奥田英朗のレビュー一覧

  • サウスバウンド

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    なんて瑞々しいんだろう。本当に大人が書いたのかな?と思うほど、十二歳の少年の心がすぐそばに感じられる。奇しくも十二歳の子を持つ親としてとても興味深く一つ一つの文章が愛おしく思えました。子どもだって、いや、子どもだからこそ、ぐっと素直に自然の摂理や人の温かさを受け止めて理解することができるんだな。東京編から沖縄編へ一気にトンネルを抜けて世界が広がるそのスケールとスピードが心地よく最後のページを迎えることが寂しくもありました。

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    2021年11月02日
  • 我が家のヒミツ

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    衝撃的な展開が待っているでもない。
    心を鷲掴みにする演出が凝っているわけでもない。

    なのに、
    なぜこんなに心が震えるんだろう?

    オニムバス形式で、私は殆どの主人公と同じ立場になったことがないのに、
    今後同じ立場になった時のもしものことを、
    ものすごくリアリティを持って感じてしまった。

    こういう話を集めたとかこう感じて欲しいとかそういう作者の意図は全く感じず、
    素直に没頭できる物語でした。

    奥田さんの本は初めて読みましたが、
    他の本も読んでみたいと思いました!

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    2021年10月31日
  • マドンナ

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    中間管理職の中年サラリーマンが
    若い社員に恋をしたり、上司や同期や部下たちとの付き合いに
    苦慮したり、故郷に1人暮らしの年老いた父を思ったり
    と様々な葛藤を描いた5作品の短編集

    この作品は中年サラリーマンの描写と
    そこについて回る 妻だったり
    女子社員だったりと
    女性が絡んできますし
    重要なファクターともなってました

    先にガールを読んでいるので
    奥田英朗という小説家は人間描写が上手く
    異性である女性の描写も上手いというのが
    女性読者からも評判ってな感じになっていますが
    マドンナはガールの4年前に書かれた作品で
    この時点ですでに解説を書かれた
    エッセイストの酒井順子さんも認める
    女性描写の上

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    2021年10月11日
  • 真夜中のマーチ

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    ネタバレ

    ★4.0爽快感抜群のクライムノベル!奥田英朗さんは幅広くて尊敬する。ヨコケン、ミタゾウ、クロチェの3人が10億円争奪に悪戦苦闘する話。最後はクロチェが余計なことしたな。ヨコケンはヤクザの古谷とパーティで出会ったミタゾウから金を強請ろうとする、失敗し、古谷に部屋を借りさせられる、その部屋は賭博部屋で、そこに強盗に入り、クロチェと出会う、クロチェは賭博参加者の父白鳥から金を奪う計画に2人を誘う、白鳥から金を奪うはずが、中国人に奪われ、それは偽物で…ヨコケン達、白鳥、古谷、中国人の4者の10億円争奪戦が始まる。

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    2021年09月14日
  • 沈黙の町で

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    中学生の瑞々しい残酷さと愚かさ、そして教員たちのしょーもない校内政治には苦い気持ちにさせられた。それにしても、加害生徒の親…そりゃ我が子が可愛いだろうけど、ここまで攻撃的になるもんだろうか? そういうところも含めて、立場が変われば見える世界がこんなに違うんだということが鮮やかに描かれていて、パワーのある作品だと思いました。

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    2021年09月05日
  • マドンナ

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    勧善懲悪。白黒つける。って言うのとは違う大人の折り合いの付け方。気持ちの落とし所。スッキリしない様で、する。
    そんな、中年男子?の気持ちが明るく描かれている快作。
    40代中盤から50代のサラリーマンにはツボなはず。
    「パティオ」が特によかった。

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    2021年09月04日
  • マドンナ

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    おじさんたちが恋したり同期との関係に悩んだりする話。おじさんの考え方だからか、そこで納得しちゃうの?て理解できない場面もあったけど、そこもまた楽しめた。

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    2021年09月01日
  • 沈黙の町で

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    群像劇系、登場人物の視点を通じて謎が少しづつ解きほぐれていく小説。死んでしまった子の性格というか人格が、なんかいじめられても仕方ないと思わせさせられるような描かれ方で、とても不憫でやるせない。ひどくね?
    いじめるほうが100%悪いのに、そうではないと言いたいのかしら?そうではないこともあると言いたいのかしら?
    しかし一方では子供失くしてるのに、もう一方で生きてる子供の濡れ衣を晴らすことだけしか考えてない、死んだ子への哀悼の念もない大人の存在も、こういう人いそうなだけにこれまたやるせない。
    現実の耐えられない重さをこれでもかと突きつける小説。なんか読み切ってどっと疲れたよ…カタルシスみたいなもの

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    2021年08月28日
  • 邪魔(上) 新装版

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    面白いが、少し読むのに時間がかかってしまった。
    新装版の表紙のチューリップは、恭子の花壇作りをイメージしたと思われる。

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    2021年08月27日
  • 邪魔(下) 新装版

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    面白かったが、少し呆気ない終わり方かな。

    新装版の表紙に描かれているチューリップ、華やかな上巻に対し、下巻は枯れている…。

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    2021年08月27日
  • 真夜中のマーチ

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    千恵のクールキャラ、ミタゾウのなんか憎めないキャラ、ヨコケンの残念なナルシストキャラ、個性的ですごく好き!

