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下巻も期待以上の手に汗握る怒涛の展開。熱すぎる刑事魂とどこまでも冷静な国男の対比がラストまで印象的だった。それにしても村田さんのキャラ立ちが際立った。国の威信をかけたオリンピック。そこにかける人たちの思いが様々にぶつかり合っていた。時系列を前後しながら落合さんの目線だったり、国男の目線だったり、魅力的な登場人物と布石を織り混ぜながら最後まで目が離せない最高の物語だった。ラストはやはりそうだよねーという感じかな。
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島崎国男は秋田の貧農の村、政治から捨てられたような地域の出。国男にはスリの相棒、村田がいる。読んでいて村田の言動が愛嬌があって微笑む。いつのまにか国男を応援していた。堪能しました。
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1964年のオリンピックは聖火リレーの見物客として、父の肩車で眺めている写真の記憶
開会式や競技の鮮やかな光景が本当に見たのか、記憶が上塗りされたのかもはっきりしない
その鮮やかさや晴れがましさの裏にさまざまな人間の事情、思惑、犠牲があったんだろうと思わせる作品だった。
その時代、時代の自分の立ち位置からしか、思いを馳せることができないけど、本当は人間の数だけ、嬉しいこと、楽しいこと、辛いこと、悲しいことがあると改めて思った。つい忘れて瑣末な身辺に囚われる自分が情けない。
以下は後日の追加です。
先日、クイズ番組の中で昔の「お宝映像」なるものがあった。 東京タワー建設時の鳶の人たちがまったく命綱なしで移動したり降りて来たりしていて、それを見て出演者たちが、凄いとか怖いとか騒いでいた。 ああ、こういうことか、私も前ならそういう感想で終わってしまってた。だけど、今なら、「この時代この人たちの命がいかに軽んじられていたか。たまたま、誰かが犠牲になっても、(なったかもしれないが、)人知れずうやむやにされていたんだろう」と想像した。
その映像と出演者のはしゃいだコメントが、今だに心にわだかまっている。
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面白かった!
昭和の東京オリンピックに湧く、高度経済成長の頃の日本。先日読んだ『罪の轍』と同じ頃の話でした。
オリンピックを成功させるために、安い賃金で奴隷のように働かされていた人夫。ほとんどが田舎から出稼ぎに来ている人たち。東京は著しく発展していくのに、田舎はその恩恵を受けることなくとても貧しい生活のまま。それに疑念を抱いた主人公が犯行を企てる。
真面目さや家族への優しさが、方向を間違えるとこんな事になってしまうのかと切なくなったけれど、主人公の思いには共感できるところも。
警察の捜査も興味深く、電話さえ稀な時代にどんどん犯人を追い込んでいく捜査は読んでいて息を呑みました。
大きなことを成し遂げるには、それを底辺で支えてる人たちがいることを忘れてはいけないと思った作品でした。
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視点が入れ替わるから、事件が動いてハラハラした後に島崎視点でどう動いてたか分かったりで終始飽きずに一気読み。
当時ほんとにこんなことが起こってたのではないかと思わせるリアルが凄い。
時代だから、連絡手段の確保も伝来役が走るとかだし、警察サイドの状況も今と全然違う。
貧しい人から中央の人へ富が搾取されていく感じもじわじわと実感できて、そりゃ大それたこともしちゃうよねって思わせられる。
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下巻もおもしろかった。
上巻は時系列が前後しますが、下巻はそれもないせいかどんどん進みました。
罪の轍もそうだけど、奥田さんの作品て、どうしてこんなことになってんのーって展開が多い。
間一髪のところで逃げきれたり、とんでもない場面に居合わせて、罪を重ねたり…。
そして、犯人が完全な悪人でないところも。
最後はなんだかせつない気持ちになりました。
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やー、面白かった。。
昭和39年のオリンピック開催を目前に控えた東京が舞台で、オリンピックは先進国の仲間入りをするための国家勢力をかけた一大イベント。
活気付く国民や、変貌していく街の裏には、貧困問題を抱え、過酷な労働状況で働く日雇い労働者がいた。
その実情がとてもリアル描かれていて、いろいろと考えさせられた。
2022年のカタールワールドカップでも、ワールドカップ開催に向けての労働で、かなりの数の労働者が死亡したとのこと。
世界のどこかでは今も変わらずに同じようなことが起きている。
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あれ!?っと思ったら
「罪の轍」のメンバー!
