奥田英朗のレビュー一覧
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ネタバレ思えばミステリーをあまり読まない私は、
犯行を暴く側の話は読んだことがあるものの、犯行を企てて追われる側の話って読んだこと少ないかも。
奥田英朗さんという一点で読み始めた時はデパート外商部のお話かと思ってたけど、まもなくジェットコースターに乗せられて一気に終着点まで来てしまった感じ。この感覚、いい。
直美は自分の家族のこと、やり直したかったんだろうな、でもそれが子ども故に出来なかったから加奈子と共犯になることで自分の過去もやり直そうとしたんじゃないかな。
加奈子が夫のクリアランスに乗り気になっていったのには正直驚いたけど、おいしい水が飲みたい、って理由が、さすが奥田英朗さんという感じ。
李 -
Posted by ブクログ
毎週観るので大河ドラマにしてくださいと言いたくなる、ザ・昭和サーガ。大正最後の日、エリート帝国軍人、金沢の仁侠、夫人運動家、そして満州の興行師という接点のない(今はまだ)4人が、後に「昭和」と名付けられる時代の一日目にそれぞれ“子供”を授かる場面から始まる。
4人の視点が交互に入れ替わり、戦争に向け先鋭化する軍閥、満州国建国、左翼活動、右翼活動など、昭和の始まりを濃厚な現場の空気が感じられるほど鮮明に描き出している。なるほどこうやって日本は必敗の太平洋戦争に突入していったのかと呆れるやら、明治維新からの直情型武士的発想の害悪をまざまざと見せつけられた(だから明治維新のヒーローと言われる人物たち -
Posted by ブクログ
久々の伊良部シリーズ
精神科医の伊良部先生と看護師のマユミちゃんのコンビは相変わらずで、あぁそうそうこんなんだったなぁと思い出す。
調べてみると前作の町長選挙から15年近く経っての続編だったようで、もうそんなに経つのかと思う。
1作中の伊良部とマユミちゃんは変わらず魅力的で、この15年で自分自身に色々あって不安障害に近い状態にもなったりして、そんな作中の患者さんに共感を覚え、伊良部先生のデタラメな様で核心をついている「死にはしないんだから」とか「恥をかいてみれば良いんだよ、周りは明日には忘れてるよ」とかそんな言葉が心に刺さる。
内容自体は気軽に楽しく読める短編が5本あり、どれも面白く伊良部 -
Posted by ブクログ
『小説現代』2023.7(一冊の雑誌に全編が掲載されたってこと? こんな鈍器本なのに?)
昭和元年生まれの4人がいよいよ絡みあう。
第一部よりも私には面白く読めたが、4人の中でも好きな人物と苦手な人物が出てくる。4人のパートが交互に出てくるのだが、苦手なパートが回ってくるとがっかりする。私の場合、ヤクザの子どもである四郎がいつも道を踏み外すと、あーあまたかと思ってしまう。頭もいいし、普通に生きればいいのにと。そうなったら物語にはならないけど。
それにしても、戦中戦後のなんと混乱していたことか。
この4人がどういう道を進むのかすぐにでも読みたいのだが、第三部は12月17日発売とか。