    2017年12月22日
  • 密会(新潮文庫)

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    ぶっ飛んだカルト・ムービーのようでいて外れ過ぎないというか押さえているという稀有な作品。アングラっぽさが漂うもそこに逃げていない。この世界造形はさすが安部公房という感じ。小説表現の自由や可能性が感じさせる。巻末の平岡先生の解説もいい。

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    2017年12月18日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    安部公房は以前別のを読もうとして全く入り込めなかった過去があったので避けてたけど、今回これを読んでみたらすごく面白くてすらすら読めました。

    シュールで不思議な雰囲気で、社会や政治への風刺が多い短編集だったかなという印象です。
    とんでもなくシュールってわけでもなく入り込みやすい気がします。
    後味は全体的に良くはないですね。ハッピーエンドではない…。

    『デンドロカカリヤ』が一番好きで、『手』『闖入者』あたりも好きです。

    これを機に安部公房作品もっと読んでいきたいなぁ。

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    2017年11月15日
  • R62号の発明・鉛の卵(新潮文庫)

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    安部公房との出会いは、高校2年生の時に使用していた現代文の教科書の中だった。
    本書にも収録されている「棒」という素っ気ないタイトルが冠せられた10ページ程度の作品で、非条理、無説明、急展開な内容に惹きつけられた。
    数年後に「砂の女」を読み、少し違う雰囲気だけど良いなと思い、「棒」を連想させるタイトルの「壁」の世界観は自分にははまらず、「箱男」にもそこまではまらなかった。

    しかし、短編集である本書は、良い意味で作者の混沌さが薄れており、良質なSFものとして楽しめる。
    それらはサイエンスフィクションでもあり、藤子不二雄に絵を付けてほしい 少し不思議な物語でもある。
    時代背景や設定も現代、近未来、

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    2016年12月07日
  • 密会(新潮文庫)

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    妻を救急車によって攫われた男がその行方を追うにつれ、組織としての病院と患者、そして医師に撹乱されていく話。「盗聴」という行為をもって、社会における性の統制と計画的な消費を断片的に描写しています。
    もっともらしい言葉を使って概要を述べるのは簡単なのですが、ではこの作品は何を示したかったのか?といった部分に踏み込むと途端に手がかりが無くなってしまう。結果的には「閉鎖的な異常社会と外界にはあまり差は無い。」とか、胡散臭い感想をぼんやりと持つが、それだけで済むほど焦点は少なくない。
    結局、一度二度読んだ程度では理解が難しい作品です。また、もしかすると点で読む作品では無く、安部公房の作品群として線で

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    2016年05月07日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    安部公房の一部ドタバタも含むSF中心の短編集。青年が突然、珍しい木「デンドロカカリヤ」に変化する。夜中に突然現れた見知らぬ家族によって家が乗っ取られるなど、わかりやすい恐怖から、世の中が知らぬ間に水の底になって、人間が人喰い魚に鳴ってしまうなど、常識の根本が覆されてしまうものまで、多彩な作品群。

    様々な表現が文学的で、理解するのに時間がかかることを除けば、筒井康隆や小松左京を読んできた人にとっては、非常に面白い本と感じるであろう。特に気になるのは、作中人物の思考だと思って読んでいると、急に第三者の視点のような表現が織り込まれるところ。

    こういう作品群から、現代文の問題を出されたら、絶対解け

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    2016年02月12日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    多分初めて読んだ安部公房だったと思う。
    ここで無頼派にハマった。
    若いうちに読んどいて良かった。

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    2016年01月09日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    圧倒的想像力というか空想力!
    安部公房の頭の中ってどんなことになってるんだろう。
    実存への不安感とシュールさでぐらぐらする、面白い!!

