甘糟りり子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初めての、甘糟りり子さん。
SNSで婦人科系の病気に罹り、悩んだ末に読んだという記事を知って。
自分は不妊治療はなく経済的な理由とその他もろもろと家族と話し合い、
子なしの選択をした。でもどこかで踏ん切りがつかなかったのだろう…
「読んだら答えがわかるのかもしれない」と不思議に思った小説です。
『女性は子どもをつくることが使命』
子孫を残さなければいけない『固定概念』
それが私たち女性を縛っているのではないかと思っている(たぶん)。
第四話の『コイントス』、産婦人科医の言葉が衝撃的でした。
「出産が女の人生の全てとは考えないようにしませんか」
その固定観念が『正解』じゃなく、本人・家族が『一番いい道だと決めたものが正解』であること。妊娠・出産は本当に奇跡。機会がなかったとしても後悔する必要はない。その言葉は自分自身への『解い』だったのではないかと思い心がスッとしました。
また男性の育休。導入してる企業も増えてきていますが、まだまだ男性が育休を取るというのが少ない印象。育児だって女性がやる仕事ではない、男性だってやる仕事。それが家族という『組織』なのだから。そういう部分も解消していける世の中になることを願ってます。
仕事と育児・男性の育休・死産・婦人科系のガンに不妊治療と、どれも女性がぶち当たる壁。それぞれを経験している8人の女性の感情が繊細に描かれていて、心が潰されそうになりましたが…。
数年前にこの本に出会ってから、今とは違って価値観が変わっていたのかもしれない…と思いました。 -
Posted by ブクログ
私は半年前に死産を経験しました。その辛さを誰にも打ち明けることができず、気持ちの整理もつかないまま日々過ごしています。
誰かに話しても「どうせ誰もわからない」と思ってしまっていますが、それでも誰かに共有したいという気持ちがありました。テーマを絞ってこの本に辿り着きました。
『温かい水』では死産について描かれており、あまりにも感情移入しすぎて、涙が止まりませんでした。
短編形式で複数のテーマが扱われているため、各テーマについてもっと深く掘り下げられる余地があるように感じました。
現実はもっと苦しく、もっと地獄のような日々です。
しかし、自分の言葉にできない感情や葛藤が様々な場面で言語化されており、共感できました。どんどん感情移入しました。
たくさん泣いたら、少し気持ちが楽になりました。
各テーマの主人公たちは、最終的に前向きに切り替えようとしていますが、情けないながら、私はまだその段階に至っていません。それでも、たくさん泣くことでほんの少しだけ前進した気持ちもしています。
私は今、周りの幸せを感じると、「なぜ私は、、」と毎回思ってしまい、自分がどんどん嫌な人間になっているような気がします。
「惨めな気持ちは心を醜くする」という言葉が小説内にありました。
まさに自分自身に当てはまると感じました。
前向きにはなれやいし、すぐには立ち直れない、けれど言語化できたことで少しスッキリしました。
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Posted by ブクログ
初読みの作家さんだったが、とても読みやすく、つらい内容の割に読後感は優しい。
社会で活躍する女性たちの出産に関わる葛藤。
【第一話】 39歳女性弁護士の、卵子凍結から顕微授精という選択。
【第二話】 実業団のマラソンランナーは食事制限が厳しくて生理が止まったまま。
【第三話】 アラフォーで人工授精をして妊娠、妊娠高血圧症候群で早産後に他界。
【第四話】 男性不妊、無精子症。
【第五話】 産休育休から職場復帰後、仕事と育児の苦悩。
【第六話】 不育症で流産を繰り返した後、特別養子縁組と言う選択。
【第七話 】「マタニティーコントロール」?? なるほど、未来の話で二度読みして納得。
前作の「産む、産まない、産めない」も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ妊娠や出産などにまつわる7つの物語の短編集。
女性なら一度は考えたことがあるような想いがつまっていたり、心が揺さぶられるような共感する物語もあったり。
個人的には、「ターコイズ」と「五つめの季節」の物語が好みだった。
最終話の「マタニティ・コントロール」は衝撃的だった。読む人によっては飛躍しすぎだとか、異色すぎると違和感を抱くかもしれない。
だけど、作者が伝えたかった、いろんな選択といろんな正解という意味では読んで良かったと思えるし、そう遠くない未来もあるかもしれないと思えるような内容だった。
「人生は、若くない女にどこまで意地悪なんだろう」
あとがきにもあるように、産む人も、産まない人も、産めなかった人も、それぞれが解放されますように。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ妊娠中の私にとっては、とっても身近な話題。
社会の仕組みや世間の意識が変わっても、産む生き物としての期限は変えられないー残酷だけれど、これが全てだなと。
妊娠してから、嬉しかったことも多くあるはずなのに、我慢や制限、体の変化にモヤモヤ悩んで。
どうして女性ばかりがこんなに負担を強いられないといけないのか、と旦那に当たる日もあった。
でも、産む生き物(=女)としてこの世に誕生した以上、自分の努力ではどうにも出来ないことだよなと少しだけ納得。
短編集になっていて、弁護士、ランナー、会社員等の女性が妊娠出産について悩み、決断する話。
