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Posted by ブクログ
「貴方は典型的な適応障害ですね」
「貴方は哲学的な思考を持っていて素晴らしいです」
上は、心療内科で私が適応障害と診断された時の担当医師の言葉。
下は、行政が行ってる就労支援センターの職員に言われた言葉。
病名が分かったからと言って、
私の心が何か変わったと言えば、なにも変わらず。
普段から変わらない持論を「哲学」と一言で片付けられたことは、正直言って癪に触った。
心の病というものは難しい。
表面的に自分が感じている感情とは裏腹に、知らない間に心が傷ついていることが良くある。
なぜだが涙が出てしまったり。
出勤時間が迫ってくると脈がドクドクと早くなったり、明日も仕事に行かないといけないと思うと、眠れなくなった。
そんな時に、私を引っ張り上げてくれる人は
いなかったように思える。
私の何を治したら、私のどこを変えたら。
こんなことで何もできなくなった自分を、
嫌いにならずに済むのだろうか。
そう思って過ごした2年。
「イン・ザ・プール」を知ったのはSNSの本紹介だった。
手に取ることを決めた理由はかなりアホらしく、装丁がNirvanaのアルバムのジャケットみたいだったからだ。
かなり変わり者の精神科医、伊良部。
クールでセクシー看護師、マユミ。
どうしようもなく困った患者たち。
伊良部は、患者の困りごとや症状なんて関係ないような話をしたり、もはや聞いてないみたいだし、自分の興味があることにだけ集中する。
それなのに、患者たちは伊良部に呆れながらも少しずつ症状が良くなっていく。
患者の中には、私も共感できるような症状があったりして、こんなことで治るんかよって同じ気持ちになる。
でも、じゃあ実際。
私は治ったんだろうか。
伊良部とは違う真っ当な医師に病名を言われて、
寄り添うことが仕事の職員に言葉をかけられて、
その後の私は何か変わったんだろうか。
結局のところ、半年間ぐーたらな生活をして
それを許してくれる恋人に、過剰に大きくなる責任感を萎ませてもらった。
ニートだから家事だけでも。
早く仕事を見つけないと。
そうやって自分に課す負担を緩ませてもらって、
今は穏やかで優しい人がたくさんいる職場に入社できた。
人は案外、そんなもんなのかもしれない。
伊良部は確かに自分中心で自由で医師らしくはない。
でもその伊良部と対峙することで、自分で自分を縛った鎖が「なーんだ、そんなもんか」と緩まる。
伊良部の自由さが患者たちを自由に丸くしてくれる。
ある意味理想の治療かもしれない。
まあ私は、泳げないし、他の病院に石とか投げたくないけど。
内容を諺に凝縮するならば、「人の振り見て我が振り直せ」。
患者は、伊良部一郎という自由人に接することで、自ら大きな気づきを得る。
読者も笑いながら呆れながら、気づきを得ることだろう、何かしら大事なことについて。
読みやすく面白い
ドクター伊良部シリーズ第1巻です。
精神科の医師伊良部が、様々な症状の患者さんと関わっていくお話ですが…
精神科ときくと、深刻な思いは無しに思われがちですが、内容はめちゃくちゃ明るい愉快な話です。
名医?迷医?であり、めちゃくちゃ変人でどこか愛嬌のある伊良部が、様々な方法で患者さんを癒していく短編集です。
考えてした治療なのか、結果的によかったのか、謎な部分もありますが…読後感は爽やかでスッキリします。
私にとって初奥田英朗さんでしたが、とても好きな作家さんになりました。
おすすめします!
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