あらすじ
鎌倉の海辺のホテルで、ウエディングプランナーとして働く美春。一つ年上の夫・朋希の40歳の誕生日に、ライカのカメラを奮発したことから二人の仲がぎくしゃくしはじめる。結婚するときに、子供はいらないと充分確認し合ったはずなのに、将来のために子供のことを考えたいと言い出したのだ。それからは母親の手術をきっかけに、不妊治療中の姉夫婦とも不仲になるなど、朋希との隔たりは一向に修復できないまま。そのあげく、二人は子どものことが原因で離婚に至るのだった……「独身夫婦」/結婚12年。夫が突然家を出ていき、義母と息子、友人カップルたちと鎌倉の古民家に同居することになり……「拡張家族」/再婚同士、45歳で結婚した花葉はどうしても二人のDNAをこの世に残したくなり、最新技術を求めて海外へ……「海外受精」──妊娠と出産をめぐって“女性の選択”を問いかける小説集!
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Posted by ブクログ
3つの話が入っているがそれぞれが少しづつ関係し合っていてどれも面白かった。子供を持つか持たないかですれ違う夫婦の話、同性愛カップルと離婚した夫婦の周りの人々を巻き込む家族関係の話、高齢だけれどどうしても子供が欲しくて海外で最新の卵子提供と移植を受けることを決めた夫婦の話。夫婦の数だけ、というより人の数だけ子供を持つか持たないかということに関しての物語はあるんだろうと思った。私も結婚したら子供は持って当然という周りの風潮に辟易した時があった。最近はだいぶ柔軟な考えになって来たと思うけれど今だに子供がいる=幸せというイメージはあると思う。これから色々な夫婦の在り方、親になるかどうかの決断が尊重されるようになると良いと思う。
結婚したら子供がいるのが当たり前、子供が欲しくないなら結婚する必要などない。。。そんな価値観が蔓延しているような世界観で読んでいて息苦しかった。別に結婚するのは子供のためではないだろうに、なぜか「結婚=子供」なところがまだある日本。少子化の問題はひとまず置いておいて、子を持つ持たないの個人の選択ぐらいは尊重してもいいのではなかろうか???
Posted by ブクログ
【あらすじ】
鎌倉の海辺のホテルで、ウエディングプランナーとして働く美春。一つ年上の夫・朋希の40歳の誕生日に、ライカのカメラを奮発したことから二人の仲がぎくしゃくしはじめる。結婚するときに、子供はいらないと充分確認し合ったはずなのに、将来のために子供のことを考えたいと言い出したのだ。それからは母親の手術をきっかけに、不妊治療中の姉夫婦とも不仲になるなど、朋希との隔たりは一向に修復できないまま。そのあげく、二人は子どものことが原因で離婚に至るのだった……「独身夫婦」/結婚12年。夫が突然家を出ていき、義母と息子、友人カップルたちと鎌倉の古民家に同居することになり……「拡張家族」/再婚同士、43歳で結婚した花葉はどうしても二人のDNAをこの世に残したくなり、最新技術を求めて海外へ……「海外受精」──妊娠と出産をめぐって“女性の選択”を問いかける小説集!
『産みたくないことにどうして理由がなくちゃいけないんだろう?欲しくない、ただそれだけなの。欲しいことに理由はいらないのに、欲しくないことに言い訳を考えなくちゃいけないなんて理不尽だと思う』
『幸洋は空気とか水みたいな存在。ライフラインだった。そして、自分は幸洋に足りないものを持っている。欲望とそれを実現しようとする意志だ。』
【個人的な感想】
3つの物語が少しずつ繋がっていて読んでいて「あ!あの人だ!」となって楽しかった。
3つ目の物語の最後が不穏な終わり方で、個人的に好きだった。
今の私を肯定された気持ちと、数年後も同じ気持ちでいられるか、10年後にいま結婚・出産を選ばなかったことを後悔しないかを考え込んでしまう気持ち。そのどちらもが自分の中にあって、今の自分にとって必要な本だったと思う。
また数年後に読んだら違う感想を持ちそう。
Posted by ブクログ
産みたくないということには、どうして理由が必要なんだろう。
本の帯に大きくそのように書かれていて、思わず手に取りそのまま購入しました。
読む人によっては重く辛い内容かもしれません。
物語に出てくる女性陣が、わたしと年齢が近いこともあり親近感。
読みながら結構刺さることがあります。
全体的には読みやすく、すぐに読み終えました。
点と点が少しずつ繋がっていくシーンがあり、その都度、心が震えます。
甘糟りり子さんの他の本も読みたいと思いました。
Posted by ブクログ
鎌倉を舞台にした、妊娠・出産をめぐる女性の選択を問いかける3つの話が収録されている。
ウェディングプランナーとして働く美春と、結婚時に子どもを持たないと話していた夫が40歳になって子どもの可能性を考えるようになった夫との話。夫のなんとも言えない言い分により別居・離婚になった真子と息子、義母や友人カップルたちの話。子どもを持ちたいとしながら年齢的にも難しくなってきて、それでも遺伝子的になんとかする選択をしようとする話。