卵子凍結、不妊治療、流産、仕事か妊娠出産育児かの二択...女性としてはどれも共感できる内容でした。
最後のマタニティコントロールはちょっと異質。
男性も出産可能な世界なんて来るのでしょうか。
未来の状況を少し考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
妊娠、不妊、出産に関する短編集。
私と同じ職業の人が登場すると知り、興味がわいて読んでみた。
読みながら「この本はきっと、取材をたくさんして書いたものなんだろうな」と思った。
なぜそう思ったかというと、同じテーマ、似たテーマで、ここまで様々な切り口で短編を揃えるのは、個人の想像力だけでは無理なのではないかと思ったことと、登場する人たちの話の内容に、何か裏付けがあるような説得力を感じたからだ。
実際、本編の後には取材先への感謝が記されていたけど、取材先は、医療関係(複数)、法律事務所、会社名団体名からは業務内容までわからないもの、とにかく様々でたくさんだった。
私自身は子どもが一人いるけど、産後体調を大きく崩してしまい、仕事復帰してからは、とても苦しい日々を送った。体調を維持するために、今でも服薬を欠かせない。
そんなこともあって、私自身の心と体のキャパシティの問題で、「私はもうこれ以上の妊娠出産は無理だ、この子は一人っ子だ」と決めた。
そう決めても、心のどこかで「35歳を過ぎてしまったな、今からでは高齢出産だな」「もう一人産もうとしたら、私何歳になるかな」などと、もう一人の子どもがいる可能性が何度も頭をよぎってしまう。
自分でその可能性を消しておいて、未練がましいと思う。
でも、そういう私なので、この本に登場する人たちの「明確にならない気持ち」に、すごく共感した。
妊娠と出産には、タイムリミットがある。
卵子凍結ができれば、タイムリミットがなくなる(先延ばしされる)から良いのか?といわれると、そういうことでもない。
だって、その後の育児の方がはるかに大変なのだから。
だから、正解はない、多くの人が悩むことなのだ。
作者の甘糟さんは、女性たちを産む、産まないのプレッシャーから解放したいと思っているらしい。そんなふうに思ってくれる人がいて、実際にたくさんの取材を経て本を書いてくれている。
正解のない問題に悩んだ私からしたら、その事実だけで、十分に嬉しい。
妊娠出産子育てに孤独はつきものだ。でも、会ったこともない誰かが、気持ちを寄せてくれてる、それだけで少しは孤独が和らいだりする。
この本を読んでいて、この本に登場する女性達は、悩みを共有できる心の中の友達みたいな…そんな風に思えた。ありがとう。 -
Posted by ブクログ
特別養子縁組、人工子宮による男性の出産など妊娠や出産にまつわる7つの短編が入った小説。
その中の「エバーフレッシュ」という話が一番自分に近いからか、好きでした。
不妊治療はしたけれど、こどもに恵まれず、2人で生きていこうとする女性が主人公でした。
子供に興味がない上司、育休明けの部下、育休明けの部下に代わり仕事を引き受ける未婚の女性、と様々な立場の女性が出てきました。それぞれの立場で考えも抱えているものも違う。それぞれ尊重できる世の中がいいな〜。
昭和の時代なら夫婦2人、子供2人がスタンダードかもしれませんが、令和の時代、どれがスタンダードだとか正しいとかなくなってきてるんだな〜と思いました。 -
Posted by ブクログ
普段自分が読むタイプの本ではないんだけど,夏頃にツイッターで流れてきて面白そうだったから買って積読してた本。
バブル期といえば私が小学生の頃の話。いやはや、とんでもない時代だったんだなぁ…。
90年代〜00年代に田舎でしょぼくれた大学生をしていた私には,バブル期の都内の(イケイケな)学生の生活ってのはまったく別世界。
楽しめる人には楽しめたんだろうけど、体力やコミュ力が相当ないとああいうのを楽しむのは難しかっただろうから、コミュ障・陰キャな私があの時代に若者やってなくてよかったな…と思った。
今以上に陽キャと陰キャの格差が激しい時代だったんじゃないかと。
出てきたブランド名はほとんどわからなかったけどそれなりに楽しめた。 -
Posted by ブクログ
出産に関連する7つの短編集。7話目のみ異端だが、それ以外は実に現実的で考えさせられる物語。男性目線で見ると女性の心情など勉強になる部分が多かった。
全体的に登場人物の発言がリアルなのがとても読みやすく心地よかった。例えば、『五つ目の季節』の女性課長の言動。流産を繰り返している部下に対して、変に優しくするわけではなく、ランチに誘いながら相談コミュニティを紹介し、反発する部下に強要せずにサラッと伝える。とても人間らしい温かみをリアルに感じられる。『エバーフレッシュ』の女社長もそう。独身のおしゃれなキャリアウーマンだから子育てをしながら働く女性に対して否定的や嫌悪を抱いているという人物を想像しやすいが、現実社会でそんな冷淡で極端な人物はあまりおらず、自分との違いを認識しながらも部下としてどう働いてもらうかを考えている気持ちのよい女性と受け止められた。
話としては『ターコイズ』と『五つ目の季節』が好きだった。前者は、ともに妊活をしてきた女性が先に妊娠し、なぜ自分は恵まれないのかという悩み、なぜ彼女だけという嫉妬を抱く中、彼女が出産時に亡くなるという衝撃的な結末と、作中に出てくるターコイズが静かに物語を締めるのが非常に良い。後者は、2つの別の物語が進み、最後に特別養子縁組というキーワードでつながる点が単純にそう来たかという点で印象強かった。男性目線では『水のような、酒のような』が印象強く残った。男性も不妊の原因となりうること、知っていたけれど改めて突き付けられた感じ。