奥田英朗のレビュー一覧

  • オリンピックの身代金(下)

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    上巻に引き続き一気読み。
    最後の方のシーンは緊迫感に呑まれ、私自身も手に汗握って読んでしまった。
    この時代に生きる人達も多くの苦労があり、不自由があり、悩みがあったのだろうとは勿論思うが、それでもなお「日本が必ず成長している」と感じられる時代を生きた人達を羨ましく感じた。

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    2023年05月14日
  • オリンピックの身代金(上)

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    東京オリンピックに沸く日本の陰で確かに存在しただろう闇の部分を、暗くなりすぎずテンポよく、陽の部分と共に見事に描かれている気がした。

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    2023年05月14日
  • オリンピックの身代金(下)

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    ネタバレ

    国男の真っ直ぐさは心配になりつつもどこか応援したくなり、下巻で警察から追われる身になってからは手に汗を握る展開が多くさくさく読み進められた。フィクションなので、聖火台爆破、北朝鮮への逃亡もやり切って欲しかった気持ちもある。

    村田との関係性もよかった。
    最後はとてもあっけなくて少し物足りない。
    すごくボリューム感のある上下巻!

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    2023年05月10日
  • 噂の女

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    高校まで地味だった女、糸井美幸は短大入学後、派手になり、顔は地味だが、
    男性が魅了する身体になっていた。
    糸井美幸には、ある噂があり、とある社長の愛人ではないかと言う。
    ミステリー?サスペンス?それとも、エンタメ?
    連作短編で、章が変わるごとに年月は進み、
    噂の女となった、糸井美幸は、突如現れては、何やら怪しい行動をしている。
    どんどん怪しくなっていく・・・。

    読んでいて、糸井美幸の素性が全くつかめず、弟を名乗る若手のヤクザも
    本当に弟なのか謎で、まさに、噂の女と言った感じ(笑)。
    どこの地方とは明記されてませんが、地方を舞台にした作品展開で、
    言葉使いにも訛りがはっきりあります。
    そんな

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    2023年05月05日
  • 我が家の問題

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    短編6作品収録
    それぞれの家庭のお話
    まず、読みやすいなと感じました
    いずれの作品も他人事でもない問題にまつわるお話で
    それぞれにいろんな問題がでてきて人生に波風たたない
    ことなんてないんだなと感じました

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    2023年05月01日
  • サウスバウンド

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     家族の絆を描いた傑作長編というと心温まるほっこりストーリーかと思うが、読んでみるとかなり特殊な家族だった。元過激派の父には最初反発しか覚えなかったが、西表島に移住してからはどんどん格好良く見えてきて不思議な気持ちに。子どもたちを力ずくで自分の思想に染めようとしないところが良い。こんな父親が良いかと言われると首を傾げるが、実際に父親だったなら誇りに思えるお父さんだっただろう。自分の非を手紙で認めた南先生も、移住後に吹っ切れたかのような母と姉も魅力的な人物でいっぱいだった。

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    2023年04月24日
  • ヴァラエティ

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    対談も挟まれていて、バラエティに富んだ内容でした。俺は社長だ!という最初の話は、脱サラして社長として仕事をしていく人間の希望だけでなく、葛藤や不安が面白く描かれていて面白かったです。話の最後の方で子供とパパの会話からのほんわかする家族のやり取りが、それまでの外で気を張っていた社長としての立場とのオン·オフがあって日常感を感じました。

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    2023年04月15日
  • 向田理髪店

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    北海道の小さな町を舞台にした6つの連作短編集。帯にはハートウォーミングと書いてあるが、現実はそんなもんじゃないというメッセージの入れ方が面白い。モデルとなった場所を想像すれば、心温まるどころではない話も透けて見えるが、何とかその街が長く続いていくことを願いたくなる。中国からの花嫁、映画のロケ、地元出身の起業家、ストーリーの上手さと悲壮感なく厳しい現実をユーモラスに描くのはさすが。

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    2023年04月05日
  • マドンナ

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    40代課長職の男性が主役の、
    5つの短編集。

    どの話も、初めて読むんだけど、
    なんか知ってるというか、
    どこか共感出来る話だったなと思います。

    中でもラストの話が心に残る話で、
    短編の順番も良かったです。

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    2023年04月04日
  • 向田理髪店

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    北海道の過疎化に迫られた町を舞台にした連作短編集。
    未来に対し期待が低く、寂しく感じる日々なのだけどそれでも事件は起こる。
    小さなコミュニティな分、すぐに共有してしまい隠し事ができない。康彦さんをはじめ、いつも同じ面子が愚痴ってしまうのも仕方ないのかなあ。

    中国からの花嫁
    大輔くんの周りに対しての遠慮、気のまわし方よくわかります。恥ずかしく感じてしまうのだなあ。後は本来の性格なのでしょう。周りはそんなに気にしていないのに、どう思われているか本人は考えこんでしまう。自分もそんな面があるので気持ちわかります。

    小さなスナック
    おじさん達が美人ママにのぼせる様が、微笑ましいというか、おぼこい。変

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    2023年03月25日
  • 最悪

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     タイトル通り終始嫌な気分で鬱々と進みしんどかった。鉄工所社長の川谷さんの章が1番辛かった。和也は元々定職に就かず強盗や恐喝をしているので同情の余地が少ないが、反面川谷は真面目に働いており養うべき家族がいて理不尽な目に遭う度合いも3人の中では高いと思う。終盤の収集のつかない展開には目が点になったが、それぞれが一応の安息を得られたのは良かった。
     苦境に陥った時に正常な判断力を失くしどんどん悪い方へ転がっていってしまうのは私も経験があるのでよくわかる。傍観者たる読者は勝手なことを思うが、実際自分がその立場になるとなかなか冷静になれないもの。その恐ろしさを思い出した。

