あらすじ
跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り。刃物はおろか机の角まで怖い尖端恐怖症のやくざ。ダンディーで権力街道まっしぐら、の義父のカツラを剥がしたくてたまらない医者。伊良部総合病院地下の神経科には、今日もおかしな患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者を癒す名医なのか!? 直木賞受賞。『イン・ザ・プール』につづく絶好調のシリーズ第2弾!
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Posted by ブクログ
先端恐怖症のヤクザが、注射する時が毎回命懸けのような騒ぎになったり、大の大人3人で、人のカツラを取ったり戻そうとしたり大騒ぎするところとか、声に出して笑ってしまった。
そして、相変わらず先生がヤブなのか名医なのか分からないのがいい。
Posted by ブクログ
全5編の短編集。
今回も、幼児のような無邪気さ?全開の精神科医伊良部一郎のキャラが立ちまくってて痛快だった!
表題作の跳べなくなった空中ブランコ乗りの話も良かったけど、『女流作家』が一番感動した、いいものを作れば売れる…訳では無いクリエイターの世界。
渾身の傑作ができたても売れなければ、何の評価もされず消えて行く。人気や広告など作品の質とは別のものが売り上げに左右される理不尽。
女流作家は、嘔吐症を発症して伊良部の診察を受ける。
そして、なんたかだて、それでも自分の作品に感動してくれる読者がいることに思いが至り…再起する、
いつもの痛快さと元気が出る話です。
Posted by ブクログ
今作も良かった。これ、多分どれから読んでも入り込める短編シリーズだね。自分が見えていない患者たちに、精神年齢は5歳の伊良部が常識にとらわれない治療を施していく。実際にサーカスに出ちゃったり、ヤクザをちっとも恐れない。何も考えないからこその強さなのか??最後の女流作家では作者の言いたいことがほんのり書かれてたと思う。伊良部のおかげで、明日も頑張れそうな気がする。
Posted by ブクログ
伊良部先生も看護師のまゆみさんも変わっているけどすごく好き。
自分の悩みを笑い飛ばしてくれるような事に救われる事ってあったりする。
最終的にみんな前を向いていてどの話も素敵だった。
今回も
伊良部医師の破茶滅茶劇が爽快
お約束の注射の描写もあり
に、しても最後の女流小説家は
本作に似合わない
反則、ほろっとして
ポロっとなります
Posted by ブクログ
5つの短編から構成される一冊となっておりますが、ゆる~く読めるお話で、本当にしょうもなさすぎて心が軽くなります。
登場人物の疾患症状もそれぞれユーモアに溢れていて、当事者は切実なんですが、診療する側はあっけらかんとしています。迷医と思いきや、もしかして名医?というギリギリ感がたまりません。
本著はシリーズ2作目ですが、時間を置いてから3作目も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
伊良部シリーズ第2弾。直木賞受賞作品。
今回も伊良部医師のハチャメチャな治療法が炸裂。
ただ、たまに的を得た言葉を口にするのが印象的で、伊良部の本質は実は堅実なのではと感じる部分もあった。
サーカスの空中ブランコが飛べなくなってしまった団員、投球ができなくなってしまった野球選手、作品が書けなくなってしまった小説家。
今まで普通にできていた事ができなくなってしまった人たちの苦悩が伊良部の荒療治ともいえる治療で和らいでいく姿が良かった。
「義父のヅラ」は楽し過ぎて爆笑でした。
Posted by ブクログ
奥田さんハマりそう!