戦後の東京の高度成長期とプロレタリア
主人公の島崎の純粋さと それがだんだん壊れていく様にグイグイ引き込まる
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あまりに面白すぎて、読み始めたらほかのことができなくなる。時間があるときに読むのがおすすめ
これが刺さった人は罪の轍も読んで欲しい〜また五係の活躍がみれます
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テロリストの心情変化を知りたくて、この本に辿り着いた。
読めば読むほど国男が社会の闇に入り込んでいく様子をみて、より深い闇を待つ私と、国男の行く末を案じるまた別の私がいた。
全てがリアルで、実際に島崎国男が存在していそうで。建物の並びもああそうだよなあと思いながら、情景が鮮明に浮かんできた。久々にこんな濃厚な本読んだなあ、という感じでした。
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文庫2冊にわたる長編にもかかわらず、途中で弛むことなく一気に結末へと導くストーリー構成の素晴らしさ、ご都合主義にはとどまらない憂いのある結末、まさに奥田英朗ならではの作品。
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今、オリンピックを目前とした状況下でのレビューです。
まず、国男はテロリストになるけど、主張は間違えていない。そして、スリの的を射た発言の数々が、同情を促す。
そして、ラスト、国男が撃たれた時、主張が認められなかった時、とても悲しくなった。国男の生死は言及されていなかったが、生きていて欲しい。
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展開が早く、どんどんスピードを上げていく感じでした。
結局島崎はどうなったのか?
真っ直ぐで純粋な青年であった島崎は何かに、憑かれたように前進していった。
切ない気持ちが残りました。
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本当に面白かった。
島崎はもちろん忠も良子も昌夫の視点も全て見事で無駄がなく面白かった。
村田と島崎の作戦の失敗の仕方も絶妙なバランスで素晴らしかった。
参考資料の多さからしてすごい
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東京オリンピックは、高度経済成長に代表されるよう日本の新しい時代の幕開けのようなイメージを今まで持っていたが、地域格差や出稼ぎ労働者の過重労働など当時の真の日本の姿をこの本を通して垣間見た気がする。読み進めるとだんだん国男に肩入れしてしまった。
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時点を前後させながら描くスタイルが新鮮で、より一層興味をそそられた。
中でも、開会式当日のやり取りは、緊迫感が伝わり、正に手に汗握る展開。もう少しラストの余韻を楽しめれば、☆5をつけていた。
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東京オリンピック時代の雰囲気がひしひしと伝わってくる。
オリンピックに向けての建設現場で労働しているなか、東京、田舎の差による不平等さなどを感じながら主人公がテロリストになっていく。ただ、共感ができてしまう部分もある。
長編だが、最後まで読ませる書き方はさすが。
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最高に面白かった。
高度経済成長に突き進んでいくきっかけになったオリンピックの存在の偉大さをひしひしと感じた。
設定としてはありえない設定だが、体制を敵に回し庶民の味方然として振る舞う犯人には非常に共感が持てた。
最後の最後にどんでん返しがあれば、言うことなし。
目的のためにすべてを我慢して、受け容れて突き進んでいく姿に心を打たれた。
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罪の轍の刑事達が出てるとは知らず、とても驚きました。(知らずに読んだのも。お恥ずかしい話しですが…)
罪の轍でもそうですが、戦後の日本、特に北国の情景の描き方は、流石だと思います。
現代こそ、都会と地方の格差は無くなっていますが、戦後は、はっきりとした格差ができており、その影響にオリンピック特需があったことは間違いありません。
とても印象的な本になりました。
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上巻に引き続き一気読み。
最後の方のシーンは緊迫感に呑まれ、私自身も手に汗握って読んでしまった。
この時代に生きる人達も多くの苦労があり、不自由があり、悩みがあったのだろうとは勿論思うが、それでもなお「日本が必ず成長している」と感じられる時代を生きた人達を羨ましく感じた。
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国男の真っ直ぐさは心配になりつつもどこか応援したくなり、下巻で警察から追われる身になってからは手に汗を握る展開が多くさくさく読み進められた。フィクションなので、聖火台爆破、北朝鮮への逃亡もやり切って欲しかった気持ちもある。
村田との関係性もよかった。
最後はとてもあっけなくて少し物足りない。
すごくボリューム感のある上下巻!
