五木寛之のレビュー一覧
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インフルエンザ禍で街も閑散とする中、出掛けるも能わず読む本の、巡礼の旅はもう一度戻って京都へ。
近くにあるのに行ったことがないところも多くて、ほんとに奥が深いよね。
『転変のなかに寺と寺をとりまく風景だけが歳月をこえて生き続けている。そこに身をおくことで、私たちは時間の流れの外側に立つような、ふだんは感じることのできない世界に触れることができる』とあるけれど、今回も紹介される十のお寺に十の物語があり、それぞれに興味深い。
中でも永観堂の「みかえり阿弥陀」のお話しのなんという暖かさ。
知恩院の項に法然、親鸞、蓮如と続く念仏の教えの源流が述べられているが、『日本人のこころのなかに非常に深く、そして -
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第8巻は山陰・山陽。
こちらもまた行ったことないお寺ばかりだけれど、地域的には何となく親しみがありますね。
それにしても巻頭の三佛寺投入堂の何という奇観。
いつもは寺を訪ねて奔放に話を広げる筆者も今回ばかりはひたすら登頂というか登坂の経緯に終始する。
崖に張り付く不思議な堂宇の尽きせぬ魅力。右半身不随となった土門拳がそれでも弟子に引かせて何回も登ったとあるが、確かに写真を見れば確かにこれだけで腹一杯。
そして終章の“川底に沈んだ幻の中世都市”のお話。
草戸千軒町遺跡のことは全く知らなかったけれど(芦田川の中洲というと福山競馬場もほんの近くな訳で)、それらを見下ろす明王院の五重塔の在り様に歴史の -
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五木寛之さんの「百寺巡礼」は文庫本で10冊あります。
奈良、北陸、滋賀・東海、関東・信州、関西、東北、山陰・山陽、四国・九州、京都1,京都2、と分けられています。
滋賀県の三井寺、延暦寺、石山寺に行こうかと思い、ガイドブックとして読みました。
味わいのある紀行文です。
日本で一番人口あたりの寺が多い県は、滋賀県だそうです。
寺の総数も京都府よりも滋賀県が多いそうです。
奈良か京都が寺は多そうですが、意外な事実です。
石山寺は瀬田川の畔にあります。
瀬田川は琵琶湖から流れ出て、京都にはいると宇治川と名前を変えます。
石山寺と宇治がつながっているわけです。
五木寛之さんは -
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このシリーズは、1、筑豊篇2、自立篇3、放浪篇4、堕落篇5、望郷篇までを4年ほど前に従兄弟にもらった。
6、再起篇までは買い足して読んだが。7、挑戦篇8風雲篇は未読。5、望郷篇の後半から6、再起篇の前半までが少しブレというかスムーズに話は進まない感覚はある。
五木寛之さんは昭和46年ぐらいにはその時点での単行本を多く読んでいたが『青春の門』だけは未読だったので6巻を一気に読んだ。そのあと、あまり本を読まない家内も一気に読んだので。五木寛之さんの読者を惹きつける筆力のすごさを再認識したシリーズである。素晴らしいエンターテイメントだと思う。
五木さんは「のぶひろし」をはじめ数種のペンネームで作詞 -
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おととい購入して一気に読む。
日々感じていること、
感じているのに言葉にできないこと
うん、、そうそう、、、
これを私は感じていたの!
言葉にしてくださってありがとう!五木先生!という感じ。
目に見えるものだけを信じる時代ではない。
目に見えないものもまたあわせて信じていくことが、人間の幅になるということ。
父性的な「理」や「智」だけで日本はここまで着たけれど、
母性的な「情」というものもまた見つめなおす時期なのではないかということ。
日本人のアニミズムを見直すということ
アニミズムとは、木にも草にも虫にも、山にも川にも、ありとあらゆるものに「魂」があり、そしてそれを「生きている」 -
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百寺巡礼の旅も4巻目を数え、私の住む滋賀県へ。
それにしても滋賀県が人口当たりの寺院の数で全国一であるのみならず、単純に寺院の数で比較しても京都より多いなんて知らなかった。
そう言われてみると、散歩していてもそこかしこで確かにお寺に突き当たるもんね。
で、そうやってお寺を見ながら歩いていて、また気が付くことに、路傍に祀られているお地蔵さんが多いこと。
歴史の舞台にして、交通の要所、本編の中にも度々「信長の焼き討ち」が出てくるけれど、そうした地勢と歴史の中で、近江の人たちががそこにある色々なものを拠り所にして生きてきたことを偲ばせる。
昨年沢山の本を読み、心震わすことも多かったが、何より感じたの -
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このひと月の間、京都の町は紅葉見物の人で賑わい、東福寺もまた例外ではなく、淀への乗り換える駅のホームから溢れそうな人にうんざりする。
百寺を巡る旅も第3巻で京都に入る。
金閣、銀閣、東と西の本願寺、南禅寺、清水寺、東寺など観光客にも馴染みの深い寺を巡りながら、しかし描かれる風景は雑踏の観光客とは一線を画し、朝廷や室町幕府が置かれた京都ならではの歴史の上に、夫々の寺と仏の教えがそうした時の権力や民衆とどういう関わりを持ちながら今日まで生き抜いてきたかが語られる。
北山文化や東山文化の栄華を描きながら、一方でそれが鳥辺野や化野の地獄図の上に成り立っていたこともあわせて語り、金閣の輝きは無名の民草の -
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日差しは変わらず夏の強さも木陰の風は秋の気配を運ぶ彼岸の中日。
そんな日に読むこの本の、なんとまあ清冽で凛とした佇まいに溢れていることか。
仏の掌の上で慈しまれるように仏像を愛で、未訪の寺はもとより既知の場所でも改めて訪れたくなる描写と薀蓄。
人情溢れるひっそりとした山里で凛と立つ室生寺。
花の寺の俗っぽさに現代の巡礼を見る長谷寺。
大衆の志や信心に支えられ立つ二つの塔が時を超えた景色を見せる薬師寺。
命を投げだしても遂行された鑑真の遺徳を偲ぶ唐招提寺。
一瞬一瞬の天候に応じ変化する苔の海に伎芸天のおわす秋篠寺。
聖徳太子から親鸞へ受け継がれた平等思想に思いを馳せる法隆寺。
日本人の心の渇きを