結婚するしないもだし、子どもを持つか持たないかもだし、家族の形・あり方もだし、自分だけでなく周囲もだし、本当に色々と問いかけられてる感じがある。唯一絶対の正解がある訳ではない。人によって色々な考え方があるだろうと思う。けど、誰かの思う唯一絶対が正義、みたいにならないようにあればいいと思う。
Posted by ブクログ
産まない理由、結婚しない理由。何でも理由を問われる。何が正解なんだろう、なんてありもしない答えを探したりして。好きなことに理由なんかないよな。泣きそうになりながら読んだ1冊。
Posted by ブクログ
鎌倉を舞台に、3組のカップルたちの「子どもを持つ・持たない」事情を語る3つの短編。
子どもを産んでも産まなくても、それぞれの苦労や不安はあるし、どちらが正しいとか、どちらが幸せとかいう基準はない。
ただ、その選択をパートナー同士で納得しているか、お互いの考えを尊重し合っているかが、人生を共に歩む上での幸福なのだと思う。
鎌倉に実在するお店が度々出てくるので、その美味しそうな描写に、いつか鎌倉に行く時には訪れてみたいと思う。
Posted by ブクログ
妊娠や出産は「結婚したらするのが当たり前」と今の時代でもそう思う人は多い。
でも、この本に出てくる女性たちは、その〝当たり前〟に立ち止まり、自分の気持ちと向き合っている。
また、子どもをもつかどうかは夫婦で決めることなのに、女性だけに任せがちな不妊治療や「まだ?」と無神経に聞く人の存在も描かれていて、社会の無意識なプレッシャにも気づかされた。
「産む、産まない」ら自分で決める。そしてその選択に誇りをもつ!!!!!
Posted by ブクログ
最後のページは少し心がざわついた
いくら少子化とはいっても多様性が認められてきた今、子供を産む、産まないはその人の自由と思う。
まだまだ会社には平気で結婚した次は子供だねって言ってくるおじさんがいるけど、、、
3つの物語があったけど、どれも本のタイトルにちなんだものというわけではなかった。
Posted by ブクログ
子供を持つこと、それにまつわる家族の様子が描かれている小説3篇。
個人的に一番共感できたのは一番最初の小説の二人。妻の美春は100%子どもいらない派で、一方夫の朋希は子どものいない人生を選択する覚悟ができていない。今の自分にはこの二人が同時に存在している感じがする。
特に美春の心情を表した以下の箇所は本当にその通り〜〜〜と思ったし、
「子供が嫌いなわけではない。でも、好きでもない。かわいいと思う子もいれば、どうしても関心を持てない子だっている。別に関心を持つ必要もないのに、そのことを後ろめたく感じてしまう自分が腹立たしい。」p21
一方で、朋希の「欲しいわけじゃないけど、絶対いらないとも思えない」というスタンスもめちゃくちゃわかる(朋希に対しては結婚する前に覚悟決めろよとも思うけど、人間だし迷うこともあるよね、でもちょっとイラっとするぞ、という感じ)。
世の中には自分と同じように迷っている人もいるんだなーと思うと、少し安心した。
3話目の海外受精の話は、終わり方が唐突に不穏な感じでいい終わり方だと思った。
最後の夫婦は根底ではすれ違ってるんだろうなぁ。子供ができても、いつかどこかでそのすれ違いから別れにつながりそう。そもそもけっこう離婚リスクありそうな感じではあるが。
著者の他の小説で、『産む、産まない、産めない』では産まない人の話が描かれてなかったけど、それをここで読めてよかった。自分の仲間を探してるような感じだけど、できたら一番目の人のような話がもっと読みたいな〜。
そうそう、前の小説もそうだったけど、それぞれの話の登場人物に少しずつ繋がりがあって面白かった。
Posted by ブクログ
独身夫婦の絶対欲しくない人と欲しいか欲しくないか半端で良くわからない人の離婚はなんだかよくある話っぽいなと思いながら読み進めた。
絶対欲しい、欲しくないで振り切れられたら楽なんじゃないかと思うけどどの立場でも思う事はあるんだろう。
Posted by ブクログ
自分は子どもを産まなくてもいい、という女性の気持ちを周りに理解してもらうのはとても難しいなぁと一編目を読んで感じた。多様性の時代なんて言っても、自分や家族にそれが降りかかってくると途端に「普通ならこうなのに」という枠にはめ込まれてしまう。誰もが自分の選択に疑問を持たないで済むようになるといいな。
Posted by ブクログ
子供は作らないと言う約束を歳をとってくるに従って様子が少し変わってきた。考え方も色々あるが難しい,女性同士 再婚 つれ子での結婚 思いはいろいろだが、自分が良ければ後は自分たちで頑張って行く.人生は本当に色々な事がありすぎ、それが人生,出産したことがない夫婦には自分たちの子育てはわからないと言う人がいるが、生まれなかったのか。生みたくないのか、言った人たちにはわからない。簡単に口にすることでもないような気がする