奥田英朗のレビュー一覧
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購入済み
ごく普通の家庭生活のスナップシ
この作家の作品は短編の方がくすっと笑えたり 身につまされたり、身近に感じられるので好きである。
この作品も、ごく普通のどこにでもありそうな 誰でも経験しそうな 家庭生活のスナップショットアルバム。中でも すっとぼけた 夫とUFO がいい。 -
Posted by ブクログ
短編6、ショートショート1、対談2、あとがきで構成された、
なんて言ったらよいのか、たぶん短編集かな。
タイトルの意味は、読めばわかります。
各出版社で何かと理由付けされて依頼された際に書いた短編が、
続かずに、本にならず放置されていたものを担当編集者が、
1つの本にまとめたという作品。
1つ1つの短編は面白いが、まとまりがないために、
本としてはどうなの?って思うところではあるが、
最後の短編および、あとがきまで余すことなく読むことで、
うるっときてしまいました。
当時読んでいないファンの目に留まることが無いであろう、
短編が読めて、しかも著者・奥田英朗の思いが書かれたあとがきに、
涙す -
Posted by ブクログ
小学生が主人公で、「奥田英朗にはこういう作品もあるんだ」と思った。この作品に限らないけれど、小説に出てくる小学校高学年というのは、考えているし、よく察するし、とても大人っぽい。自分の小学生の頃ってもっと子供っぽくて、何にも分からなくて、何にも考えてなかったなと思う。自分の発達が遅かったのか、記憶が捏造されているのか、大人向けの小説だから大人っぽく書かざるを得ないのか、作者も匙加減が分からなくなっているのか、よく分からない。
西表島はそんなにのどかなところなのかなぁと疑問。自分の地元は田舎だけど、たぶん中野とそう変わらなかった思う。
家族って良いねと思った。 -
Posted by ブクログ
元過激派で無政府主義者の父を持つ主人公の二郎。その二郎の視線から父が巻き起こすさまざまな騒動が描かれる。父は社会からのはみ出しものだが、主人公は社会に順応しており、常識的な目線で読者を導いている。
主人公の父親の行動は、社会不適応で、時には滑稽でありもするが、一方で社会で普通に生きる人間でも感じる矛盾等を炙り出す。
作中では、国家であったり、法、経済、のあるべき姿と脆さが普段とは違う視点から問題提起される。また、原始社会ではそれらが必要なく、その姿に近い理想郷として沖縄の果ての島が舞台として選ばれている。
主人公の父の姿は、作中の台詞にもある通り極端ではあるが、全く荒唐無稽ではなく、一面では -
Posted by ブクログ
ネタバレ及川恭子の市民運動に傾倒していく姿や、ラストに向かって狂っていく様が興味深い。平穏な日常から堕ちていく話なのにもかかわらず、上巻序盤から一定のリズムを保ちながら中弛みすることなく、逆に変な心地よさで最後まで一気に読ませるのは流石。終わり方は少し呆気ない感じはするが、それでもとても面白い作品だった。
もしも人生が続けられるのであれば、しあわせに背を向けるのはやめようと思った。
しあわせを怖がるのはよそうと思った。
人はしあわせになりたくて生きている。そんな当たり前のことに、九野はやっと気づいた。
どうゆうわけか、この1小節にグッと惹かれた。 -
Posted by ブクログ
中学生のいじめを扱った作品。
ただ、誰の目線というのでもなく、それぞれの視線で書かれている。
同級生の名倉が学校の木から落ちて亡くなっているのが見つかった。
自殺か事件か…当日、一緒にいた同級生4人が名倉をいじめていたという理由で逮捕・補導される。
2人は13歳で補導、2人は14歳で逮捕という大きな壁がここで示される。
いじめた側の親は本人たちを信じる一方で自分勝手な考えを展開させていく。
誰もが自分のことにしか頭が回らない。
人が亡くなっているという意識が誰からも感じられない危うさ。
真実を語らない4人と同級生も、何かを履き違えている。
真実を隠すのは幼さなのか?
言い様のない不快感が終始ま