奥田英朗のレビュー一覧
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『オリンピックの身代金 下』。
要求額は8,000万円。
東大生・島崎国男はオリンピックを人質に、身代金を要求する。
東京だけが繁栄し、取り残されつつある故郷・秋田の田舎の農村のために…
一方、警察は死力を尽くして、国男の行方を追う…
国男は…
警察は国男を捕まえることができるのか…
ほんとになぜ⁇
東大生の国男なら、もっとやり方があったんじゃないかと、何度も思った…
こんなことをしなくても…
最後にはうまくいってほしいと…
どこかで生き続ける国男と村田を思い描いていた…
何もなかったかのように…
国男は生きているのか…
生きていてほしい。
ここから日本は高度経済成長に入り、物心がついた時にはテレビも車も普通にある時代だった…
カラーテレビではなかったかも…
あれから60年。
日本は豊かになったのか…
国男が生きていれば、今の日本をみて、何を思うのか…
国男の時代のようにな田舎の農村はなくなっただろうが。
能登半島地震、豪雨からの復興が遅々として進まない能登の市町村をみて、何を思うだろう。
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Posted by ブクログ
奥田英朗『オリンピックの身代金 上』
東京オリンピック開催前の昭和39年8月。
秋田から出稼ぎに来ていた兄の死。
そんな兄の死により、日雇い労働者の過酷な労働環境を知った、東大生・島崎国男。
故郷・秋田、社会の底辺ともいうべき日雇い労働者たちと、オリンピック開催に沸く東京。その対象的な違いに、違和感を抱き始める国男…
すべての悪は東京だと…
そこまでしなくても…
東大生であるのに。
そのままで自分の未来は明るかったはずなのに。
なぜ⁇
なぜ⁇としか思えない。
もっと他にやり方があったのではないか、東大生なんだから。
やるせない。
国男はどんどん堕ちていくのか…
昭和39年、ちょうど60年前。
まだ生まれていないが…
こんなにも格差は大きかったのか。
物心がついたころにはこんなに格差があるとは思えなかったが。
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Posted by ブクログ
「リバー」が面白かったので、同じ著者の短編を読んでみた。幽霊とか予知能力といったファンタジー要素もある5編。
「ファイトクラブ」が印象に残った。会社で肩たたきにあい、それでも退職に応じない中高年男性たちが、異動先での屈辱的な待遇に耐えながら、社内でボクシングを始めたことで、次第にいきいきした感情を取り戻していく。他人が見たらカッコ悪い生き方かも知れないが、個々に様々な事情や人生観があるのだ。でも格闘技っていいな。ラストも良かった。
表題作「コロナと潜水服」も良かった。コロナが流行し始めたあの頃の不安な空気を思い出した。自身の感染を確信した男性が、妊娠中の妻と幼いわが子には移すまいと家の中でも外でも潜水服を着たままで過ごす。周りに奇異の目で見られても開き直り、テレビの取材クルーにもキレ散らかす彼の様子には思わず笑ってしまい、伊良部先生シリーズを思い出した。
ユーモラスな描写も多く、気楽にあっという間に読めてしまうが、5篇とも家族愛とか人生観とかしみじみ考えさせられ、深い味わいがあった。 -
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日本の組織そのものだと思う。
上から指示が順番に落ちてきて、実行するのは末端。
鉄砲玉とはヤクザでの話だろうが、弊社では一般兵と呼ばれる俺らは敵前逃亡は銃殺刑と呼んでいます。
良いか悪いかの私情を挟まず、ただ指示受けたことを実行するのはヤクザも会社員も同じこと。
それが日本の組織なのだと思う。
だから、考え直したところでどうしようもないという諦めが漂っている。
歌舞伎町のヤクザの末端、坂本純平は兄貴分の北島を慕ってこの世界に足を踏み入れた。
しかし、毎日が雑用の日々。
そんな純平にだったが、組長から直々に鉄砲玉に指名される。
それすなわち、10年近く刑務所での勤めをすることを意味する。
手渡された30万円で模造銃を手に入れ、余った金を残り3日で使い切ることになる。
その鉄砲玉役を受けた裏には、組長が直参の中で地位を上げることや、純平が鉄砲玉を引き受けることと北島が独立しするといった裏事情を耳にする。
不安を抱えながらも、この三日間、最後の時間を満喫する純平だった。
組織に属している限り、自分でコントロールできる仕事などない。 -
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著者は『空中ブランコ』などの伊良部シリーズを書かれており、この作品も面白い物語が展開されるのかと思い、手に取りました。
作品は短編集で、日々の暮らしの中のちょっとした瞬間に少しだけ心を揺るがす事があった人達の物語となっていました。作中の人物の心の動きや描かれている家庭環境が、現実のどこにでもありそうな場景であり、物語にすっと入り込みやすい内容となっていました。描かれ方も嫌な感じは覚えず、人物が抱く心境を理解できる表現でした。
作中でも『ここが青山』が特に気に入った作品でした。内容としては会社が倒産し、主夫となったサラリーマンの物語です。職を失った場合、不安を抱き次の仕事を探すため四苦八苦するものだと考えていました。しかし主人公は家事を自分の仕事として受け入れており、子供にとある野菜を食べさせるための弁当作りのアイデアを考えており『今自分がおかれている状況』で『自分がやりたい事・するべき事』を見出すまで適応していました。
職を失うことで周囲は同情や哀れみを抱いて接していましたが、主人公はマイナスに考えている様子も見られません。これは主人公が悲観的に捉えず、自分が何をするべきかと客観的に捉える視点が持てていたからなのかな…と推測しました。
自分はマイナスな物事が生じた際、どうしてこの状況になってしまったのか…と悲観的な思考に偏る事があります。作中の主人公のように、今置かれている状況を歪めずに捉え、何をすべきか・この状況の中で自分の居場所はここにあると思えるよう、心の広さを持てたら人生も生きやすくなるのかな…と思いました。