五木寛之のレビュー一覧
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昔に五木さんが体験したことや私が知らない当時の文化人のエピソードなど新鮮な話が多かった。
戦後の大変な時代のエピソードは逞しくもあり、勇気づけられる想いがした。
五木さんは大学生時代はアルバイトに明け暮れており、授業料が払えず大学に休学を申し込むが、その場合未納の授業料を全額払うように言われた。だが、それは無理だと伝えると中退とはならず結局抹籍扱いとなった。中退は一つの公的な資格らしい。著名人の学歴詐称が時々問題になることがあるが、その裏には事情がある場合もあるのかなと思った。
後年、作家として活躍するようになってから大学総長にお会いして未納の授業料を払って中退扱いにしてもらったエピソード -
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1深く悲しむ―いのちの、真の活性化にむけて
2自分という奇蹟―何がいのちを支えているのか
3風土と人間、そして歌―時代を生き抜くちから
4免疫のおしえ―何がいのちを決定するのか
5「悲しみ上手」の復権―「心の内戦」をこえて
6“慈”の力“悲”の力―痛みを共有すること
7布施と慈悲―人にやさしくあるために
「泣く」のは日本の文化―生きるエネルギーの源とは
9喜びの底にある哀愁―「明るさ」を知り、「暗さ」を知ること
10「生きている」ことの価値―生命の実感を取り戻すこと
11「泣く」ことの浄化作用より深い喜びを知るために
12感情表現の効用―豊かな「喜怒哀楽」に生きる
13「罪」の文化「恥」の文化 -
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ウクライナ侵攻によりロシアの存在感が高まる中、ロシアという国、ロシア人のものの考え方を知ることが大切である。
前書きには、「人間とは何かというテーマに対して、ロシアを切り口にして人間について語り合った。人間力をつけるための究極の実用書として活用してほしい。」とある。
テレビ映画「捕虜大隊・シュトラフバット」では、捕虜大隊は、下がったら撃ち殺される。諜報部隊のスメルシュは、狼藉を働いた囚人兵を打ち殺し、恐怖である。
ウクライナのクライは、辺境という意味。ロシアとウクライナでは、捉え方が違う。ウクライナ西部のガリツィア地方は、第二次世界大戦中はドイツについた。ロシアとは相入れない地域。ソ連時 -
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40代にもなるとある程度人生の先行きが見えてきて、希望がない感覚に陥ることがある。「ミドルエイジ・クライシス=中年の危機」と呼ばれるこのアイデンティティや自己肯定感の喪失は、人生100年時代と言われても残りの時間がただ延長されて辛いだけみたいな絶望感に苛まれる。
そんな人生の有意義・無駄を評価するメリトクラシー的な価値観こそが傲慢であり、自分自身だけではなく他者にもそんな考えを押し付けようという在り方が、実はその苦しさの正体なのではないか。とくに経済的な成功や社会的地位の上昇など、都市的な分かりやすいアイデンティティにこそ落とし穴があると筆者は指摘する。
人間は時代という大河を流れるほんの -
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著者の仏教にかんするエッセイのほか、臨床心理学者の河合隼雄、作家で禅僧の玄侑宗久との対談を収録しています。
著者は、作家業を休止して龍谷大学で仏教学を修めており、また親鸞や蓮如をはじめとして仏教を題材にした多くの作品を刊行していることで知られています。そうした著者の仏教に対する関心は、一方では現代人にとって仏教のもつ意義を問いなおすことへと向かっていき、他方では日本における仏教受容の前史へとさかのぼっていきます。著者は、百済から仏教が渡来する以前にも、民間の交流を通じてさまざまなしかたで仏教がこの国に伝えられていたと考えており、そこでは口誦伝説や生活体験、迷信のようなものを含みもっていたにち