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社会の闇を暴くタイプの小説が好きな私にはたまらなかった!
読んでいて、ああこれ撃たれるやつだなって感じつつも逃げ切れ国男と思う自分もどこかにいた。
いい意味でボリューミーでエネルギーを使うお話なので、まとまった時間がある時に読むことをおすすめします。
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群れを成さず身勝手な単独爆破予告をするテロリストに、警察庁と公安が立ち向かう話、として読んだ。
テロリストに同情したり感情移入する読み方もあるのだろうが、虚無というか何も感じさせなくて、オリンピックに向かっていく華やかさやお祭り気分との真逆さを感じた。
ラストに向かっての追う側の組織力と追われる側の知略の駆け引きが見所。村田さんのセリフや親心にはグッときた。
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当時はまだ生まれていなかったけれど、戦後急成長した日本でのオリンピックがどのような意味をもっていたのか。どれだけ期待されていたのか。そしてその陰で多くのプロレタリアートたちが命を削りながら働いていたこと。すごくリアルに想像できた。
題材もかなり面白かったし、時代背景の描写も素晴らしかった!
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真面目な東大生が罪を犯すまでの心情変化が良く絵ががれており、読み応えがあった。奥田英朗のサスペンスはいつも終わり方が物足りないが、人間の心理描写を描くのはとても上手い。ただ毎度ながらオチが弱い。
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最初は、タイトルにイマイチ食いつかなかったし
そんな古い話かーと思って、進まなかった。
でも、日付でどんどん話が繋がって行ったら
止まらなくなった。
最後は完全に島崎目線で読んでた。
だから、捕まって欲しくなかった。
あれだけ、逃げられてたんだから。
えー!捕まったんかーい!って。
北朝鮮にでも、逃げ切って人知れず生きてて欲しかった…村田さんにも…
その結末にがっくりしてしまって、ぶっちゃけエピローグなんて頭に入ってこなかった…
死んじゃったの?それもわからないし。
あの当日だけ、島崎目線の話がなかったし。
彼の語り部分も欲しかったなぁ。
警察組織とかお国重視とか、
実は今でもありそうな話。
奇しくも東京オリンピックは重なるし
国はこんな事態でも、絶対やりたそうだし。
一般市民の意向なんて伝わらないで、
いらんマスク配られたりしちゃうし。
一時期、秋田に住んでたこともあり
秋田弁が妙に懐かしかった。
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面白かった。
なんとなく国男の味方というか
何とかして欲しい、捕まらずに逃げ切って欲しいという思いで読んでいた。
今はあの時代と比べて格差はどうなったのか。
見えづらいだけで大きいのか…。
2011/11/8
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1964年、東京オリンピックが控える日本を舞台にした爆破テロ事件を起こす青年の話。当時実際に起きた草加次郎事件を参考に描かれた作品です。
東京大学院生の島崎国男が兄の死をきっかけにオリンピック工事の日雇い人夫となり、貧しい労働者層の過酷さを知る。華やかになる東京開発の一方で使い捨てされる労働者層に疑問を持ち、日本を相手取ってテロを企てるお話。
これから発展していく期待を持った日本人の感情、一方で地方での残る貧困やそれに対する労働者層の感情が詳細に描かれており、自分の親、祖母の世代の当時の感情などに興味を持つきっかけになりました。
聞き慣れない言葉が多く最初は慣れないですが、慣れると奥田英朗ワールドが広がって読みやすかったです。
ただ、テンポが悪いところがいくつかある点、終盤の島崎や村田視点での語りが少ない点は少し残念。みんなそこが読みたかったのでは?と思ってしまいましたが、自分で想像することにしますmm
戦後日本がもっと知りたくなり、同じ時代背景の他の本も読んでみたくなりました!
Posted by ブクログ
純粋な青年がテロリズムに突き進んでいく心境、状況を淡々と描く。
かなりドラマチックな話なのだが、ラストは「これで終わりかよお」と、かなり尻すぼみ。国男の思いの丈が何らかの形で世に出て欲しかった。
資本主義の歪みは昔も今も同じ。違うのは東京オリンピックへの日本人の熱狂だ。