奥田英朗のレビュー一覧
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登場人物それぞれの「最悪」は
冒頭では「小最悪」から始まる。
それは天気や友人の裏切りや居住環境から。
まともに生活していても、
一生懸命生きようとしていても、
真面目に仕事をしていても、
徐々に取り返しのつかない「大最悪」になっていく。
車に乗り込んだシーンで、
主要人物たちが揃う瞬間には笑ってしまった。
飄々と生きるインテリ系の人物たちが
とても憎く感じてしまうストーリー展開だった。
個人的に、
やはり川谷が1番不幸だなと感じたが
よく考えたら、
いままで1番幸せだったのも彼なのでは。
自由には責任が伴うことを年齢からも学ばされた。
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Posted by ブクログ
「昭和百年」とも言われていた2025年の夏過ぎ、書店で平積みにされている派手めな表紙の本を見かけた。
なかなかのぶ厚さだ。著者名を見ると奥田英朗。
『イン・ザ・プール』を始めとする伊良部シリーズ、ディープな犯罪小説『最悪』、長編家族物語?『サウスバウンド』など大好物作家の一人だ
お!こんな長編出したのか…。
昭和元年生まれの4人が主人公らしい。「『昭和百年』に読むにはふさわしそうだ」と、脳内にメモした。
が、そのまま年を越えてしまった。
「昭和101年」の4月、オーディブル化されていることを知る。ボリュームを考慮するとオーディブルで聴くのはいい選択だと考え、聴き始めた。
大正が幕を引く。昭和元年生まれの子を持つ親たちの物語をメインとして始まった。親たちの職業は軍人、編集者、ヤクザ、興行主。それぞれの立場の描き方、絡ませ方が絶妙だ。ナレーションも素晴らしい。
昭和が動き出す。大陸に進出する日本の姿は力強い。やがて、満州国が成立し、太平洋戦争に向かっていく。エネルギッシュな昭和初期の日本の姿は、現在の日本と異なるようでどこか似ている(と感じつつ、気持ちがザラリとする)。
このまま一気に昭和百年まで聴こうと思っていた。
昭和元年生まれの子どもたちの登場がなかなか増えない。「親」編が長すぎないか?と感じていると、太平洋戦争突入というところで終わってしまった。
オーディブル化は第一部のみだったのだ。
もう気持ちが止められない…。
なので、急ぎ第二部、第三部を書籍で購入した。
これから活字で昭和をさらに進んでいきます。 -
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中学生って難しい!
中学生の「団結」や「自覚のない残虐性」を認識し、危うさと怖さを感じさせられた。家族から徐々に離れ始める中学生は、社会との接点を増やし始めている。その際、良き友人に出会えば良く育ち、悪い大人や先輩に出会えば悪に染まることもできる。良し悪しや基準が分からないからこそ、何色にでもなれてしまう。人生の転換点にいるのかもしれない。
600ページ弱の長編で、登場する中学生と、その親、学校の先生、中学生と向き合う警察や検察のそれぞれの人物が解像度高く描かれていた。それぞれに悩みや譲れぬものがあり、自分の立場が一番大切という人間らしさが溢れる登場人物たちで感情移入できた。
ある人物に共感していると、他者から否定されて、苦しくなりながら読んだ。誰が諸悪の根源なのだろう。中学生を取り巻く社会の複雑さを感じる1冊だった。 -
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さすがの奥田英朗だから読みにくいってことはないのだけれど、中盤以降急に名倉が生きていた頃に戻ったり死後だったりの時系列がわかりにくかった。
最後はちょっとほっぽり出された感じがあった。書きたかったのは、中学生の証言の難しさなのだろうか。
中学2年の名倉が学校の敷地内で亡くなっていた。頭が割れて、つねられた痕が多数ある。同じグループの14歳になった坂井と藤田が傷害の疑いで逮捕。13歳の市川と金子は児童相談所送致つまり補導ということになる。警察は4人が銀杏の木に飛び移るよう強要したのではないかと思っているが、4人の子供たちはあまり喋らず、裏が取れない。
3日ほどで彼らは保釈されて元の生活に戻っている。テストも終わり、何事もなかったようだ。名倉の家に4人で来るように遺族に強制され行くことになる。何度も名倉がいた時には来たことがある。子供たちは花も香典さえも持ってこなかった。そして何も収穫はなし。また来てもらうことになった。
4人の両親もスクラムを組むことにした。だがそれも不穏である。他の誰かのせいにしたいのだ。
遺族の申し出により4人はテニスの県大会に出られなくなる。が、坂井と市川の母は頑張って抵抗する。
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奥田英朗の長篇ミステリ作品『罪の轍』を読みました。
奥田英朗の作品は、2年前に読んだ『町長選挙』以来ですね。
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昭和38年、東京
男児誘拐事件に人びとは震撼した──
絶対零度の孤独を抱える容疑者×執念でホシを追う捜査一課刑事
昭和三十八年十月、東京浅草で男児誘拐事件が発生。
日本は震撼した。
警視庁捜査一課の若手刑事、落合昌夫は、近隣に現れた北国訛りの青年が気になって仕方なかった。
一刻も早い解決を目指す警察はやがて致命的な失態を演じる。憔悴する父母。
公開された肉声。
鉄道に残された〝鍵〟。
凍りつくような孤独と逮捕にかける熱情が青い火花を散らす──。
ミステリ史にその名を刻む、犯罪・捜査小説。
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2016年(平成28年)から2019年(令和元年)に新潮社が発行する月刊小説誌『小説新潮』に連載された『霧の向こう』を改題して、2019年(令和元年)に刊行された作品です。
刑事たちの執念の捜査×容疑者の壮絶な孤独――犯罪小説の最高峰、ここに誕生!
