五木寛之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
五木寛之さんの同名のテレビシリーズを書籍化したものです。
五木さんは知識が豊富で,感性がするどいので,とても楽しんで読み進めることができます。そして,そのお寺を是非訪れたくなるのです。
五木さんの文章を読んでいると,石段一つにも,参道のちょっとした風景にも,心を揺さぶられていることがわかります。私なんかが有名な寺院などを訪れたときには,はやくめあての本堂へ…としか思いません。でも本書を読んで,もっとじっくりと古寺を回ろうと思いました。
このシリーズの姉妹品に「写真ガイド」も出ています。こちらは,写真が豊富で,お寺の地図もあります。あわせて揃えられることをお薦めします。 -
Posted by ブクログ
・この前読んだ「荒野」って小説に出て来た超然とした少年がいつも読んでいたので、気になって読んでみた。そしたら高度経済成長の日本にぼんやりとした不満を持った中流育ちの青年が海外に飛び出して魅力的な金髪女性とセックスするって内容だったから、正直に言ってあの少年にはがっかりした。中学の頃からこれ熱心に読むとかどんな設定だよと…
・それを抜きにして読むと、結構面白かった。ハタチ前後で読んだらきっともっと面白かっただろうな。真に受けて海外に飛び出したかもな。
・今現在これを読むと、なんか甘ったれた奴が海外に飛び出してって良くある話なんだけど、昭和40年代に書かれてるところを考えてみると、かなり挑戦的な内 -
Posted by ブクログ
まさに人生を模索する不確かな思春期の物語。
炭鉱を舞台に一人の少年の成長が描かれています。もし思春期にこの本に出会っていたら、共感で揺さぶられまくって、主人公と同様、何かを見つけたくて、このシリーズの続編を読み漁る自分が想像できる・・・
読書は、内容はもとより、人生のどの時期に出会うか、そのタイミングも重要な要素。
そういうわけで、思春期の少年の頭の中の大きなテーマ、性への目覚めなど、小説では結構な比重を占めるけれどいまいち響かず、もし将来男の子を生んだとしたら、参考にしようとかぼんやり思う。
反対に舞台である炭鉱の荒々しさ、悲哀も秘めた力強さ、人間くさい部分には強く心惹かれるものがあ -
Posted by ブクログ
本が呼ぶのか自分が呼び寄せるのか、そのときにベストな本と出会うことがたまにある。タイトルや表紙に惹かれる本は大概当たりだったりする。この本がまさにそれだった。
斜に構えれば主人公の辿る道筋にいちいち難癖を付けたくもなる。しかし、舞台は60年代なんだからこれでいいのだ。当時に生きていなかったから、いくら現在の尺度で判断しようとしても無駄だ。
変などんでん返しもなく、純粋に最後までトントン拍子にストーリーが進んでいって読んでいて気持ちがよかった。
その順調な展開が、時が経てばずいぶん青臭いと苦笑するかも知れない。だけど、青臭さを感じられることを大真面目に言葉にできたこの小説が生まれた時代が -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
そろそろ覚悟をきめなければならない。
「覚悟」とはあきらめることであり、「明らかに究める」こと。
希望でも、絶望でもなく、事実を真正面から受けとめることである。
これから数十年は続くであろう下山の時代のなかで、国家にも、人の絆にも頼ることなく、人はどのように自分の人生と向き合えばいいのか。
たとえこの先が地獄であっても、だれもが生き生きした人生を歩めるように、人間存在の根底から語られる全七章。
[ 目次 ]
第1章 時代を見すえる
第2章 人生は憂鬱である
第3章 下山の哲学を持つ
第4章 日本人に洋魂は持てない
第5章 他力の風にまかせること
第6章 老いとは熟成である
最終