甘糟りり子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なるほどなあと思う。女性、出産をとりまくいろんなケースをつまみ読みすることができて、いろんな選択肢があるんだな、という感想を覚えた。
どうしても自分の子どもが欲しいという人もいるし、子どもよりも自分の人生を優先させたいという人もいる。また、医学の進歩によって選択肢が増えることで、悩みも複雑になっていくという面もある。
子どもは育てたいと思っていたので、妊娠できる年齢のことについて、また、特別養子縁組についてのことが知れてよかった。作者も、悩んでいる女性たちに選択肢を提示するということをしたかったんだろうと思う。
肉体的な女性と男性、精神的な男性と女性。それらが複雑に組み合わさって人間はで -
Posted by ブクログ
「中年前夜」からの甘糟作品二冊目。
序盤はバブリーな内容に興味が持てなかったものの、ワン・アイド・ジャック以降、登場人物に深みが出たことにより少し面白く。
たとえばそれは、
アッピアでは哀愁を漂わせていた川上老人がワン・アイド・ジャックでは品性のかけらもないように描かれていたり、
アロマフレスカではろくでもない恋人だった亮輔がワン・アイド・ジャックでは「品定め」される立場になって翻弄されていたり、
キャンティ、ブルディガラ、モレスクのそれぞれで、英子、あゆみ、美香との関係を通して浮き彫りになっていく大沢の強さと脆さだったり。
そういう点ではよくできた連作短編集。
以下、解説抜粋。
「アッ -
Posted by ブクログ
『みちたりた痛み』以来、ついつい甘糟りり子の作品には目が行ってしまう・・・
実在の有名ホテルを舞台にした恋愛模様10編である。ありふれた表現となってしまうが、ちょっとセレブな内容が満載である。こんな贅沢ができたら・・・というシーンがそこらここらに・・・しかし暮らしは優雅なれど必ずしも幸せとは限らない。そんな内容がそこらここらに描かれているのが甘糟りり子である。殊に女性の心理描写の描き方はちくちくとした痛みを伴うものがある。
10編それぞれであるが、破局的な結末ではなくてもなんだか幸せとはいいがたい・・・甘糟りり子の小説を読んでいると、男女の中の幸せを形作るのは曖昧で難しいということが