五木寛之のレビュー一覧
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「山登り」にたとえての筆者の世界観を綴ったこのエッセイは、山好きな父から教わった登山者の心得そのままでした。
登山者にとって山の登りはきついもの。登っているときは早く楽になりたいと思って一生懸命に足を運びます。途中、歩きながら決して上を見てはいけません。バテてしまいます。これからの距離や、自分が登って来た道を見たいなら、一度立ち止まってから見ること。
これが父から教わった「登り」の極意です。
そして、待ちに待った頂上制覇の歓喜。苦しい道のりから解放され、山頂の風に吹かれて味わう達成感と爽快感は経験者にしかわかりません。
その後にあるのは「下山」。登り以上に気をつけて一歩一歩踏みしめるように下 -
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これはぼくの錯覚でしょうか。それとも時代とともに甘味がましたのでしょうか。
人々はむしろ心から人工甘味料を少なくした味を求めているのに。
映画もそうです。
音楽もそうです。
皆が本気で見たい、聴きたい、と思っているものを、創り手が無視して勝手に自分たちの好みを押し付けているのです。
じゃあ、小説はどうか、と、反論されると降参するしかないのですか。
しかし、いつもの思うことですが、大人のきくにたえる音楽がないのは、なぜでしょうか。
大人がレコード屋さんに行かないからだ、という意見が昔ありました。
しかし、いまは若者でもあんまりレコード屋に日参はしません。そして若者の集まるコンサートの何 -
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五木寛之さんの同名のテレビシリーズを書籍化したものです。
五木さんは知識が豊富で,感性がするどいので,とても楽しんで読み進めることができます。そして,そのお寺を是非訪れたくなるのです。
五木さんの文章を読んでいると,石段一つにも,参道のちょっとした風景にも,心を揺さぶられていることがわかります。私なんかが有名な寺院などを訪れたときには,はやくめあての本堂へ…としか思いません。でも本書を読んで,もっとじっくりと古寺を回ろうと思いました。
このシリーズの姉妹品に「写真ガイド」も出ています。こちらは,写真が豊富で,お寺の地図もあります。あわせて揃えられることをお薦めします。 -
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・この前読んだ「荒野」って小説に出て来た超然とした少年がいつも読んでいたので、気になって読んでみた。そしたら高度経済成長の日本にぼんやりとした不満を持った中流育ちの青年が海外に飛び出して魅力的な金髪女性とセックスするって内容だったから、正直に言ってあの少年にはがっかりした。中学の頃からこれ熱心に読むとかどんな設定だよと…
・それを抜きにして読むと、結構面白かった。ハタチ前後で読んだらきっともっと面白かっただろうな。真に受けて海外に飛び出したかもな。
・今現在これを読むと、なんか甘ったれた奴が海外に飛び出してって良くある話なんだけど、昭和40年代に書かれてるところを考えてみると、かなり挑戦的な内 -
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まさに人生を模索する不確かな思春期の物語。
炭鉱を舞台に一人の少年の成長が描かれています。もし思春期にこの本に出会っていたら、共感で揺さぶられまくって、主人公と同様、何かを見つけたくて、このシリーズの続編を読み漁る自分が想像できる・・・
読書は、内容はもとより、人生のどの時期に出会うか、そのタイミングも重要な要素。
そういうわけで、思春期の少年の頭の中の大きなテーマ、性への目覚めなど、小説では結構な比重を占めるけれどいまいち響かず、もし将来男の子を生んだとしたら、参考にしようとかぼんやり思う。
反対に舞台である炭鉱の荒々しさ、悲哀も秘めた力強さ、人間くさい部分には強く心惹かれるものがあ -
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本が呼ぶのか自分が呼び寄せるのか、そのときにベストな本と出会うことがたまにある。タイトルや表紙に惹かれる本は大概当たりだったりする。この本がまさにそれだった。
斜に構えれば主人公の辿る道筋にいちいち難癖を付けたくもなる。しかし、舞台は60年代なんだからこれでいいのだ。当時に生きていなかったから、いくら現在の尺度で判断しようとしても無駄だ。
変などんでん返しもなく、純粋に最後までトントン拍子にストーリーが進んでいって読んでいて気持ちがよかった。
その順調な展開が、時が経てばずいぶん青臭いと苦笑するかも知れない。だけど、青臭さを感じられることを大真面目に言葉にできたこの小説が生まれた時代が