甘糟りり子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なるほどなあと思う。女性、出産をとりまくいろんなケースをつまみ読みすることができて、いろんな選択肢があるんだな、という感想を覚えた。
どうしても自分の子どもが欲しいという人もいるし、子どもよりも自分の人生を優先させたいという人もいる。また、医学の進歩によって選択肢が増えることで、悩みも複雑になっていくという面もある。
子どもは育てたいと思っていたので、妊娠できる年齢のことについて、また、特別養子縁組についてのことが知れてよかった。作者も、悩んでいる女性たちに選択肢を提示するということをしたかったんだろうと思う。
肉体的な女性と男性、精神的な男性と女性。それらが複雑に組み合わさって人間はできているから、ややこしい。最後の男性の妊娠劇も、どこか他人事めいた感じの描き方が印象に残った。
個人的には、妊娠も出産も子育ても、女性がしなければいけないから女性は損だ、ということはまったくないと思う。それだけ神秘的な体験を出来る女性というのは、ほんとうにすばらしい性別だと思う。その体験をしたことが、仕事にも生かされるような社会になっていないとしたら、それは私たちの社会が未熟であるためだと思う。ほんとうに、女性というのはうつくしい。それを守るためには、どんな科学技術よりも、ひとりひとりの心がけしかないのだと思う。 -
Posted by ブクログ
「中年前夜」からの甘糟作品二冊目。
序盤はバブリーな内容に興味が持てなかったものの、ワン・アイド・ジャック以降、登場人物に深みが出たことにより少し面白く。
たとえばそれは、
アッピアでは哀愁を漂わせていた川上老人がワン・アイド・ジャックでは品性のかけらもないように描かれていたり、
アロマフレスカではろくでもない恋人だった亮輔がワン・アイド・ジャックでは「品定め」される立場になって翻弄されていたり、
キャンティ、ブルディガラ、モレスクのそれぞれで、英子、あゆみ、美香との関係を通して浮き彫りになっていく大沢の強さと脆さだったり。
そういう点ではよくできた連作短編集。
以下、解説抜粋。
「アッピア」では外面しか記されていなかった美也子が「更科堀井」「アロマフレスカ」と読みすすむうちに血が通い、肉がつけられ、心を添わすことさえ可能なひとりの女になっていく。あゆみの目線で描かれた「ブルディガラ」の大沢と、「モレスク」の彼は、同じ男でありながら、まったく違う顔を見せる。こうした小説作法は珍しいものではないが、当然、章ごとに登場人物を一新するよりも、著者自身が物語に、深く関わらなければ描けない。