奥田英朗のレビュー一覧
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カナコのD Vをナオミが知った辺りから、文章のテンポが早くなったような、スピード感に引き込まれた。
こちらもドキドキするというか。一つ一つ追い込まれるごとに一緒に動揺するというか。
陽子がこわい。
お兄ちゃんを狂信的に探す一方で、お兄ちゃんのDVも知っていたってそこに、人間性が現れている。
また、中国人女性の書き方も上手い、嫌な感じ。図々しさがありながら、頼れる魅力があるというような。
DVを受けながら、逃れば良いのに逃げられない感じがリアルにわかった。
私が一番心に残ったのが。ナオミが時計を取り戻しに行く時をきっかけに、仕事が面白くなるところ。
転機の一つはあのタイミング。日々タイミングはあ -
Posted by ブクログ
昭和100年、戦後80年の節目の年に壮大な日本現代史。しかも連載始めたのは10年前。構想段階まで含めると…溜め息出る。600ページの厚さに慄くも一気読み。まだ二部、三部と続く…。いろんな立場の登場人物に4人の子どもたち。どう影響し合い、人生歩んでいくのか、早く続き読みたい。ヤクザがいい人だったり、軍の中にも優れた見識の持ち主いたり、反戦運動に取り組む男がクズだったり。それぞれの使命感に突き動かされ、自分こそ正義と信じて、いとも簡単にひとを殺す。戦争は、個人の思いをなぎ倒し全員が同じ方向に向かわせる。米の民主主義の危うさも指摘。今の世界情勢。似てないか…。
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Posted by ブクログ
それぞれバックグラウンドが全く異なる4人と、数日しかなかった昭和元年に生まれた彼らの子どもの人生のアドベンチャー、それを激動の歴史が背景にあることもあって面白い。
昭和を振り返る事ができる現代だからこそ書ける内容かな、というような(まあ当たり前といえば当たり前だが)、おしなべてみんな先見の明あって、それだけが少し違和感があったが、でもよく調べて書かれているなと。
4人と4人を取り巻く人々が生き生きと描かれていて、彼らの子どもたちも魅力を感じる。第一部は親世代がメインだが、少しずつ子どもたちの運命の糸が絡み合い始めており、第二部以降も今から楽しみ。