奥田英朗のレビュー一覧
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吉川英治文学賞
さすが吉川英治文学賞受賞作。奥田英朗作品は伊良部シリーズなど軽いものしか読んでいなかったが、こちらの方が好みだった。
2度目の東京オリンピックとは違い、1964年の東京オリンピックは、敗戦から復興した日本を全世界に見せるということが全国民の悲願となっていた。誰もが東京オリンピックのために、努力して、どんなことをも納得してしまうという、今では考えられない時代だった。外国人に恥ずかしいところを見られたくないと、東京中で工事が繰り広げられ、新幹線、モノレールなどオリンピックに合わせて開業した。その犠牲になったのが、工事に従事する東北出身の貧農たちだった。そこには人権などなく、それが -
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精神科医の伊良部さん。3冊目
「大日本新聞」の代表取締役会長
「東京グレート・パワーズ」(野球の)オーナー
お偉いさんの田辺光雄
お金持ちボンボン息子の伊良部の光雄に対するズケズケ失礼な対応が妙に人懐っこく面白い。貧しい時代を苦労して駆け登り今の地位を築き上げた光雄のリタイアしたくない思い。伊良部の奇怪な行動のお陰で現実を見つめ直し新たな人生のスタートへ
アンポンマンこと起業家、根っからの勝ちたがりで負けず嫌い、無駄なことが嫌い安保貴明
平仮名が思い出せなくなり伊良部さんのもとへ。
幼稚園児とのカルタ遊びで大人気ない容赦無しの伊良部に呆れるもののいつの間にか一緒に競争しながら楽しむことに気 -
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不思議な存在、あるいは能力者に助けられる5つの短編集。表題作は、パンデミックが始まった頃のある家族に焦点を当て、当時の混乱と焦燥感がユーモラスに描かれています。コロナ禍のことは、まだ記憶に生々しくて、笑っちゃうけど不謹慎と言われそうで大声で笑えない、だけどやはりくすりと笑えてしまう…そんな絶妙な匙加減が秀逸でした。
幽霊とか、予知能力とか、占いとか、日頃から好きな人はもちろん楽しめるし、そうでない人も違和感なくリアリティを損なうことなく楽しめるファンタジーです。怖いという感じはなくて、なんとなく微笑ましかったり暖かかったりな物語ばかりでした。世の中がこんな優しい世界だったらいいなぁ…。最後の『