    内容よりキャラの印象が強い
    途中からはセリフだけ読んでたけどおもろかった

    最後のミタゾウの手紙もミタゾウらしくて良い

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    2021年07月16日
  • 沈黙の町で

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    ネタバレ

    分厚いけど続きが気になるからさら〜っと読めた

    中学校のいじめの話
    1人の生徒が学校内で死体で発見されたことからストーリーがはじまり
    加害者の生徒達、その親、被害者の親、先生、警察、検事、記者の目線で進んでく

    最後の最後に真相がわかるけどすっきりとした終わりではなくどんよりとしたやるせない気持ちになった

    藤田はいい仲間達のおかげでどういう経由で名倉が亡くなったかバレることはないと思うけど、自分から証言して欲しいって思った

    いじめの首謀者だと思われてた坂井と市川は正義感が良くていい子達で、過去にいじめられてたから絶対いじめに関わってないって頑なに訴える親を持つ藤田は卑怯で死んだことに一番関

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    2021年06月28日
  • 噂の女

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    前半は
    あまり気の進まない
    ゆっくりとした
    読書となったが

    読み進めるにつれ

    どんどん引き込まれていき

    後半は
    一気に読み終える

    これも
    作者の
    計算なのか…

    短編を
    巧妙に編成された作品



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    2021年06月04日
  • ヴァラエティ

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    奥田英朗さんの作品は全て面白い。
    言い回しがとてもツボにはまり、その箇所を何度も繰り返し読んでしまうため読むペースがとても遅くなる程だ。
    どれも面白かったが、中でも「住み込み可」が薄気味悪さもあり一番印象に残ったかな。

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    2021年05月13日
  • 無理(下)

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    因果応報
    という言葉がぴったりだと思った

    やったことはやり返される
    見て見ぬふりをすると
    同じ問題が無視できない状況で
    突きつけられる

    無理という正しい正義を否定する言葉は
    もっと大きくなって
    自分では対処できない
    更に無理な状況になるのか、
    と思った

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    2021年05月08日
  • ララピポ

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    面白かったな。一人一人、ちょっとした闇を抱えているのだけど、そこらへんにいそうな人たちばかりが描かれている。そして、全て「性」によってつながっているのだけど、言い方が難しいが、「やらしいもの」ではなく人間の悲しさとか本能的な部分がコミカルに明るく描かれている。百合子のどんでん返しは想像もしなかったなぁ。

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    2021年05月06日
  • 沈黙の町で

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    この作品は、何度か手にとり、また今度にしよう…としていて、やっと読みました。なぜ躊躇っていたのかというと、“いじめ”のワードが辛そうだったから。
    なんといっても痛ましいのは、亡くなった少年であり、子を失った親である。
    しかし、加害者とされる子供たちの親の心情も、子を持つ身としては分かる。『親は誰しも自分の子供が一番可愛いのだ』
    この「沈黙の町で」という題名から、地方都市の体質とか、そういう問題が絡んでいくのかな?と思いきや…大人達は、多少の利害関係や対処について食い違いがあれど、しごく真っ当です。
    それよりも《中学生》という、とても半端な時期、子供と大人の間であり、異性を意識し始めたり、集団

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    2021年05月03日
  • ヴァラエティ

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    個人的には17歳の娘を持つ母親の葛藤がきめ細やかに描かれた「セブンティーン」
    奥田さん自身が短編の中で五指に入ると書かれている「夏のアルバム」がお気に入りです。

    自分も自転車の補助輪を外した頃の事を思いだし 昭和の懐かしさを感じると共に、少年・少女時代の純粋な気持ち想い起こさせてくれる様な作品でした。

    イッセー尾形さんとの対談はもう10年も前の物ですがその会話から奥田さんの人柄が滲み出ていて 最近の作品の中にも通じる温かみを感じなんだか心がほっこりしました。

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    2021年04月03日
  • 噂の女

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    悪女の話に見せかけて、実際は地方のしがらみに生きる人々の人間模様を描いている。何とも嫌な話ばかりでため息をつきながら、それでいて少しニヤつきながら読んでしまう自分が可笑しい。

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    2021年04月02日
  • 東京物語

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    各年代の久雄を切り取った話。
    とにかく東京を動き回る。
    久雄は僕より10歳くらい年上なのだが時代背景が分かる。
    みんなが大好きなマドンナ的な女性の先輩もいたし。
    残念なのは、もう一話欲しかった。親になった久雄も見たかった。

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    2021年03月28日