奥田英朗のレビュー一覧
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昭和生まれです。だいぶ終わりのほうではありますが。
昭和と言えば戦争、そこまでが自分のなかでの「歴史」だった。そこから先は点としては多少知っていたものの、「史実」として体系的に、かつ連続的に理解してはいなかった。
ビートルズ来日、よど号ハイジャック事件、ロッキード事件、日朝国交正常化交渉など、すべてが戦後のわずか30〜40年に詰まっていたのだと思うと、なんて濃密な時代だったのかと改めて痛感させられる。主人公たちの目線を通すことで、それらの出来事がすっと心に入ってきた。
世界を相手に戦い、徹底的に敗れ去り、しかし同じ元号のうちに再び経済で覇を唱える。昭和とは実にすごい時代だった。人生の折り返し地点を過ぎた今、現在の日本が当時の勢いから遠く離れてしまったことに少し寂しさを覚える面もある。しかし、当時の日本の成功の裏には圧倒的な個の犠牲や「滅私奉公」があったことを思うと、二度と戻るべき時代ではないのかもしれない。
全3部作という長さをまったく感じさせない、大変素晴らしい小説だった。平成生まれの息子にも、いつか手に取ってもらいたいものだ。
近現代史が「歴史」となり、少しずつ人々の記憶から薄れていくなかで、人類が多くの犠牲を払って得た教訓が未来永劫残り、子孫の穏やかな発展に繋がっていくことを願ってやまない。
末筆ながら、昭和天皇がルメイに勲章を親授されなかったエピソードには、胸が熱くなった。 -
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第三部読破。
戦争が終わって、
ここからは戦後の日本。
戦後の日本を考える上で
アメリカの存在は切り離せないということ。
敗戦から復興し、高度経済成長を遂げ、
日本はどんどん豊かになっていく。
その一方で、
政治家、官僚、財界、アメリカ、
それぞれの思惑が絡み合って国が動いていく。
特に田中角栄。
圧倒的な行動力と政治力がありながら、
その裏には金と権力があり、
最後にはロッキード事件。
単純に「良い政治家」「悪い政治家」では
片付けられない。
光と闇の差が激しい。
第二部では、
「なぜ日本は戦争を止められなかったのか」を考え
第三部では、
「戦後の日本はどうやって今の形になったのか」を考えさせられた。
歴史を知れば知るほど、
今の日本も突然できたわけではなく、
過去からずっと繋がっていることが分かる。
勉強になりました。 -
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第三部になると、第一部・第二部に比べてかなり「歴史小説」寄りの硬さを感じるかもしれないが、4人がとても情熱的で、四郎と志郎の演説には泣き笑いし、昭和天皇崩御のシーンには込み上げるものがあった。
敗戦からまだ15年も経たないのに、世界では米ソ対立、朝鮮戦争、キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争と大きな出来事が続き、国内でも共産党や新左翼をめぐる抗争が続いていた。それなのに、日本人はすっかり平和ボケし、国外の情勢には無知で、自分たちには関係ないというムードだったというのには驚いた。
戦争で未来ある青年たちを苦しめないためにも、四郎や志郎のように戦争体験を伝えていくことが大切だと思う。戦争を知らない私たちだからこそ、この100年の歴史をしっかり知っておかなければならないと痛感した。
奥田さん、やっぱりさすがです。これは一人でも多くの若者に読んでもらいたい。 -
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大東亜戦争(太平洋戦争)に負けた終戦から同い年4人の主人公が其々の道を歩み、その過程で道が交わりながら戦後の大きな出来事に絡んで成長する姿を描く。最後は4人とも其々の志しの元国会議員となる。
矢野志郎-戦後の闇市愚連隊から運送会社を立上げ政治家の道に進み、裏社会との太いパイプを持ちながらも国士としてサイパン遺骨収集に尽力したり、淀号ハイジャックの人質交換等を経験して政界実力者に登り詰める。
竹田四郎-戦後のヤクザ組織の影響力を憂い検事となるもロッキード事件での幕引きに限界を感じ政治家の道に進み最後は首相となる。
五十嵐満-エンターテイメント社会で力をつけプロレス興業の立上げ、ビートルズ来日を実現して成功を収める。更なるエンタメ業界の発展を願い政治家となり国政の道に進む。
森下ノラ-米国通信社のジャーナリストとなり多くの事件報道に係り、後にTV業界に転職してベトナム戦争に戦場ジャーナリストとし活躍し浅間山荘事件報道等にも関わる。後の社会党から国政の道に進む。
