奥田英朗のレビュー一覧
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ネタバレ東京オリンピックを目前に控えた昭和を舞台にした長編ミステリー。
電話も移動手段も今ほど発達しておらず、警察は自らの足で真実を追う。その地道な捜査描写が強く印象に残った。
物語の中心にいる寛治は、決して単純な悪人ではない。貧困や家庭環境、過去の出来事など様々な背景を抱えている。
しかし、それらを知った上でも、ヨシオちゃんや里子を死なせた事実は消えない。
読んでいて感じたのは、人は残酷な事件に理由を求めるということだった。理由があれば理解できる気になる。しかし本作は、その理由だけでは割り切れない人間の複雑さを描いている。
特に寛治は「莫迦ではない」。だからこそ厄介で、だからこそ忘れ難い人 -
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1964年10月10日東京オリンピック開会式、これより体育の日として祝日となる。
全ての日本人が誇らしく語るオリンピック開催に、ひとり立ち向かう島崎の様子はまるで風車に挑むドン・キホーテのよう。
現代世界で起こっている“テロ”と違って、島崎の起こした「テロリズム」は大きな時代のうねりに逆らう覚悟を持ったささやかな抵抗。
「人の上に立つということは、一等謙虚であらねばならないのだが、今の浮かれた日本でそれを自覚する者はいない。資本主義を盲信し、陽炎のような足場のない繁栄に、集団で酔っている」……60年たった今も変わらない。
ともかく、東京オリンピック開会式は無事に終わる。だから、ミステリ -
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悩みがバカらしくなる、最高に笑えるお薬
ずっと気になっていたこの本、読んでみたら期待以上に面白かったです!
精神科の先生と患者の距離感がとにかく近くて、実際の病院とはまるで別世界なのが新鮮でした。特に、「ストレスが溜まるとずっと勃ちっぱなしで、発散されるとようやく萎える」という男性の話には笑いが止まりませんでした。極端すぎて逆にスッキリしますね。
物語を読み進めるうちに、今の自分の悩みも「そんなに思い詰めなくていいや」と肩の力が抜けました。登場するナースのお姉さんの見た目やキャラクターも気になりますし、何より読んでいてプールに行きたくなりました。
深刻になりがちな心の問題を、ここまでユ -
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ネタバレこんな作品がこの世にあるのか、と思うほどのめりこんでしまった。中学生の心理について実際の世界を見て書いたのではないかと思うほどにリアルに書かれている。自分の中学生生活を振り返ってもこの本の中の光景は至る所にあり、様々な背景の人間が入り混じる公立中学そのままを感じた。
この小説は中学生という一つの社会の中の力学があり、その中で生じた事故(確定しないが)が、大きな衝撃をもって大人の社会を巻き込み、違う力学を持った社会同士が重なることで困惑・謎を生じている。子供が謎を抱えて亡くなるという状況で、人々はまず沈黙する。その理由は、子供社会での力学、自分への罰の意識、殺人や自殺という可能性があること、そ -
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登場人物それぞれの「最悪」は
冒頭では「小最悪」から始まる。
それは天気や友人の裏切りや居住環境から。
まともに生活していても、
一生懸命生きようとしていても、
真面目に仕事をしていても、
徐々に取り返しのつかない「大最悪」になっていく。
車に乗り込んだシーンで、
主要人物たちが揃う瞬間には笑ってしまった。
飄々と生きるインテリ系の人物たちが
とても憎く感じてしまうストーリー展開だった。
個人的に、
やはり川谷が1番不幸だなと感じたが
よく考えたら、
いままで1番幸せだったのも彼なのでは。
自由には責任が伴うことを年齢からも学ばされた。
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「昭和百年」とも言われていた2025年の夏過ぎ、書店で平積みにされている派手めな表紙の本を見かけた。
なかなかのぶ厚さだ。著者名を見ると奥田英朗。
『イン・ザ・プール』を始めとする伊良部シリーズ、ディープな犯罪小説『最悪』、長編家族物語?『サウスバウンド』など大好物作家の一人だ
お!こんな長編出したのか…。
昭和元年生まれの4人が主人公らしい。「『昭和百年』に読むにはふさわしそうだ」と、脳内にメモした。
が、そのまま年を越えてしまった。
「昭和101年」の4月、オーディブル化されていることを知る。ボリュームを考慮するとオーディブルで聴くのはいい選択だと考え、聴き始めた。
大正が幕を引く。