伊良部はHUNTER×HUNTERのキルアのお兄ちゃん(おデブちゃん)のイメージで読んでいます。
以下はお気に入りの文引用です。
「やくざの看板は、怖がらない相手には、まったくの無力なのだ。」
「溺れている人間は、自分を救えない。」
「体裁を取り繕うって人生を生きにくくしない?」
「いいものを作れば売れるなんてうそだって、とっくにわかってるつもりだけど、現実に直面するとつらいよね」
「なによ、もっと話そうよ。この愛想なし」
続編希望
昔文庫で読みましたが、また読みたくなって電子版を購入しました。精神的な悩みを抱えた患者たちをはちゃめちゃな伊良部先生がいつのまにか癒していく。読んでいると自分の悩みも解決できるのかもしれないと思えてきます。伊良部シリーズはもっと続編が出てほしいです。
Posted by ブクログ
あぁ、伊良部先生かマユミさんになりたいな〜(*´Д`)と思いながら、ぼへ〜と読んでいたら、最後の「女流作家」で二人ともイイ事を言っていて「何かいろいろゴメン(;_;)」と思った(^^;)
Posted by ブクログ
面白かったです
この先生、名医なのか迷医なのか、終わりにはみんな元気になってる。先生は本能のままに生きてるだけのような気もするけど。
でも楽しく読めました
Posted by ブクログ
遅まきながら前作のイン・ザ・プールから続けて読んで…ようやく私の中で伊良部先生のキャラクターが消化できるようになりました。
本作の伊良部先生は、可愛い。
先生の突き抜けた感が深まりました。
登場する患者さんは、それぞれ一所懸命に努力してきた人たちだからこその不安や焦燥を抱えていて、そこに何の不安もなく純粋な心を持ち続けられた伊良部先生が共感することなく心の鏡として対峙する。
面白い設定でした。
Posted by ブクログ
精神年齢5歳の精神科医、伊良部が自由気ままに患者と接しているうちに患者の悩みは解決している。そんな話が5篇綴ってある。
自分が患者側だとして、こんな医者がいたらさぞムカつくことだろうと思いつつも、なぜかこういう医者もいいかなと思わなくも無い。特に『女流作家』が印象的であった。いい作品を書いても必ずしも売れるわけじゃ無い。ただ、絶対に届く。求めてくれる人はいる。そんなことを教えてくれる話であった。
5篇通して、心温まるストーリーで、なにか辛いことがあっても”なんとかなる”、そんな気にさせてくれる本だった。
Posted by ブクログ
シリーズ第二段。
今回も軽ーく楽しく読ませてもらいました。
しかし精神の病気って本当に色々ありますが
自分にもいくつか思い当たる病気もあります。
真面目な場面なので叫びたくなるとか、
外出時鍵のかけ忘れが気になって帰ったり、
私も予備軍なんでしょうか。
個人的には野球選手のイップスと女流作家の話が良かったです。
伊良部先生、今回もはちゃめちゃな行動ですが患者さんには改善のきっかけになる場面もあり、もしかして天才?と思ったりもします。
最後の看護婦のマユミちゃんの行動も意外と思いつつそこも良かったです。
Posted by ブクログ
伊良部先生が個性が強すぎて、それでいて全てを超越している様にも見える。はちゃめちゃな内容ではあるが、リラックスするにはとても面白い読み物である。拡張性があるので、第二第三と連載もできそうだ。
Posted by ブクログ
自分も強迫症チックなところがあるので他人事ではないなぁと思いながら読んだ。伊良部のように人の目気にせずやりたいことだけやるのが健康な心を保つ秘訣だな
Posted by ブクログ
前作ほどの衝撃波はない。
というのも、伊良部がどんな奴か知っていて読んでいるから。安心して伊良部の変態ぶりを楽しめる。
いや、楽しい。
この作品は、伊良部の鬱陶しく、やりたい放題な感じを楽しむべきだと思う。
Posted by ブクログ
相変わらずの伊良部の破茶滅茶な行動に笑わせて貰いました。
社会の中で生きていく上では、ストレスを感じるような出来事は多々あるものです。
この小説に出てくる登場人物達は、他人からの視線、評価を特に意識しているような感じがしますが、そんな時には伊良部とまでは行かずとも、自分だけの時間、価値観を大切にする事が大事なのではないかと思いました。
