奥田英朗のレビュー一覧

  • 罪の轍(新潮文庫)

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    ネタバレ

    東京オリンピックを目前に控えた昭和を舞台にした長編ミステリー。

    電話も移動手段も今ほど発達しておらず、警察は自らの足で真実を追う。その地道な捜査描写が強く印象に残った。

    物語の中心にいる寛治は、決して単純な悪人ではない。貧困や家庭環境、過去の出来事など様々な背景を抱えている。

    しかし、それらを知った上でも、ヨシオちゃんや里子を死なせた事実は消えない。

    読んでいて感じたのは、人は残酷な事件に理由を求めるということだった。理由があれば理解できる気になる。しかし本作は、その理由だけでは割り切れない人間の複雑さを描いている。

    特に寛治は「莫迦ではない」。だからこそ厄介で、だからこそ忘れ難い人

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    2026年06月12日
  • オリンピックの身代金(下)

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    1964年10月10日東京オリンピック開会式、これより体育の日として祝日となる。

    全ての日本人が誇らしく語るオリンピック開催に、ひとり立ち向かう島崎の様子はまるで風車に挑むドン・キホーテのよう。

    現代世界で起こっている“テロ”と違って、島崎の起こした「テロリズム」は大きな時代のうねりに逆らう覚悟を持ったささやかな抵抗。

    「人の上に立つということは、一等謙虚であらねばならないのだが、今の浮かれた日本でそれを自覚する者はいない。資本主義を盲信し、陽炎のような足場のない繁栄に、集団で酔っている」……60年たった今も変わらない。

    ともかく、東京オリンピック開会式は無事に終わる。だから、ミステリ

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    2026年06月07日
  • イン・ザ・プール

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    悩みがバカらしくなる、最高に笑えるお薬

    ずっと気になっていたこの本、読んでみたら期待以上に面白かったです!

    精神科の先生と患者の距離感がとにかく近くて、実際の病院とはまるで別世界なのが新鮮でした。特に、「ストレスが溜まるとずっと勃ちっぱなしで、発散されるとようやく萎える」という男性の話には笑いが止まりませんでした。極端すぎて逆にスッキリしますね。

    物語を読み進めるうちに、今の自分の悩みも「そんなに思い詰めなくていいや」と肩の力が抜けました。登場するナースのお姉さんの見た目やキャラクターも気になりますし、何より読んでいてプールに行きたくなりました。

    深刻になりがちな心の問題を、ここまでユ

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    2026年06月05日
  • 普天を我が手に 第一部

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    返却日が3日もオーバー、急いで読めなくもないが、それじゃあ筋を追うだけになってしまう。仕方なく332Pまで読んだ時点で一旦返却することにした。後にまだ2部と3部が待っているのだから・・・

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    2026年06月05日
  • イン・ザ・プール

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    伊良部さんが自由すぎて、もう少し自由にやりたいことをして生きても良いのかなと思いました。
    面白かったです。

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    2026年05月30日
  • コロナと潜水服

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    久々に読む奥田英朗。ほんのりファンタジー仕立てな作品なんだけど、すごくいい。短編5作品あるんだけど、全部良かった。情景が浮かぶんだよね。

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    2026年05月25日
  • 普天を我が手に 第三部

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    圧倒的読後感。
    自分も昭和生まれだが、物語の出来事の大半は物心つく前の話なので、ほぼ歴史を学び直したかのような感覚である。史実に基づいたフィクションというスタンスだが、価値観の異なる4人が主人公なため、カオス極まる昭和を描いているにも関わらず、偏った構成にはなっていないのも素晴らしい。

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    2026年05月25日
  • 沈黙の町で

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    ネタバレ

    こんな作品がこの世にあるのか、と思うほどのめりこんでしまった。中学生の心理について実際の世界を見て書いたのではないかと思うほどにリアルに書かれている。自分の中学生生活を振り返ってもこの本の中の光景は至る所にあり、様々な背景の人間が入り混じる公立中学そのままを感じた。

    この小説は中学生という一つの社会の中の力学があり、その中で生じた事故(確定しないが)が、大きな衝撃をもって大人の社会を巻き込み、違う力学を持った社会同士が重なることで困惑・謎を生じている。子供が謎を抱えて亡くなるという状況で、人々はまず沈黙する。その理由は、子供社会での力学、自分への罰の意識、殺人や自殺という可能性があること、そ

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    2026年05月24日
  • 普天を我が手に 第二部

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    昭和サーガ第2巻。分厚いのに2日で一気読み。
    前巻は親世代の話で、今回は昭和元年生まれの昭和の申し子たちが第二次世界大戦を乗り越えて、自分の人生の指針を見つけるまでのストーリー。個々にニアミスして来た4人が一堂に会するシーンは心震える。
    この先は近代から現代に繋がることになると思うけど、個人的にはあまり興味ない時代。さて、どうなる!?

