奥田英朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
主人公の大手デパートに勤務する直美(ナオミ)は、希望する部署とは異なる外商部に配属され、富裕層の客と日々接してしている。
もう一人の主人公の加奈子(カナコ)は、エリート銀行員の達郎と結婚して専業主婦になった。
30歳ちょっと前の直美と加奈子は大学時代からの親友で、今でも何事も許し合える仲だ。
ある日、直美が加奈子宅を訪れると、出てきた加奈子の顔は青い痣を浮かべて腫れ上がり、理由を聞いても自ら転んでしまったと言い訳をする。
直美は納得できず、達郎から酷いDVを受けているのではと強く問いただすと、加奈子は渋々と認めた。
その後も加奈子と逢う度に、只事ではないほどの暴力を振るわれていると思われる傷跡を加奈子は受けていた。
直美は非情な達郎との離婚を勧めるのだが、常軌を逸している夫は離婚をしても必ず追ってきて私を殺すと、加奈子は心底恐れていた。
暴力の程度は半端ではなく、このままでは達郎に殺されると直美は主張するのだが、加奈子は俯いて口をつぐむばかりだった。
怒り心頭の直美が発した一言は「いっそ二人で殺そうか、あんたの旦那」。
すると加奈子も意外やすんなりと同意した。
そこから直美は加奈子のために、真剣にこの世から達郎排除の完全犯罪を計画することになる。 -
Posted by ブクログ
奥田英朗が描く〈平成の家族〉シリーズは、読む人の心を静かに温めてくれます。
なかでも、僕が最も愛している『我が家の問題』に収録された「夫とUFO」に匹敵する名作が、なんと六篇も詰め込まれているのです。
本作の凄みは、篇ごとに視点もテーマも大胆に変わる点にあるのですが、
義母との関係に悩む妻の視点、出世レースからこぼれ落ちた父の視点、生みの父と育ての父の間で揺れる娘の視点、妻に先立たれた父を案じる息子の視点──。
これほど多様な立場を描きながらも、「家族」という軸と、「誰も敵にしない」という姿勢は一貫して揺るがない!
だからこそ、どの篇を読んでも不思議と共感してしまう。展開の巧みさと文章力、その両方が圧巻です。
この小説では、主人公とその家族が必ず描かれますが、家族を取り巻く“第三者”の描写もまた秀逸です。
とくに「手紙に乗せて」では、母を亡くした三人家族が描かれる一方で、長男の会社が物語の重要な舞台となります。
身内を失う辛さをまだ実感できていない先輩社員と、その痛みを知っている部長。その温度差が、驚くほどリアルです。
読んでいると、先輩の態度に思わず苛立ちを覚える場面もありますが、同時に、「自分も、誰かの悲しみに鈍感になってはいないか」と問い返されます。
この先輩が決して悪者として描かれない点も、本作の大きな魅力。
「おじさんと若者とでは、目に映る景色が違うということだ。
若者には若者の世界があるし、人生経験が乏しいというのも、それはそれで貴重な時期だ。
今から老成することもない」
部長のこの言葉は、深く胸に刺さります。
平成を描き切った奥田英朗が、令和を迎えたいま、どんな家族を描くのか。
そんな期待を抱かずにはいられません。
もっとも、その答えの一端は、最終篇「妻と選挙」にすでに示されているようにも思えます。 -
Posted by ブクログ
怒涛の展開と結末へのラストスパート。
じりじりと被疑者を追い詰めていく刑事たちの執念、真実を伝えることに賭ける記者たちの信念、みなまでは言いませんがサイドストーリーに漂う緊迫感。
どの物語をとっても読者を引き込む魅力が備わっている、奥田英朗の描く刑事たちの執念、真実を報道するという記者たちの信念、みなまでは言いませんがサイドストーリーの緊迫感。どの物語をとっても読者を引き込む魅力が備わっている、奥田英朗作品のリーダビリティに脱帽。
読みごたえの肝は、事件の顛末を事細かに描写しているところだと思う。事件関係者同士の心が通う瞬間、一つ一つ物的証拠を積み上げていくことの高揚感、反対に停滞しているときの焦燥感。そういった心情表現のディテールがすごい。何食わぬやり取りにちりばめられているのです。そういった場面の積み重ねにより、物語の現場に引き込まれる臨場感を生み出している。ページ数の多さなど気にせず読む手が止まりませんな。
エンタメ小説は意気込んで何かを学ぶ読書ではなく、読書を通じて気持ちをリフレッシュとか心を揺さぶることが主目的である、と思う。本作品は心をぶるぶるっと揺り動かされましたよ。すっきり。 -
ネタバレ 購入済み
相変わらずの
愉しさ
ついつい読んでしまいます
注射の詳しい描写のくだりは減りましたが
さもありなことを言っているのがニクイ
棒倒しって‥