奥田英朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和の東京オリンピック前年に起きた児童誘拐の社会派ミステリ
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昭和38年、東京
男児誘拐事件に人びとは震撼した──
絶対零度の孤独を抱える容疑者×執念でホシを追う捜査一課刑事
昭和三十八年十月、東京浅草で男児誘拐事件が発生。日本は震撼した。警視庁捜査一課の若手刑事、落合昌夫は、近隣に現れた北国訛りの青年が気になって仕方なかった。一刻も早い解決を目指す警察はやがて致命的な失態を演じる。憔悴する父母。公開された肉声。鉄道に残された〝鍵〟。凍りつくような孤独と逮捕にかける熱情が青い火花を散らす──。ミステリ史にその名を刻む、犯罪・捜査小説。
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礼文島で昆布漁の下働きをしている宇野寛治 二十歳
義父からの虐待のせいで、子供の頃から脳機能に障害があり、周囲から莫迦だと見下されていた
金に困ると、良心の呵責を感じることなく空き巣を繰り返している
あるとき、質屋に売った事をきっかけに逮捕されかけるが、船を盗んで東京に逃亡
そして、東京暮らしでも盗みを繰り返すが……
読み始めはどんな物語になるのか先が見えず
面白さに関してはスロースタートなので人を選ぶかもしれない
ただ、途中からは、「吉展ちゃん誘拐殺人事件」をモデルにしている事に気づき、どんどん面白さを増していく
それと共に、あの事件がどうなったのかを知っているが故に陰鬱な気持ちにもなる
あの事件は昭和の犯罪史の中でも大きな事件として扱われる
日本で初めて報道協定が結ばれた事件でもある
逆探知ができない時代
家電と公衆電話の特徴
市民に協力を求める劇場型捜査の始まり
警察の捜査方法の杜撰さ
情報を共有しない個人成果主義
警察の不手際と右往左往っぷり
暴力団との馴れ合いなど
現代の常識と違いがあって、隔世の感がある
その他にも、昭和を感じる描写が色々
山谷で酒を飲んでいた人が貧血で倒れるのは、輸血用の売血によるものだし
活動家達の存在もそう
集団就職の欺瞞
障害者に対する差別意識など
昭和を感じる部分も多々あるけれども
便利なツールの広まりによる影響は現代にも通じる
「馬鹿が一万人に一人の割合としても、分母が一億人なら一万人の馬鹿が出現する。全国津々浦々まで行き渡るってえのは、こういうことでしょう」
現代ではSNSが正にこれ
無関係な人間達の馬鹿騒ぎ
知名度のためのパフォーマンス
正しく使えば便利だけど、悪用しようと思えばできるし
善意であっても迷惑な事もあるしな
途中で、この1年後を描いた「オリンピックの身代金」に登場する刑事さん達だと気付くけど、それぞれの特徴は覚えてないなぁ
私が物語を読むときは、登場人物を記号的な読み方をしている面がある
終盤、宇野が死刑になるかどうかの疑問
大場は、一人殺したなら無期懲役、二人なら死刑と言っていたけど
永山基準はこの事件の後だた気がするんだが?
この時代にもそんな認識が世間ではされていたのだろうか?
