奥田英朗のレビュー一覧
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昭和の東京オリンピック前年に起きた児童誘拐の社会派ミステリ
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昭和38年、東京
男児誘拐事件に人びとは震撼した──
絶対零度の孤独を抱える容疑者×執念でホシを追う捜査一課刑事
昭和三十八年十月、東京浅草で男児誘拐事件が発生。日本は震撼した。警視庁捜査一課の若手刑事、落合昌夫は、近隣に現れた北国訛りの青年が気になって仕方なかった。一刻も早い解決を目指す警察はやがて致命的な失態を演じる。憔悴する父母。公開された肉声。鉄道に残された〝鍵〟。凍りつくような孤独と逮捕にかける熱情が青い火花を散らす──。ミステリ史にその名を刻む、犯罪・捜査小説。 -
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ネタバレこれだけのページ数を、加害者(は、いないといえばいないのだが)と被害者とその家族、学校、警察、検察それぞれの視点で細やかにリアルに描いて、最後の最後に死因が明かされる。
自殺でも他殺でもなく結局は事故。名倉祐一みたいな子供、たくさんいるだろうな、いじめられる側にも理由があると言われてしまうような子供。
奥田英朗はうまい。いるいるこういうビビリの校長、いるいるこういう逃げる父親という感じでリアルに描く。
それにしても、市川健太がちょっとわかんない。藤田は追い詰められておかしくなったようだけど、死体を見たのに藤田を庇って(ずっと嘘をつき続けていられる?)、テニスの練習しておやつのケーキ平らげ -
Posted by ブクログ
伊良部一郎は相当な変わりもの
この人は意図的なのか偶然なのかこれは自分自身の読解力じゃ測れなかった。たぶん偶然だと思うけど…
全章面白い
ケータイ依存症の若者は当時の依存性で、この人は今だと別の依存性なんかな?とか考えたりして尚のこと面白い。ただカラオケして麻雀してスキー旅行だ!なんて大学生すぎる高校生いるんかなと思った。
個人的なオススメは
『いてもたっても』
とにかく心配性。強迫神経症
一番ありえると思う。鍵閉め、スイッチを切ったかな、火災になってないかな?とか正直俺も考える。でもここは正常性バイアスとでもいうのかな?
まあ大丈夫だろ?が自分は勝ってる。
これはこれでいつか怖いけども… -
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ポップなデザインの医者と看護師が描かれる表紙をめくると、赤ちゃんがプールに沈むような絵が出てきた。
なんとも不安になる表紙なのに、中身は色々な依存症患者と楽観的なトンデモ医者の医療コメディ。
表紙のデザインも、赤ちゃんがプールに沈む様子をどう捉えるかで人それぞれ見方が変わってくるのだろう。
赤ちゃんが本物だと思い込んで仕舞えば、不安や恐怖を抱いてしまうが、人形だとすればアートだと納得や感心することができる。
そのような思い込みすぎることで起きる依存症が多々登場し、楽観的な思い込みの転換を試みる医者のお話。
医療用語や治療はほとんど出てこない。
それでもこの医者のキャラクターが患者の異常を上回 -
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コメディ小説、と簡単には言えない気がして、、
(面白いと言うと患者に悪いが)色々な症例の患者が、精神科医の伊良部のもとにやってくる
伊良部は根っからの変人なのだが、どこか人を惹きつける要素があるよう。
結局、治しているから名医なのかもしれない。
相談と言うか、ただ雑談を出来る関係も大切だなとつくづく思う(一種の、弱い紐帯の強み?)。
イン・ザ・プール
また日本に帰ったら泳ぎたいなぁ
泳いだ時の快感がひしひしと伝わって、なんでこんなに言語化出来ているんだ!!と驚いた
◯ちっ放し
傷付いている時の優しい言葉って本当に沁みるなぁ。。。
コンパニオン
主人公の女性に終始イライラしていたんだけど -
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『家日和』に続く家族を描いた第二弾となる今回の一冊は、六編からなる短編集だ。
六家庭で起こる問題が描かれていて、一編を除いて何とか解決策を見出していた。
特に心に沁みた物語は⋯
⚫︎「妻とマラソン」
主人公の作家の男が突然大きな賞を受賞し、売れっ子作家に変貌した。
妻は環境の激変によって孤独感を味わうようになるのだが、唯一の趣味だったランニングだけは一人で続けていた。
そんな家庭環境を心配した出版社の担当者から、「東京マラソンの参加権をゲットしたから奥さんに参加を勧めて」との声を掛けられた。
私はこの物語が心に沁み入り、思わず涙腺が緩んでしまった。
標題は『 我が家の問題 』となっているが、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ長さを感じさせないまま、あっという間に読み終えた。いつの間にかページが残り少なくなっているという、不思議な感覚。それくらい没入できる一冊だった。
それぞれの視点で事件と向き合い、そのつながりによって事件解決への道筋が少しずつ見えてくる。警察だけでなく、元刑事や遺族は凄まじい執念で事件を追う。そして、事件発生から逮捕までの警察の地道な捜査。先が見えず、本当に犯人なのか疑いがあるまま、ただただ事件解決のために全力で走る姿には尊敬の念しかない。普段ニュースで見る事件の裏には、想像以上に多くの人間が、事件解決に向けて時間と力を尽くしてくれているのだろう。
続きが気になる結末だった。被疑者となった三人の