奥田英朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「『向田理髪店』は北海道の中央部、苫沢町において・・・」から始まる連作集。1編1編が、財政破綻し、人口流出が止まらず、若者は都会に出ていき、中高年者ばかりが残る、典型的な過疎の町でくりなすユーモアと人情味溢れる人間模様が描かれている。
そんな過疎の町で、町の将来は自然消滅を待つばかりと諦めている中高年者たちもいれば、数は少ないが何かしらの事情を抱え故郷にUターンしてくる若者に期待する中高年者たちもいる。この小説には何十年前から日本全国各地で問題となってきた、尚且つ根本的解決策を怠ってきた「少子高齢化」及び「地域格差」をベースとして、そこから来る悲哀さを、今でも有るかもしれない住民たちの人情と地 -
Posted by ブクログ
1964年、東京オリンピックが控える日本を舞台にした爆破テロ事件を起こす青年の話。当時実際に起きた草加次郎事件を参考に描かれた作品です。
東京大学院生の島崎国男が兄の死をきっかけにオリンピック工事の日雇い人夫となり、貧しい労働者層の過酷さを知る。華やかになる東京開発の一方で使い捨てされる労働者層に疑問を持ち、日本を相手取ってテロを企てるお話。
これから発展していく期待を持った日本人の感情、一方で地方での残る貧困やそれに対する労働者層の感情が詳細に描かれており、自分の親、祖母の世代の当時の感情などに興味を持つきっかけになりました。
聞き慣れない言葉が多く最初は慣れないですが、慣れると奥田英朗