1945年(昭和20年)の終戦後、日本の華々しい発展と事件を交えた内容で激動の昭和と言う時代を振り返る事が出来て幼くも同時代に行きて者として記憶の補完も出来良かった。
戦後の米国傀儡国家の生い立ちから今だに脱却出来ていない日本の有り様を残念にも思った。
主な出来事
サンフランシスコ平和条約
プロレスブーム-錦川(力道山)
朝鮮戦争
東京オリンピック
ビートルズ来日
ベトナム戦争
淀号ハイジャック
浅間山荘事件
沖縄返還
ロッキード事件
昭和天皇崩御 -
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第一部に続き、大変面白かった。第一部の子供達が主人公となり、時代は第二次世界大戦から終戦、GHQによる支配へと移っていく。
これまでにもそれなりに戦争小説は読んできたつもりだったが、ここまで多様な視点から、日本やアジア全体の大きな流れを一貫して理解できた作品はなかったと思う。
本当に異常な時代であった。ただ、一人一人の人間性が今と全く異なっていたわけではない。今、現代の感覚を持った私が昭和初期にタイムスリップしたとしても歴史は何も変わらないように、これからも時代の流れが大きく傾けば、個人の思惑など全く無意味に大きな濁流へ呑み込まれてしまうこともあるのだと、少し怖くなった。
もちろん、物語としても最高に面白い。特にヤノタツの息子である四郎が痛快で、登場するたびにワクワクしている。
第三部もすぐに読み始めたい。 -
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“高度成長期”
その陰で幾つもの“前例なき”出来事が起こる。
「オリンピックの身代金」で登場した捜査一課五係の刑事が再登場する(この物語の方が時代は少し前)。
物語のベースは、1963年戦後復興にわく東京で実際に起こった「吉展ちゃん誘拐事件」。
電話逆探知や報道規制など、これ以降の誘拐事件での対応の走りとなった出来事だった。
物語は1960年代の様子を背景に、刑事、被害者家族、被疑者のほか、かかわったさまざまな人たちの思いや戸惑いを描く。
特に主人公とも言える宇野寛治の生い立ちや、北海道礼文島からの脱出、東京での生活、刑事とのやりとりでは、悪人と言い切れない切なさと相まって、悲しみをも覚える。
抜群の臨場感であっという間に800ページが過ぎ、読み終えてしばらく余韻にふけるような読書だった。 -
Posted by ブクログ
第二部は、昭和元年生まれの4人の若者達を中心に物語が動くので読みやすいし、めちゃくちゃ良かった!
4人とも若いのに、戦争に翻弄されながらも体を張って、それぞれの道を切り開いていく姿がとても素晴らしかった。
この4人だけでなく、兵役忌避者で偽牧師の狭山や、闇取引が上手なヤクザの徳山まで、いいキャラしてる。
英語ができるというのは確かに強みだけど、それ以上に、視野が広く、皆が信じていることも疑い、簡単に感化されたり服従したりしないところが強い。愛国心はあっても盲信はしない。自分が信じることをすれば、どんな時代でも生きていけるんだなと思った。
GHQに日本を変えられるのは癪に障るが、逆にアメリカを利用して、いい日本を再建しようとするこの若者たちの生き様がとても良かった。
第三部が楽しみ。 -
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第二次世界大戦前の日本が、4人の視点から描かれる。戦争は誰もが望んでいたわけではなく、陸軍であっても全員が強硬派だったわけではない。しかし、時代の大きなうねりに日本はどんどん巻き込まれていく。
ファシズムや強引な共産主義など、今から振り返ると信じられないほど愚かに思える。取り返しのつかない多くの犠牲を払って、人類は本当に前進できたのだろうか。それとも、記憶の風化とともにまた同じ過ちを繰り返してしまうのだろうか。
第二次世界大戦を背景にした小説はこれまでにも数多く読んできたが、ここまで当時の空気感に思いを馳せられた作品は久しぶりだ。2巻もとても楽しみにしている。 -
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普段読書をして感動するとか、胸に込み上げるものがあるとか、そういうタイプではないんだけど、最後の満パートで思わずグッと涙が浮かんでしまった。
フィクションではあるけれど、昭和史を辿っているストーリーだから予定調和であるのに、こんなに胸にくるって本当に素晴らしい作品を読ませてもらえたと感謝の気持ちしかない。
大抵帯の文句は過剰だけれど、【我ら日本人がどういう民族かを描いた極上のエンターテインメントです!】はまさにその通り!
