奥田英朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1964年のオリンピックは聖火リレーの見物客として、父の肩車で眺めている写真の記憶
開会式や競技の鮮やかな光景が本当に見たのか、記憶が上塗りされたのかもはっきりしない
その鮮やかさや晴れがましさの裏にさまざまな人間の事情、思惑、犠牲があったんだろうと思わせる作品だった。
その時代、時代の自分の立ち位置からしか、思いを馳せることができないけど、本当は人間の数だけ、嬉しいこと、楽しいこと、辛いこと、悲しいことがあると改めて思った。つい忘れて瑣末な身辺に囚われる自分が情けない。
以下は後日の追加です。
先日、クイズ番組の中で昔の「お宝映像」なるものがあった。 東京タワー建設時の鳶の人たちがま -
Posted by ブクログ
面白かった!
昭和の東京オリンピックに湧く、高度経済成長の頃の日本。先日読んだ『罪の轍』と同じ頃の話でした。
オリンピックを成功させるために、安い賃金で奴隷のように働かされていた人夫。ほとんどが田舎から出稼ぎに来ている人たち。東京は著しく発展していくのに、田舎はその恩恵を受けることなくとても貧しい生活のまま。それに疑念を抱いた主人公が犯行を企てる。
真面目さや家族への優しさが、方向を間違えるとこんな事になってしまうのかと切なくなったけれど、主人公の思いには共感できるところも。
警察の捜査も興味深く、電話さえ稀な時代にどんどん犯人を追い込んでいく捜査は読んでいて息を呑みました。
大きなこ -
Posted by ブクログ
面白かった!やはり奥田英朗はいい。
この家族シリーズは基本的に良い人ばかり出てくるので、心が疲れない。疲れないどころか暖かくなって癒される。
「手紙に乗せて」は突然死で母を失った主人公が憔悴しきっている父に戸惑う場面から始まる。主人公の周りには、父に同情し気にかけてくれるおじさんたちと、自分の世界で忙しく他人の不幸はすぐに忘れてしまう若者達の2種類がいる。この本のいいところは、そういう若者達を決して悪者にはしないところだ。年を重ねるとは、いろんな悲しみを知ることであり、悲しみを知っているおじさん達は他人の悲しみにも敏感だが、まだ経験が少ない若者達は自分のことでいっぱいいっぱいになる。それはしょ -
Posted by ブクログ
大好きな奥田さん。
読んだ気がするものの
結末を思い出せず、
とにかく最後まで読んだ。
珍しく、なかなか展開が起こらずに
日常が描かれていっていた。
中盤過ぎて、加速し始めると、
一気に乗っていくね。
特に、ことが起こったときの
スリリングな描写の仕方が、さすがですわ。
圧倒的な筆致って感じ。
ラストの玉突き事故のシーンも、圧巻。
まさかここで集結するとは。
「無理」ねえ。
無理やりなんとかかんとかやり過ごしてきて、
でも最後には無理がたたって、
ってところでしょうか。
引き返せるポイントなんかは
誰にもあったんだろうけどね。
無理に巻き込まれてしまったりね。
こういう出来事も