奥田英朗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
素晴らしい作品でした。実話ベースですが、ミステリー作品としてのエンタメ要素もしっかりとあり、とても楽しめました。とにかく、現代から見れば、その当時の時代ならではの障害、障壁が如何に犯罪捜査を困難なものとしていたかがわかります。電話ひとつとってしてもそう、北海道と東京の行き来とってしてもそう。そんな中、奮闘する刑事達の感情やら組織論やらが非常にわかりやすく描かれています。また、舞台となる礼文、南千住山谷や上野、浅草等の、如何にもといった街々の状況や特性も情景伝わりやすく描かれており惹き込まれます。そして、宇野寛治の人生。ここまでの事件となってしまわないよう、どこかで防ぐポイントは無かっただろうか
-
Posted by ブクログ
奥田英朗『邪魔 下』。
夫・茂則への疑惑が高まる恭子。パート先の待遇改善の団体交渉にのめり込んでいく…
放火の容疑者を追う九野。確信しているものの、逮捕にまでは至らない…
一方で、花村の逆恨みから、窮地に陥る九野。
恭子がそこまで…
そこまでしなくても…
幸せな普通の家族が、夫のちょっとした出来心から、地獄に…
子供たちが不憫でならない。
夫に自首させるべきだったのでは。
恭子の豹変、そしてまだ行方知れずとは。
九野にとってはこれでよかったのか。
九野は妻と義母の事故死以来、精神的に不安定だったんだな。途中から義母⁇だったが…
結局、邪魔なやつを排除するって、ことだったのか、自分が -
Posted by ブクログ
奥田英朗『邪魔 上』。
ひさしぶりの奥田英朗。新装版で山積みされており、『奥田英朗、初期の傑作!!』に惹かれて、購入。
おやじ狩りでこづかい稼ぎをする高校生・祐輔。
事故で妻を亡くした刑事・九野。
スーパーでレジ打ちのパートをする平凡な主婦・恭子。
なんの関係もなさそうな3人。
九野が上司の命令で、同僚・花村を張り込んでいたところに祐輔たちがおやじ狩りに。当然ながら、返り討ちに合い…
恭子の夫・及川茂則の会社・ハイテックスで放火事件が発生。茂則は第一発見者として、火傷を負い、入院することに…
3人が繋がり始める…
ハイテックス内部での不祥事が見え隠れする。
不安に苛まれる恭子。
一 -
Posted by ブクログ
ネタバレ結婚出産育児…女性のライフステージにどう向き合うか、主人公を変えて描かれた短編小説集。ちょっと昔の小説だから、男ならどうの、女だから何のといった言い回しはあるけど、この時代も今も女性は同じことで悩んでいるものなんだなという発見があった。独身女性は安定が欲しいと嘆き、既婚女性は自由が欲しいと嘆く。お互いのお尻を追いかけ合っているけど、それぞれに幸せはあると改めて教わった。
中でも表題作「ガール」はよかった。人に迷惑をかけなければいつでもいつまでも「ガール」でいたっていいし、お光の仕事はキッチリ、ファッションなど好きなことはとことん楽しむ姿勢は見習わなければいけない。ファッションショーの欠員の穴