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    2015年03月10日
  • 密会(新潮文庫)

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    ここまでドギツイ性的描写ができるのはさすがです。

    ややグロテスクな表現もあるので中々人にはお勧めできませんが、
    安部公房作品が好きな方にはたまらない一作かと思います。

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    2015年02月15日
  • 無関係な死・時の崖(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ◆パス「波と暮らして」→ディキンソン「早朝、犬を連れて」を読み、無性に「人魚伝」を読み返したくなり、再読。
    ◆1957年〜64年に発表された初期短篇10篇。小説でいうと「砂の女」〜「他人の顔」の頃か。
    ◆飛び込んできた不測の事態によって、現実だと思い込んでいた世界は揺すぶられ歪み崩れ落ちる。元の世界が虚構なのか、この事態が虚構なのか。現実を取り戻そうと足掻く主人公はどちらの世界からも滑り落ち、居場所を剥奪され世界の狭間に取り残される。◆読み終えた私に残されるのは、主のいない帽子・白々とした床・緑色過敏症だけ…
    ◆はぁ、やはりこの悪夢のような世界観に魅了される。◆ゾクゾクするのは初読時から変わら

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    2015年01月12日
  • 水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

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    表題2作。
    ひどくシュールな漫画を読んでいる気持ちになる。
    水中都市にしても、デンドロカカリヤにしても
    「ある枠」をはめて物語を一層意味深くしている。この作者、物一つ眺めてからの創造力が桁外れだ。モノづくりにとってはネタの宝庫かもわかりませんね。

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    2014年12月17日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    「失踪した主人を探して欲しい」
    この時点で、安部公房を何冊か読んできた人なら、見つかることはないことは想像に難くないだろう。したがって、見つからないのである。
    いなくなった人を探して見つからないというテーマは「密会」と似ており、安部公房作品らしくどの登場人物ものらりくらりと本質を語らない。主人公もフラフラと本質に突っ込まず、心理描写を見ながら、読者がどんどん焦らされていく。プロットとしても「密会」の昼間版というところ。とはいえ、あちらほどディープでえげつない描写が有るわけでもないので、慣れていなくても割と読みやすい1冊となっている。安部公房の準初心者におすすめしたい。
    安部公房作品の読み解きの

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    2014年12月01日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    手触りかん、現在形、途中までは才能をフルに発揮、恐らく最後の数十ページは彼にとっても挑戦。いいね!!

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    2014年10月10日
  • 方舟さくら丸(新潮文庫)

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    ふと読み返したくなり再読。3年ぶりくらいに読んだが、印象が変わった。
    安部公房後期の長編。この小説の見所は「登場人物全員悪役」ということだろう。しかも小悪党。それらの登場人物が騙し合い、出し抜き合い、物語は進む。
    まず笑ったのが「デブ」の頻出具合。主人公のもぐら君がデブなんだけどデブやブタと言われたらキレる。ブタと呼ばれないために自らもぐらを名乗っているくらいだ。このもぐら君、なかなかスケベで女の尻を触ろうとしたりひっぱたこうとしたりする。笑いどころが意外に多い。
    この小説は壮大な「かくれんぼ小説」だ。みなさんもかくれんぼの経験があるだろうが、そんなワクワク感がある。偽物という意味の「さくら」

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    2014年09月27日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    ネタバレ

    安部公房作品の中で一番好きな小説。純文学と探偵小説の融合だ。
    主人公は興信所員。ある男を探してほしいという依頼を受け、調査を開始するが手がかりは次々に失われ、登場人物は死に、主人公は都会の迷路の中に追い込まれていき、追うものと追われるものが逆転し、最後には記憶喪失になってしまう。現代の恐怖を描いている。
    特筆すべきはハードボイルドなこの作風だろう。紫煙と酒がよく似合う世界。タフな主人公。ウィキペディアの「ハードボイルド」の項にこの作品は上がっている。安部公房の作品は深読みしようと思えばいくらでもできるが、難しいことは考えなくても楽しめるのが最大の売りだろう。純粋な探偵小説としても読むことができ

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    2014年07月27日
  • 燃えつきた地図(新潮文庫)

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    なぜ、安部公房の作品は文学作品だというのに、いつも、長い夢を見たような気分になるのか。文字よりもそこから喚起されるイメージのほうが頭に焼き付いて離れない。

    孤独、アイデンティティの喪失という題材を儚くも美しく、お得意のメランコリックな文体で仕上げた名作。

    社会での歯車の一部感で苦しくなっているときに読むと刺さるように心に響く。

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    2014年06月21日