奥田英朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
30代の揺れ動く乙女心。
「ガール」と呼ばれた世代をそろそろ卒業し、
結婚、出産、出世など分岐点に立つ女性の姿がとてもリアルに描かれていた。
周りを羨ましがったり妬んでみたり、それでも「女は強し」だよなぁ。
「ワーキング・マザー」の母心には温かい気持ちになり、
「ひと回り」で、新人の男の子に色めき立つ女心が面白かった。
私は「ガール」なんてとっくに通り過ぎてしまったけど、性別よりも人としての充実感を楽しめている気がする。
それにしても、奥田さんの女性の心理描写がリアル過ぎて驚きました。
なんでこんなに鮮明に分かるんだ?
この方が気になってしまった。 -
Posted by ブクログ
奥田英朗さんは3冊目。
と言っても、『インザプール』、『空中ブランコ』からの3冊目なので、実質2冊目、
上記の2冊がしっかりコメディだったのに対し、こちらはしっかり絶望感を食らわせてくる長編。
まさに最悪。
かなり分厚い本だが、読みやすさ抜群のため内容とは裏腹にグイグイ進む。
そして救われなすぎてグイグイ凹む。
いや、これはなかなかの後味悪い系のやつだな。
ねっとりした感じではなく、すっきり後味悪いやつ。
すっきり?w
いつの時代も1番怖いのは人間なんだよな…。
有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ
にしても誰かを守る力ってのは凄いんだな。
俺にもそ -
Posted by ブクログ
『家日和』『我が家のヒミツ』の続編です。今回も6作の短編集。
長い一人暮らしの後に結婚したら息が詰まっちゃった40代男性、普通の夫婦だと思ってた両親が離婚しそうなくらい不仲だと気付いちゃった女子高生、夫がUFOとコンタクト取り始めちゃって心配になる主婦、結婚後初めての里帰り問題に直面しちゃった若夫婦などなど。
最後の『妻とマラソン』は一作目でロハスにはまり、2作目で市議会議員に立候補した妻が東京マラソンに参加する事になり、家族で応援するって話です。奥様パワフル。
私も一人時間好きだし分かるなぁ〜、夫がUFOとコンタクト取り始めたらニヤニヤが止まらないだろうなぁ〜って楽しみました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ様々な家庭を描いた短編集。
とにかく各家庭の解像度がめちゃめちゃ高い!
モデルとかいるんだろうか??
自分の旦那が仕事ができないとか、ストレスでUFOが見えると言い出したとか、絶対有り得なさそうだけど100%は否定できない。
家族だからこそ、あえて見ないフリをしたい気持ち、めちゃくちゃわかる〜〜〜
心が痛すぎるもの。
自分だったらどうするんだろう?と度々考えた。
全部がハッピーエンドなわけではないけれど、家族の問題ってそういうもの。
どの家族も、振り返ってみたら「あの時はあんなこともあったよね」と思い出話できるようになったらいいな、と願いながら読んだ。 -
Posted by ブクログ
二連続で奥田英朗の積本消化。
クライマックスに向かって、だんだんと力が抜けていくようで、なんとも残念。
序盤は、本当にコイツが犯人なのか?と、吉田修一の「怒り」の雰囲気があり、ミステリーを醸し出していた。
それが中盤から犯人視点のロードムービーになり、特に謎がないというのが尻すぼみだった。
オリンピック直前の街の様子の描写は特筆もの。
刷新されていく東京の裏の山谷のドヤ街、国鉄や都電の乗換など、60年前の光景が見える。
事件を追う装置になるのが、当時の国鉄だ。
数十分ごとに上野から仙台行きや、青森行きの急行が出ていたのは今からでは考えられない。
当時の緻密な描写の反面、ス