甘糟りり子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
3つの話が入っているがそれぞれが少しづつ関係し合っていてどれも面白かった。子供を持つか持たないかですれ違う夫婦の話、同性愛カップルと離婚した夫婦の周りの人々を巻き込む家族関係の話、高齢だけれどどうしても子供が欲しくて海外で最新の卵子提供と移植を受けることを決めた夫婦の話。夫婦の数だけ、というより人の数だけ子供を持つか持たないかということに関しての物語はあるんだろうと思った。私も結婚したら子供は持って当然という周りの風潮に辟易した時があった。最近はだいぶ柔軟な考えになって来たと思うけれど今だに子供がいる=幸せというイメージはあると思う。これから色々な夫婦の在り方、親になるかどうかの決断が尊重され
-
Posted by ブクログ
タイトルからずっと気になっていた作品。
妊娠と出産を巡る8つの物語。
8つの物語はそれぞれ短編集になっていて、ひとつひとつ読み終える事に感情が揺さぶられて読み終わるのに時間がかかった。
どの短編に出てくる女性たちはとても強くて、悩み・葛藤しながらでもどんな選択も正しいと思わせてくれる。
解説にもあるように、
『他人や社会が何を言おうとあなたが悩んで考えて自分で決めたことならそれが“正解”』なのだ。
まさにその通りだと思った。
スラスラと読めるような内容ではなかったが、女性ならではの悩みや葛藤もあり、読んでいて出てくる人物達に感情移入をして苦しくなる場面も多々あった。
が、結果的に自分の選 -
Posted by ブクログ
ガーデンハウスに置いてあって気になった本。
田村隆一と同じく稲村ヶ崎に長いこと住んでいたエッセイストのエッセイ。
父と母のことを中心に生活の思い出が描かれる。
なんというかバブリーな感じの人だなあと思う。父はマガジンハウスの副社長で、母は野草料理研究家ということもあって、実家も裕福かつ文化的な生活を営んでいたみたい。著者自身も物怖じせずに色々なことに挑戦する性格らしく、なんというか自由な感じでいいなあと思う。
でもグルメで出てくるお店のチョイスのセンスはすごく良い。あと、とても読みやすい。
こういう生活も悪くはないな、と思える一冊でした。 -
Posted by ブクログ
産む人、産まない人、産めない人、同じ女性でも立場が違う。結婚してるかしているかの線引きはない。
私は産まないを選択した1人。桜子のようなエネルギーは無いから、百合子の立ち位置が近いかも。夫との子どもを産み育てたいけど、そんなエネルギーも余裕もないから、産まないことを選んだ。
どんな選択をしようとも、この話の中に出てくる女性たちはみんな素敵。人生がガラリと変わる経験があっても、強くなったって思えるってなかなかむずかしい。特に桜子と重美の話が好き。産んでいない人という立場が同じ2人の状況が変わっていく。最後は産むとか産まないとかにとらわれない関係性になっていく所にぐわぁっとした感動があった。私の周 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集。全てのお話が、つらい状況でも終わり方がすごく前向き。
ダウン症の姪が産まれる、「レット・イット・ビー」の最後が良いなと思った。
「妊娠したら産めばいいし、機会がなかったとしても後悔する必要もない。ないものばかりを捜す毎日はつまらないし、手にしたらきっと他のものが欲しくなる。あるがままに。」
この箇所を読んで、泣くまではいかないけど、じーんと来た。
私自身は、子どもを一人産んだけど、妊娠も出産も育児も、一人で精一杯、二人目は無理と思っていて、でも本当に二人目を産まなくて良いんだろうか…と悩んでしまっていた。だけどこの箇所を読んで、ないものを捜しているだけなんじゃないかと思った。二人目を -
購入済み
結婚したら子供がいるのが当たり前、子供が欲しくないなら結婚する必要などない。。。そんな価値観が蔓延しているような世界観で読んでいて息苦しかった。別に結婚するのは子供のためではないだろうに、なぜか「結婚=子供」なところがまだある日本。少子化の問題はひとまず置いておいて、子を持つ持たないの個人の選択ぐらいは尊重してもいいのではなかろうか???
-
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
鎌倉の海辺のホテルで、ウエディングプランナーとして働く美春。一つ年上の夫・朋希の40歳の誕生日に、ライカのカメラを奮発したことから二人の仲がぎくしゃくしはじめる。結婚するときに、子供はいらないと充分確認し合ったはずなのに、将来のために子供のことを考えたいと言い出したのだ。それからは母親の手術をきっかけに、不妊治療中の姉夫婦とも不仲になるなど、朋希との隔たりは一向に修復できないまま。そのあげく、二人は子どものことが原因で離婚に至るのだった……「独身夫婦」/結婚12年。夫が突然家を出ていき、義母と息子、友人カップルたちと鎌倉の古民家に同居することになり……「拡張家族」/再婚同士、43 -
Posted by ブクログ
「妊娠」についての短編小説。
シングルマザー、再婚、男性の育休取得、不妊治療、死産、未婚ママ、ダウン症、子宮体癌。
はじめて甘糟りり子さんの小説を読みました。
タイトルから、女性の立場からのストーリーなのかなと思っていましたが、中には男性の育休取得のストーリーもあり、興味深かった。
最後、解説で大矢博子さんが「妊娠や出産について、そんな周囲の声と自分の気持ちの狭間で悩む全ての人に、本書をお届けしたい。」と書かれていた。
どの年代、性別、価値観であっても考えさせられるストーリーになっていて、最後はどの選択をしても正解であり、間違えではない。
どの選択をしても、自分はこれでいいと思える1冊 -
-
Posted by ブクログ
このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
さらに、一編ずつが短いのもポイント。
ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