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    2023年03月17日
  • 真夜中のマーチ

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    楽しかった
    最近は【生き方】がテーマの本を読むのが好きですが…

    この本みたいに、騙し合い、ドタバタコメディーなの好きですね
    こんだけハチャメチャなのに、無駄に登場人物が死んでしまったりしない感じも好き

    たしかにミタゾウみたいな、パッと見冴えない人が
    ここぞと言う時に、得意な能力があるのがカッコいいですよね!
    決めるとき決めるみたいなギャップが…
    シティーハンターだったり
    ルパン…ONE PIECEのサンジ…鬼滅のゼンイツなどなど
    ギャップがあるキャラはどの作品にもかかせませんね。

    ※だから結局 話変わるけど何が言いたいかって言うと…
    【自販機で当たり出ると、何を押すかアタフタしまくって…

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    2023年03月15日
  • 噂の女

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    悪女の話。和歌山のドンを思い出す。ここまで悪女に徹すると痛快。奥田さんの地元愛、地方ならでわの笑い。グッと親近感が湧く。彼の本『最悪』のトーンである。

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    2023年03月15日
  • オリンピックの身代金(上)

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    東京オリンピックを通して再興する戦後の日本が舞台ではあるものの、利権争いが蔓延る国家のあり方はついこないだの2020東京オリンピックの話と聞いても違和感がない。東京オリンピックが終わって続々と不正疑惑、汚職などのニュースが出てくる中で読んだため、日本も成長しないなあと他人事のような感想を抱いた。

    爆破事件を起こすことで、オリンピックで浮き彫りになる階級格差、地域格差な一矢を報いようとする主人公はびっくりするほど純粋で正義感が強く、なぜか嫌いになれない。

    出稼ぎの描写、これから衰退していく日本ではどんどんこういう家庭が増えていくのでは、、と怖くなった。

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    2023年03月08日
  • マドンナ

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    自分と同じく40代サラリーマンの職場での問題を皮肉をまじえた短編集。営業職の話が多く自分の職種とは違ったが、女性社員への恋心、女性上司との折り合い、年老いた親との関係など身に迫るテーマで、のめり込んて読めました。

    「パティオ」
    登場する、おひょいさんは達観し毅然とした雰囲気があり自分もこういう歳の重ね方をしたいと思いました。

    全編を通して感じた事は、アラフィフ世代で歳を取ったなあと思っていましたが、まだまだ子供だと突きつけられているようでした。頑張ろう。

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    2023年02月28日
  • 無理(下)

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    途中までは最高に面白かった。同じ街に住むという共通点しかなかった彼らが、いつどう交わるのか、そしてそれぞれに抱えた難題をどう乗り越えるのか。
    手に汗握りエンディングを読んでガッカリ、何とも中途半端で気持ち悪い終わり方か。

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    2023年02月28日
  • 真夜中のマーチ

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    大金強奪を目論む若者たちのドタバタ劇。エンターテイメント全開で頭カラッポで楽しめるのがいい。
    お調子者の裏街道男のヨコケン、妙な能力を持つ商社のマンミタゾウ、ワケあり美女のクロチェ、優秀なワンコのストロベリー、キャラ設定もわかりやすくテンポが良いので気楽に楽しめます。

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    2023年02月22日
  • 恋愛仮免中

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    5人の作家による恋愛アンソロジー

    奥田英朗 「あなたが大好き」
    窪美澄 「銀紙色のアンタレス」
    荻原浩 「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」
    原田マハ 「ドライビング・ミス・アンジー」
    中江有里 「シャンプー」
    の5編が収録されています。

    窪美澄さんの作品を楽しみにしていましたが2016/10/17に刊行された「すみなれたからだで」に収録されていた物で少し残念でしたが、それでも再び読み返したらやっぱり好きだなと感じました。
    16歳の男女のすれ違う繊細な恋心にドキドキしたり、おばあちゃんの家や海、龍宮窟の風景が脳内映像に浮かんで来たり、おばあちゃんの作るおにぎりが食べたくなったり、終始無駄

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    2023年02月17日
  • ヴァラエティ

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    たぶん空中ブランコだったかな、初めてこの人の本を読んだのは。
    それがもう面白くて、しばらくの間何冊か読んだんだけど、そういえば最近は読んでなかったなあんまり。
    この本はまぁ出たのも7年くらい前だし書かれたのもその前だから、新しくはないのだが、相変わらず読み易いしそして面白かった。
    最後の「夏のアルバム」は著者もいうように良い話だったな。

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    2023年02月07日
  • マドンナ

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    奥田英朗さんのこういう作品、大好き。『ガール』は働く女性が主人公だったのに対して、こちらは働く40代男性が主人公。一回り以上歳下の部下の女の子に恋しちゃうオジサンに、海外帰りの女性が上司になって葛藤するオジサン、会社では上司に抵抗してみたり、家では妻に言い負かされたり。20年近く前に刊行された作品なので今の時代にこんなオジサンは少なくなっているだろうなぁと思いつつ、ここに登場するオジサンはそれぞれの立場で奮闘していてかわいいな、と思えました。

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    2023年01月29日