それを聞いた宇野の行動
まぁ、序盤から色々と伏線はある
もちろん容認できないけれども、途中で大場に連絡を取ろうとするあたりが、どうも憎めない
考えようによっては単なる馬鹿なのだろう
ただ、性根は曲がっていないというようにも捉えられる
もし幼少期にまともな親の元で育っていたら……、と思ってしまう
なので、宇野に同情する点がないわけではない
「こんなやつ死刑にしてしまえ」とも思わない
でも、罪がないわけではないし
悪いことは悪いことと認識しながらも窃盗を繰り返しているわけだしなぁ
それにしても事件の結末に救いがない
3日くらいで読んだけど、800ページ以上あったようだ
このくらいの厚さでも、京極と比べてしまうとそんなでもなくなってしまうバグ
まぁ、上下巻や複数巻の作品もあるので、心理的ハードルはそんなにない -
Posted by ブクログ
ネタバレこれだけのページ数を、加害者(は、いないといえばいないのだが)と被害者とその家族、学校、警察、検察それぞれの視点で細やかにリアルに描いて、最後の最後に死因が明かされる。
自殺でも他殺でもなく結局は事故。名倉祐一みたいな子供、たくさんいるだろうな、いじめられる側にも理由があると言われてしまうような子供。
奥田英朗はうまい。いるいるこういうビビリの校長、いるいるこういう逃げる父親という感じでリアルに描く。
それにしても、市川健太がちょっとわかんない。藤田は追い詰められておかしくなったようだけど、死体を見たのに藤田を庇って(ずっと嘘をつき続けていられる?)、テニスの練習しておやつのケーキ平らげるかね?
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Posted by ブクログ
『家日和』に続く家族を描いた第二弾となる今回の一冊は、六編からなる短編集だ。
六家庭で起こる問題が描かれていて、一編を除いて何とか解決策を見出していた。
特に心に沁みた物語は⋯
⚫︎「妻とマラソン」
主人公の作家の男が突然大きな賞を受賞し、売れっ子作家に変貌した。
妻は環境の激変によって孤独感を味わうようになるのだが、唯一の趣味だったランニングだけは一人で続けていた。
そんな家庭環境を心配した出版社の担当者から、「東京マラソンの参加権をゲットしたから奥さんに参加を勧めて」との声を掛けられた。
私はこの物語が心に沁み入り、思わず涙腺が緩んでしまった。
標題は『 我が家の問題 』となっているが、正しくは『 夫婦の問題 』が描かれている。
既婚者の読者は、どの短編の問題にもウンウンと頷いてしまう問題だと思う。
なかなか夫婦間の問題を解決できないお方には、とても参考となる救いの一冊になる⋯かも知れない。 -
Posted by ブクログ
「恋愛」をテーマにした
5名の作家さんによるアンソロジー
収録は以下の5作品
「あなたが大好き」 奥田英朗
「銀紙色のアンタレス」 窪美澄
「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」 荻原浩
「ドライビング・ミス・アンジー」 原田マハ
「シャンプー」 中江有里
窪美澄さんの作品は『夜に星を放つ』で既読だったが、好きな作品なので再読した。
他作品は、私は初めてのものばかりだった。
どの作品もそれぞれに趣が違っていて、個性豊かで、色々な恋愛模様がたのしめる。
こんなに大当たりばかりのアンソロジーは、なかなかないと思う。しいて選ぶなら、私は荻原浩さんの作品が特にグッときた。
読んでいて気恥ずかしくなるような、胸キュン恋愛小説が苦手な人も、これは安心して読めると思う。
そして『恋愛仮免中』というタイトルもなかなか粋だ。
幾つになっても、男性も女性も、こと恋愛においては
仮免中の時が、一番たのしいんだろうな。
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Posted by ブクログ
痛快!親友・カナコを夫のDVから救い出すために二人で殺害(クリアランス)、完璧と思った作戦がほころびていく過程で、カナコはどんどん強くなっていきナオミも今まで守ってきた自分の生活を捨ててもいいと思うように。
カナコを殴る夫の達郎はもちろんクソだが、達郎の妹・陽子は更にクソ。カナコへのDVに気づいていながら何もせず、挙句「暴力をふるったかもしれないけど、殺すことはないでしょ!」と。
ナオミが勤めるデパートの外商展示会で出会った李朱美は、最初は高級腕時計を盗んでおきながらしらばっくれる、なんちゅうヤツだと思ったけれど、ナオミが開き直って交渉しだしてからは味方になってくれる。
登場人物がイキイキしていて一気に読んでしまった。
続編があったら読みたい!