奥田英朗のレビュー一覧
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小学生が主人公で、「奥田英朗にはこういう作品もあるんだ」と思った。この作品に限らないけれど、小説に出てくる小学校高学年というのは、考えているし、よく察するし、とても大人っぽい。自分の小学生の頃ってもっと子供っぽくて、何にも分からなくて、何にも考えてなかったなと思う。自分の発達が遅かったのか、記憶が捏造されているのか、大人向けの小説だから大人っぽく書かざるを得ないのか、作者も匙加減が分からなくなっているのか、よく分からない。
西表島はそんなにのどかなところなのかなぁと疑問。自分の地元は田舎だけど、たぶん中野とそう変わらなかった思う。
家族って良いねと思った。 -
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元過激派で無政府主義者の父を持つ主人公の二郎。その二郎の視線から父が巻き起こすさまざまな騒動が描かれる。父は社会からのはみ出しものだが、主人公は社会に順応しており、常識的な目線で読者を導いている。
主人公の父親の行動は、社会不適応で、時には滑稽でありもするが、一方で社会で普通に生きる人間でも感じる矛盾等を炙り出す。
作中では、国家であったり、法、経済、のあるべき姿と脆さが普段とは違う視点から問題提起される。また、原始社会ではそれらが必要なく、その姿に近い理想郷として沖縄の果ての島が舞台として選ばれている。
主人公の父の姿は、作中の台詞にもある通り極端ではあるが、全く荒唐無稽ではなく、一面では -
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ネタバレ及川恭子の市民運動に傾倒していく姿や、ラストに向かって狂っていく様が興味深い。平穏な日常から堕ちていく話なのにもかかわらず、上巻序盤から一定のリズムを保ちながら中弛みすることなく、逆に変な心地よさで最後まで一気に読ませるのは流石。終わり方は少し呆気ない感じはするが、それでもとても面白い作品だった。
もしも人生が続けられるのであれば、しあわせに背を向けるのはやめようと思った。
しあわせを怖がるのはよそうと思った。
人はしあわせになりたくて生きている。そんな当たり前のことに、九野はやっと気づいた。
どうゆうわけか、この1小節にグッと惹かれた。 -
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中学生のいじめを扱った作品。
ただ、誰の目線というのでもなく、それぞれの視線で書かれている。
同級生の名倉が学校の木から落ちて亡くなっているのが見つかった。
自殺か事件か…当日、一緒にいた同級生4人が名倉をいじめていたという理由で逮捕・補導される。
2人は13歳で補導、2人は14歳で逮捕という大きな壁がここで示される。
いじめた側の親は本人たちを信じる一方で自分勝手な考えを展開させていく。
誰もが自分のことにしか頭が回らない。
人が亡くなっているという意識が誰からも感じられない危うさ。
真実を語らない4人と同級生も、何かを履き違えている。
真実を隠すのは幼さなのか?
言い様のない不快感が終始ま -
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本書は奥田英朗のデビュー作。
奥田氏が好きなジョンレノンが日本で隠遁生活をしていた4年間を実名は無しで面白くて哀愁があり、さらに勇気を貰えた傑作だ。
久々の奥田作を読んだが、その作家を知りたければ、
デビュー作とエッセイを読むようにしている。
今回はその作戦が当たった。
奥田作品の魅力は直木賞の『空中ブランコ』とか
『オリンピックの身代金』で感じていたが、
本作は上手さもさることながら、
ジョンに対しての愛情が感じられた。
便秘の症状をここまで書ける作家は初めてだが、
20年後のあとがきで奥田氏が書いている。
便秘は自分のコピーライター時代の経験からだ。
なるほど納得。
その便秘になった -
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ネタバレ合併によって生まれた地方都市「ゆめの市」で繰り広げられる5人の男女の人間模様。
どこにでもありそうな地方の問題を浮き彫りにし、そこで生活する人々をリアルに描いた作品です。
生活保護の不正受給や詐欺まがいの仕事、政治家の癒着や若者の引きこもりやなど、現代が抱える問題を取り上げながら、5人の男女のそれぞれの目線で物語が進んでいきます。
毎日普通に生活しているようでも、いつの間にか巻き込まれている負のスパイラル。
そして一旦坂道を転がり始めた人生に歯止めをかける術もなく破滅の道へ進んでいく人たち。
現代の日本の縮図ともいえる「ゆめの市」で起こる出来事は、この先の日本の暗い未来の象徴なのかもしれ -
無料版購入済み
漫画版もあるのですね!
小説で読んでみたいリストに入っていましたが、今回漫画もあることを知ってお試し版をよんでみました。途中までしか読めていないので続きが気になります。新しい考え、古い考えいろいろあって当然なのだけど、30代って現実問題として一番悩みやすい時かもしれませんね。
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これはこれは、特異なものを、手にしてしまいました。
いや、おもしろかったです。
「あとがき、というより、言い訳です。」
とありましたが、よせあつめ短編集だったのねぇ。
こんな形式のは初めてみた。
奥田さんの人柄がよく出ていた作品で、
とてもよかった。
「あとがき」と、対談。
イッセー尾形さんも山田太一さんもよく知らないので、よく分からないことも多く、読み飛ばしちゃったところもあるけど、奥田さんて、こういう人なんだぁ、こういう考えでこういう書き方をしてたんだぁ、と親近感が湧いて。
ファンとして感想ハガキとか送ってみようかなぁなんて思ったり。
作品としては、
「おれは社長だ!」「毎度おおきに」