奥田英朗のレビュー一覧
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ネタバレ奥田英郎作品の分厚い本ということで購入
これまでは読んできた警察物では、社会派ミステリーやなんらかのメッセージ性の強いものが多かったけど、これは初めから終わりまで一貫して昭和の警察ものだった。
今のように通信機器もないので、犯人側も警察側もシンプルな手法で進んでいたのでそれもあって読みやすさはあった。 逆にいうと科学捜査やサイバー捜査が好きな人には少し物足りないかもしれない。
捜査一課の刑事、町の肝っ玉娘、のんきな盗人の3人の目線で進んでいくけど、どれもそれぞれの感性が違うように表現されていてすごいなと思った。
特に盗人の寛治は他の二人が真剣に事件に向き合っているのに、寛治だけひたすら楽観的というか自分の人生すら軽視していて、東北弁もあって最後まで本当に犯人か?いや違うと見せかけてやっぱり犯人かも?と考えていた。 -
Posted by ブクログ
『家日和』を読みました。
最近『普天を我が手に』を読んで奥田英朗さんの作品が面白いなと思い、その流れで手に取った一冊です。読んでみて、やっぱり奥田英朗さんの本は好きだなと改めて感じました。
この本は短編集になっていて、寝る前に一編ずつ読むのがちょうど良かったです。続きが気になって止まらなくなるというよりも、一つの物語を味わってから眠ることができるので、とても心地よい読書時間になりました。
どの話も「家日和」というタイトルの通り、家や家庭を舞台にした物語です。読んでいて、「こういうことってあるよな」と共感する場面もあれば、自分とは全く違う境遇や価値観を持つ人の生活を覗き見しているような感覚になることもありました。
奥田英朗さんの作品は着眼点が本当に面白いと思います。何気ない日常の中に物語の種を見つけるのが上手で、タイトルも含めてよく考えられているのだろうなと感じました。
特に印象に残ったのは、夫婦のあり方について描かれている部分です。夫に振り回されながらも日々を送る妻の話や、仕事を失ったことをきっかけに主夫となる夫の話、こだわりのライフスタイルを持つ家庭の話など、それぞれの夫婦にそれぞれの形がありました。
読んでいるうちに、「本当にいろいろな人がいるんだな」と改めて感じました。当然のことではありますが、忙しい毎日を送っていると、いつの間にか自分の暮らし方や考え方が当たり前のように思えてしまうことがあります。でも、この本を読むと、自分とは違う価値観や生活の形に触れることができ、「それもいいな」と自然に思えるのです。
全体を通して大きな事件が起きるわけではありませんが、それぞれの人生や家庭の様子を通して、人の数だけ暮らし方があることを感じられる作品でした。読み終えた後はどの話もどこか清々しく、温かい気持ちになれました。 -
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ネタバレ昭和サーガ完結!けっこう大きく広げた風呂敷を無事たためるのか。杞憂でした。さすが奥田英朗さま、と思いました。4人のそれぞれの人生を破綻なく描き、昭和天皇の葬儀で終わる。作者はいつか昭和の時代を描きたいとだいぶ前から少しずつ資料を集め、読み込み、構想をだんだんに積み上げていた、という話をどこかの記事で読みましたが、小説の楽しみを満喫した作品でした♪
侠客ヤノタツの息子矢野四郎と中将の息子にして華族の母を持つ竹田志郎は最後までライバルで、大陸生まれのエンターテイナー五十嵐満と何をやっても「女性初」がついてまわる森村ノラも最後には政治家となる。「力がなければ正しいこともできない」と自民党に入る流れが、当時はそうだったな、と思い出した。
他の本を差し置いて、一気に読んでしまった。楽しくてワクワクして、終わりたくない本だった。教科書で終戦くらいまでしかやらなかった世代の人には特におすすめします。昭和は長く、生活や価値観がものすごく変化した時代なので、大変で、でも面白い時代だったと再確認した。 -
Posted by ブクログ
昭和の時代が始まり、日本という国が戦争に向かっていく中で、立場の異なる主人公たちが何を感じどう生きたか。
浮き立つ陸軍の中で現実派の竹田耕三、石川のヤクザの親分やのたつ、女性の立場向上のために編集者として働く森村タキ、そして満州で一旗あげようと渡った五十嵐譲二。
日本が、日本国民が戦争に向かって興奮状態になっていく中で、それぞれ戦争を望んでいないが、争うには力不足。こうやって始まっていくのかと背中が寒くなる。
「日本国民」とひとくくりにできるほど単純ではなく、それぞれに考えていたこともあったのだろうが時代のうねりの中翻弄されていったのだろう。
戦前という一つの時代が終わり、ついに真珠湾攻撃で日米戦争が始まったところで一部は終わる。
二部はいよいよ戦時。続きは読みたいが憂鬱だ。