奥田英朗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本の組織そのものだと思う。
上から指示が順番に落ちてきて、実行するのは末端。
鉄砲玉とはヤクザでの話だろうが、弊社では一般兵と呼ばれる俺らは敵前逃亡は銃殺刑と呼んでいます。
良いか悪いかの私情を挟まず、ただ指示受けたことを実行するのはヤクザも会社員も同じこと。
それが日本の組織なのだと思う。
だから、考え直したところでどうしようもないという諦めが漂っている。
歌舞伎町のヤクザの末端、坂本純平は兄貴分の北島を慕ってこの世界に足を踏み入れた。
しかし、毎日が雑用の日々。
そんな純平にだったが、組長から直々に鉄砲玉に指名される。
それすなわち、10年近く刑務所での勤めをする -
Posted by ブクログ
著者は『空中ブランコ』などの伊良部シリーズを書かれており、この作品も面白い物語が展開されるのかと思い、手に取りました。
作品は短編集で、日々の暮らしの中のちょっとした瞬間に少しだけ心を揺るがす事があった人達の物語となっていました。作中の人物の心の動きや描かれている家庭環境が、現実のどこにでもありそうな場景であり、物語にすっと入り込みやすい内容となっていました。描かれ方も嫌な感じは覚えず、人物が抱く心境を理解できる表現でした。
作中でも『ここが青山』が特に気に入った作品でした。内容としては会社が倒産し、主夫となったサラリーマンの物語です。職を失った場合、不安を抱き次の仕事を探すため四苦八苦する