日本人はもっと日本の歴史に…しかも近代史に興味をもつべきだし、学校教育でも日本の良い面悪い面、どちらも等しく正確に誠実に教えるべきだと感じた。
三部作、長いけれど本当に読んでよかった。
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日頃はもっとマンガっぽいミステリ(名探偵が出てくる本格ものっていうか)ばかり読んでいるのですが、たまにはこういうのもいいかなと何気なく手に取ったところ、夢中で読みました。
群像劇なので何か特定の人物の視点に立って読むわけではなく、ドキュメンタリーのようにも見えました。
集英社のサイト掲載のインタビューで、作者は「映画『ゾディアック』と、『殺人の追憶』からヒントを得てこういうのを書きたいと思って」といったことを述べてました。『ゾディアック』は観てますが、納得です。
私は日頃から割と合わない作品を「合わない」とか「嫌い」と言っちゃうんですが、この作品は、どこかが自分にブッ刺さって大好きというよりも、「文句を言う部分が見当たらない」ため★5です。
人物の描写が全般的に少々保守的というかファッショナブルではない印象を受けましたが、作品の質を損なうことはありませんし、むしろ作品に合った適切な描写とも言えます。
オススメできない要素はありません。
ぜひ、読んでみてください。 -
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日頃はもっとマンガっぽいミステリ(名探偵が出てくる本格ものっていうか)ばかり読んでいるのですが、たまにはこういうのもいいかなと何気なく手に取ったところ、夢中で読みました。
群像劇なので何か特定の人物の視点に立って読むわけではなく、ドキュメンタリーのようにも見えました。
集英社のサイト掲載のインタビューで、作者は「映画『ゾディアック』と、『殺人の追憶』からヒントを得てこういうのを書きたいと思って」といったことを述べてました。『ゾディアック』は観てますが、納得です。
私は日頃から割と合わない作品を「合わない」とか「嫌い」と言っちゃうんですが、この作品は、どこかが自分にブッ刺さって大好きというよりも、「文句を言う部分が見当たらない」ため★5です。
人物の描写が全般的に少々保守的というかファッショナブルではない印象を受けましたが、作品の質を損なうことはありませんし、むしろ作品に合った適切な描写とも言えます。
オススメできない要素はありません。
ぜひ、読んでみてください。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の期待してた通り、いや、それ以上のドタバタ群像劇だった!!!
最高の最高のエンタメ小説だった。
他の作品も読んでみたい。
ページをめくる手が止まらないとはまさにこのこと。
読書をしていない時でも「あの人、どうなるかな」と続きが気になってしょうがない小説だった。
作品を読者に読んでもらえる方法を考える勉強としてもとても良かった。
ただ、川谷さんがとことん不遇すぎて鬱展開耐性がある自分でもここだけとても苦しかった。
性別も職業も年齢も何もかも自分と共通点の無いのにここまで感情移入させられるキャラクターを作る奥田先生はすごい。
途中までひたすらに辛いだけに、まさか笑わされるとは思わず。本当にドタバタという言葉がピッタリの小説でした。
ただ、岩井が後にキーパーソンになると思いきや、全くそんなこと無くて少し肩透かしを食らったのと、松本の動機がよく分からなかったな。
でもすごく面白かったので読んでよかったです! -
Posted by ブクログ
ネタバレ三部作、かなりのボリュームではありましたが、読みやすかった。
読んでいる最中は、特に戦中戦後のことが頭から離れず、その時代を生きた人たちのことを思い、この年までほとんど何も知らずに生きてきたことを後悔しました。
昭和という時代に起こった出来事を、この4人を活躍させることで、とても分かりやすく描かれおり、日本という国が、どのようにして今の日本や日本人となっていったのか気付きがたくさんありました。
自分も昭和末期(4人が産まれた元年から50年後)産まれで少しばかり昭和を経験した身としてもしっかり昭和を覚えておきたいものですし、靖国問題や中国との関係など、もっと知らなくてはいけませんね。
最後の志郎と四郎の演説は少し感動しました。
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Posted by ブクログ
第一部に続き、めちゃくちゃ良かった。
奥田さん、ほんとすごいです。
昭和十九年、二十年の空襲や特攻隊のシーンは
もう泣けて泣けて
戦争の恐ろしさ、悲惨さをありありと感じた。
零戦もだけど、回天もひどすぎる。
あんな恐ろしいものを作り、まかり通るなんて
どれだけ異常であるか。
人間魚雷と聞いても、よく知らなければイメージはしにくい。そんなところも、とても詳しく、目に映るように表現でき、そこに生きた人々を描ける奥田さんが、ほんとうにすごいです。
今作を読めて良かった。
たくさんの人に勧めたい。
そしてやっぱり私は矢野が好きだなぁ。
四郎のわくわくとたぎる様子がたまらない。
おれはやっぱりヤノタツの子だ、なんて部分、ついニヤけてしまう。
ラストはついに4人が一堂に会した。
第三部も楽しみだ。