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    2026年05月20日
  • 普天を我が手に 第一部

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    昭和元年に生まれた全く立場の違う子供たち4人。昭和100年を描く三部作の壮大な物語の第一巻は、彼らの親世代の話。
    そのテーマと本の分厚さから手に取るのを躊躇していたが、読み始めたら止まらない。奥田英朗ならではの軽妙なテンポが、次々と視点の変わるメリハリの良さも相まって、文章なのにスピード感が凄い。
    次巻からいよいよ子供世代の話になると思うが、数奇な運命が絡み合う伏線は既に張られているので、否が応でも期待が高まる!!

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    2026年05月18日
  • 最悪

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    ネタバレ

    最初は全く関わりの見えない3人の話がコロコロ入れ替わりながら進んでいき、
    不幸や不快なこと少し自業自得なことが重なり合っていくストーリーは面白かった。
    様々な人の視点から見たスレ違いやいつ交わるのか展開を想像しながら読み進めた。
    個人的には銀行の理不尽さが1番不快でいやな内容だったことと、真面目に1番正常に働いていた人がおかしくなっていく様が暗かった。

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    2026年05月18日
  • コメンテーター

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    久しぶりの伊良部医師はやっぱり面白かった!
    あまりの変人ぶりに、驚きつつも和んでしまう不思議。
    たまにプッとふきだすほどの面白さ。

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    2026年05月17日
  • 東京物語

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    垢抜けない青年が上京して大人になっていくまでが、まるで自分の過去を振り返るように感じられてとても面白かった。これぞ20代の青春なんだなと、高校の青春とは違う種類のものを感じた。

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    2026年05月14日
  • 普天を我が手に 第三部

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    2026.5 第3部は読みやすく、面白く、引っ掛かるところもなく、読んでいてワクワクしながらあっと言う間に読み終わってしまいました。
    ラストはこういう形にして小説を終えるとは、さすが奥田さんです。

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    2026年05月12日
  • ナオミとカナコ

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    結末が気になって、最後の方、一気に読み切ってしまうほど。面白かったです。
    主人公二人はもちろんのこと、周りの中国の方達がとても魅力的に描かれていると思いました。

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    2026年05月11日
  • オリンピックの身代金(下)

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    下巻は一気読みの面白さだった。時間と視点が入れ替わる仕掛けもいい。いろんな立場の登場人物から当時の世相もイメージできる。クライマックスの臨場感もいいが、最後に国男の視点も欲しかった。余韻と想像力を掻き立てられた。

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    2026年05月10日
  • 最悪

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    まぁ面白かった。続きが気になって隙間時間を使って読んだ。
    早く3人が繋がって何かしてくれー!と思ってたが、合流が思ったより遅い。

    読みながら、自分にも何気ない些細なこと、自分からみてどっちでもいいと思っていることの選択によって、他人に大きな影響のあることがあるかもしれない、後々後悔することがあったかもしれないとか、いろいろ考えていた。その逆もあったのだろうなとか。

    結末は、まぁ、良かったのではないか。

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    2026年05月08日
  • 最悪

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    登場人物それぞれの「最悪」は
    冒頭では「小最悪」から始まる。
    それは天気や友人の裏切りや居住環境から。

    まともに生活していても、
    一生懸命生きようとしていても、
    真面目に仕事をしていても、
    徐々に取り返しのつかない「大最悪」になっていく。

    車に乗り込んだシーンで、
    主要人物たちが揃う瞬間には笑ってしまった。
    飄々と生きるインテリ系の人物たちが
    とても憎く感じてしまうストーリー展開だった。

    個人的に、
    やはり川谷が1番不幸だなと感じたが
    よく考えたら、
    いままで1番幸せだったのも彼なのでは。
    自由には責任が伴うことを年齢からも学ばされた。

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    2026年05月05日
  • 普天を我が手に 第二部

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    ダウンロードして読むのを忘れていた。第一部から少し空いてしまったが、面白くてよく覚えていた。
    4人が揃った。
    第三部は、また少し空けて、後の楽しみにしておこう。

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    2026年05月04日
  • 普天を我が手に 第一部

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    「昭和百年」とも言われていた2025年の夏過ぎ、書店で平積みにされている派手めな表紙の本を見かけた。
    なかなかのぶ厚さだ。著者名を見ると奥田英朗。
    『イン・ザ・プール』を始めとする伊良部シリーズ、ディープな犯罪小説『最悪』、長編家族物語?『サウスバウンド』など大好物作家の一人だ

    お!こんな長編出したのか…。
    昭和元年生まれの4人が主人公らしい。「『昭和百年』に読むにはふさわしそうだ」と、脳内にメモした。
    が、そのまま年を越えてしまった。

    「昭和101年」の4月、オーディブル化されていることを知る。ボリュームを考慮するとオーディブルで聴くのはいい選択だと考え、聴き始めた。

    大正が幕を引く。

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    2026年05月03日