東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年……浅草で男児誘拐事件が発生し、日本中を恐怖と怒りの渦に叩き込んだ、、、
事件を担当する捜査一課の落合昌夫は、子供達から「莫迦」と呼ばれる北国訛りの男の噂を聞く……世間から置き去りにされた人間の孤独を、緊迫感あふれる描写と圧倒的リアリティで描く社会派ミステリの真髄。
事件の描写がノンフィクションのように細部まで行き届き、東京オリンピック前の昭和38年という時代の空気が物語全体を支えており、800ページ超の長篇にもかかわらず、驚くほどテンポ良く、飽きずに読み進められましたね……警察の捜査手順、通信網の限界、交通手段の不便さ、そしてテレビという新しいメディアの影響力という、昭和38年ならではの制約と可能性が混ざり合い、事件の進展に直接影響を与えていく展開が捜査の一手一手に重みを与えていて読み応えがあり、物語の世界観に浸ることができました、、、
そして、物語の中で印象的だったのは、犯人の生い立ちに潜むやるせなさ ですかね……貧困、家庭環境、社会の隙間に落ちていく若者、単なる警察小説にとどまらず、犯人が背負っていた過去が丁寧に描かれており、刑事たちの執念の捜査で、その全貌が明らかになったとき、読む側は罪の重さを感じながらも、どこかで「もし別の環境だったら」と考えずにはいられませんでした。
このやるせなさが、物語に深い余韻を残すんですよね……長篇でありながら冗長さを感じさせず、むしろページをめくるほどに昭和の空気が濃くなっていく作品、、、
事件のリアリティ、犯人の人生の哀しみ、社会の変化……それらが重なり合い、読者を一気に昭和38年へ連れ戻す そんな作品でした。 -
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ネタバレああ、おもしろい。600ページ弱の長さというかぶ厚さを感じない。
読み終わったあと、まだ続きがあることに、とても興奮している。
それぐらいおもしろかったです。
空襲にさらされるノラや京子たちや特攻に向かう四郎。
死ぬな、逝くなと泣きそうになりながら夢中で読んだ。
満の絶体絶命のピンチにドキドキした。玉音放送を聞いた志郎の「今日という日は、
事が大き過ぎて、個人の感情など湧いて来ない」という思いが印象的だった。
最後に4人が一堂に会する場面もよかった。ハチャメチャやないか(笑)
そしてノラちゃんを取り合う胸キュン展開??
第3部、読むのを楽しみにしてます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1巻で描かれた親世代に続き、その子どもたち4人が主人公。戦中から戦後にかけてのさまざまな暮らしが描かれる。
ヤノタツの養子である矢野四郎は父と同じくどうしても力に訴えてしまうが、商才にたけ、世渡り上手だ。仲間から慕われ矢野組も立ち上げてしまう。あと少し終戦が遅かったら人間魚雷回天で死んでいたところだったが、生き残った。子供の頃から面倒を見てくれた木下が頼むので、大学へ行くが、裏稼業も次第にエスカレートしていく。
竹田志郎は陸軍少将の息子で正義感が強く、日本人収容所に入れられながらも、無事帰国できた。英語ができるため東大生の頃にGHQで通訳として働き始める。
満洲生まれの五十嵐満は父と同じくエンターテイメントの世界で頭角を現す。終戦と同時に若者たちの国を建国する事を目指す「リバティ」に属していたが、時同じくソ連がやってきて満は捕虜となってしまう。
森村ノラは両親が不在の間、父の教会を守る。偶然の流れから喫茶店の店主まで任される。ノラも生活力が高く英語ができるので、戦後はGHQで通訳として雇われる。
もうこれだけでも、あの厚さになるのがわかる。そして、この4人が最後の場面では同じパーティで顔を合わせるのだ。面白い!次巻が楽しみすぎる〜
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ドライブのお供にオーディブルで小説を探していた。
狙っていたのは奥田英朗の『普天を我が手に』。しかし、オーディブル化はまだだった。とりあえず予約を済ませた。そして、たまたま目に止まったのが『コメンテーター』。あれ?精神科医・伊良部シリーズ? 4作目があったのか。3作までは読んでいたぞ、あれは平成の頃だったか…。と、すっかりご無沙汰していた伊良部先生に対面することになった。
相変わらずハチャメチャ…のように見えて、最短かつ効果的な治療。読んでいるコチラの気持ちまで治療してくれる。
最近、ささくれ気味の気持ちが癒された、いや治療された。ありがとう伊良部先生。