甘糟りり子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
BundanTVで知って興味が湧いたので買って読んでみましたが、妊娠・出産についての数々のセンシティブな問題を理解することができ、小説としての読み物としても興味深く読めました。女性が35歳を過ぎると妊娠が難しくなってくることは以前からなんとなくは知ってはいましたが、そのことで悩みを抱える女性の気持ちに関してまでは自分の考えが至っていないことに気が付き自分の未熟さを感じてしまいました。物語には男性の無精子症も出てきますが、これに関しては実際に体験してみないと自分がどの様な気持ちになるかは分からないだろうとも思いました。
本書に「無教養というのは知識の無さを指すのではない。想像力を欠いていることだ -
Posted by ブクログ
11年も前の作品だから要所要所に時代を感じるアイテムやキーワードが出てきつつも、本質は11年経った今でもそう変わってないなと感じる。
男性の育児休暇取得や女性の社会進出はそこそこ進んだのかもしれないけど、女性に与えられた生物学的役割やそれを求める世間というのは変わらんもので。
ただ、読みながら考えさせられたのは11年前にこれを読んでいたら私は誰のストーリーに心を動かされ、誰に共感したのだろう?ということ。
ある種人生を達観し気味の今、女性という生き物は大変だなと俯瞰して読めたが、それでいいのか?という疑問も残る。
人にはそれぞれの価値観があり、それらの考えは尊重され、誰かと比較するものではない -
Posted by ブクログ
鎌倉を舞台にした、妊娠・出産をめぐる女性の選択を問いかける3つの話が収録されている。
ウェディングプランナーとして働く美春と、結婚時に子どもを持たないと話していた夫が40歳になって子どもの可能性を考えるようになった夫との話。夫のなんとも言えない言い分により別居・離婚になった真子と息子、義母や友人カップルたちの話。子どもを持ちたいとしながら年齢的にも難しくなってきて、それでも遺伝子的になんとかする選択をしようとする話。
結婚するしないもだし、子どもを持つか持たないかもだし、家族の形・あり方もだし、自分だけでなく周囲もだし、本当に色々と問いかけられてる感じがある。唯一絶対の正解がある訳ではない。人 -
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Posted by ブクログ
初めての、甘糟りり子さん。
SNSで婦人科系の病気に罹り、悩んだ末に読んだという記事を知って。
自分は不妊治療はなく経済的な理由とその他もろもろと家族と話し合い、
子なしの選択をした。でもどこかで踏ん切りがつかなかったのだろう…
「読んだら答えがわかるのかもしれない」と不思議に思った小説です。
『女性は子どもをつくることが使命』
子孫を残さなければいけない『固定概念』
それが私たち女性を縛っているのではないかと思っている(たぶん)。
第四話の『コイントス』、産婦人科医の言葉が衝撃的でした。
「出産が女の人生の全てとは考えないようにしませんか」
その固定観念が『正解』じゃなく、本人・家族 -
Posted by ブクログ
私は半年前に死産を経験しました。その辛さを誰にも打ち明けることができず、気持ちの整理もつかないまま日々過ごしています。
誰かに話しても「どうせ誰もわからない」と思ってしまっていますが、それでも誰かに共有したいという気持ちがありました。テーマを絞ってこの本に辿り着きました。
『温かい水』では死産について描かれており、あまりにも感情移入しすぎて、涙が止まりませんでした。
短編形式で複数のテーマが扱われているため、各テーマについてもっと深く掘り下げられる余地があるように感じました。
現実はもっと苦しく、もっと地獄のような日々です。
しかし、自分の言葉にできない感情や葛藤が様々な場面で言語化され -
Posted by ブクログ
初読みの作家さんだったが、とても読みやすく、つらい内容の割に読後感は優しい。
社会で活躍する女性たちの出産に関わる葛藤。
【第一話】 39歳女性弁護士の、卵子凍結から顕微授精という選択。
【第二話】 実業団のマラソンランナーは食事制限が厳しくて生理が止まったまま。
【第三話】 アラフォーで人工授精をして妊娠、妊娠高血圧症候群で早産後に他界。
【第四話】 男性不妊、無精子症。
【第五話】 産休育休から職場復帰後、仕事と育児の苦悩。
【第六話】 不育症で流産を繰り返した後、特別養子縁組と言う選択。
【第七話 】「マタニティーコントロール」?? なるほど、未来の話で二度読みして納得。
前作の「産 -
Posted by ブクログ
ネタバレ妊娠や出産などにまつわる7つの物語の短編集。
女性なら一度は考えたことがあるような想いがつまっていたり、心が揺さぶられるような共感する物語もあったり。
個人的には、「ターコイズ」と「五つめの季節」の物語が好みだった。
最終話の「マタニティ・コントロール」は衝撃的だった。読む人によっては飛躍しすぎだとか、異色すぎると違和感を抱くかもしれない。
だけど、作者が伝えたかった、いろんな選択といろんな正解という意味では読んで良かったと思えるし、そう遠くない未来もあるかもしれないと思えるような内容だった。
「人生は、若くない女にどこまで意地悪なんだろう」
あとがきにもあるように、産む人も、産まな