Posted by ブクログ
精神科の伊良部の治療法は強引で自分勝手だが患者の心の奥の核を刺激し、振り回されてるうちに心のモヤモヤを解消していく。犯罪スレスレの行為や奇想天外な行動が面白かった
Posted by ブクログ
何か特別に刺さる内容があるわけではない。けど癖になる唯一無二の本。患者たちが伊良部の元へ通ってしまうのと同じようになぜか読みたくなる。最後のマユミちゃんは最高の処方薬。
Posted by ブクログ
「義父のヅラ」が特に好き。
学生の頃の伊良部もぶっ飛んでて面白い。
ぶっ飛んでるけど、中年になっても医学部の頃の人たちと学生のときと変わらずに関わっているのがとても素敵。
どの短編も快方に向かうところが好き。
人の関わりって良いなぁ、人間のそれぞれの個性が愛おしいと思える作品。
Posted by 読むコレ
奇行を繰り返す謎の医者「伊良部」シリーズの2作目。
表題作とラストが個人的にはツボでしたね。最後の話しに
登場する編集者の言葉と思いは以前は常に仕事をしながら
思っていた事だった...。だったってのが悲しくツラいとこだね。
今では限りなくインチキ臭いなーと思うものの片棒担いだりする事にも
さほど抵抗なくなってきたもんなー。
今作自体は伊良部氏の奇行は更に幼児化し、読みながら
ニヤけるページが多くなっているような(笑)。展開はパターン化して
きてますが、まだこのキャラに飽きずに読めますねー。
このキャラは書いたもの、産んだもの勝ちッスね。
実写化するなら...ドランクドラゴンの塚地氏??
ん? 実写化されてんのかしら?
Posted by ブクログ
【フレーズメモ帳】
「そういうのを一年間続ける。そうすると周囲もあきらめる。性格っていうのは既得権益だからね。あいつならしょうがないかって思わせれば勝ちなわけ。」
「この診察室は観覧車だ。乗ったら一周する間、そのペースに合わせるしかない。」
Posted by ブクログ
直木賞受賞。
なるほど、直木賞に相応しいエンターテイメント作品。
なのか?
ここまでエンターテイメントに振り切れてる本を久しぶりに読んだ気がする。
悩みが身体症状にまで現れているような追い詰められた患者相手に、変態精神科医・伊良部一郎がはちゃめちゃな対応をし、結果的に患者が快方に向かう、ストーリーはそれだけである。毎回、それである。
それだけなのに、面白いし、なぜだか読者である自分も治療されているような気がする、そんな読後感。
いかに僕たちが、いろんなものに縛られて、自分を縛って生きているか、ということなのかな。
Posted by ブクログ
短編集かと思ったら、変わった精神科医とその患者たちの話をいくつか収められた本だった。最初は変人(奇人)の精神科医に嫌悪感を抱く患者も診察を重ねるうちに信頼をしていったように、読んでいくうちにちょっとクセになる作品だった。
Posted by ブクログ
イン・ザ・プールの続編として手に取りました。
患者の悩み事をチャランポランな精神科医が見事?に解決する短編集ですが、失笑の中にほっこりするところがあります。
Posted by ブクログ
2004年上期の直木賞受賞作品。
一つ前に読んだ「我が家の問題」の読後感が微妙だったので、もう少し楽しく読めそうなものを、と思って読んでみた。
伊良部総合病院神経科の医師(兼 院長の御曹司)、伊良部一郎の破天荒な人格は、利害関係者でさえなければ、一緒にいて爽快かもしれない。医者としては絶対に関わりたくないが。
藪医者に見えて、本作に登場する患者5人の悩みは一応解決しているようなので、結果主義でいえば、名医なのだろう。
連作五篇の中では、「義父のヅラ」が一番ウケた。義父兼学部長のヅラをパカっと外したい、というどうしようようもない欲望に取り憑かれた娘婿が実際にそれを実行するハメに陥る。義父が中庭で居眠りしている間に衆目の中で実行され、義父本人だけがその事実を知らずかつ誰も御注進出来ないというお話。笑える設定だけど薄毛のヒトはきっと笑えないのだろうな。。