奥田英朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初巻に続き読み応えの有る大作。
大東亜戦争(太平洋戦争)に途中して戦時中から戦争に負けた日本での4人の若者の生き様を描く。1巻の戦前親世代から其々の子世代に話が移り、其々の戦争下での苦しい生活を多角的に描かれ不幸な時代を逞しく生き抜く姿が眩しいが、戦争の不条理さを痛感する。異なる環境の4人が接点を持ちながら進行する話は面白く、其々次巻での戦後の飛躍が楽しみだ。
竹田四郎:岩崎財閥家出身の陸軍省のエリート軍人竹田耕三の子
父の米国赴任に向学の為同行するも米国との戦争に突入する。帰国船の父との待合せにスパイと間違われ1人収容所に収監される。理不尽な収監生活を経験して何とか渡米時の知人の助けで帰国でき捕虜収容所の通訳を担い理不尽な米国捕虜への仕打ちを擁護する。戦後帝国大学に進学しながらGHQ通訳を行いながら志郎、ノラ、満と接点を経験しながら検事を目指す。
矢野志郎:北陸能登のやくざ一家の親分矢野辰一の養子
戦時中は、新宿を拠点に不良生活で名を上げて行くも襟を正し海軍飛行隊に志願する。死をも覚悟して飛行機乗りでの交戦を目指すも戦況の悪化で人間魚雷「回天」の乗務に選出され死を覚悟して受諾し友人の後に続く直前に終戦を迎える。友人との靖国での再会を果たす為、自決をしようとするも旧知の世話人に止められ生き日本大学に進学しながら志郎、ノラと接点を経験しながら戦後の闇市で名を上げてるも検事に捕まり更生を決意する。
五十嵐満:満洲国でエンターテイメント事業を成功させた五十嵐譲二の子
映画俳優として戦争とは無縁の左寄りの生き方をする中で戦争に突入してソ連の満州進行を逃れ家族は満州を離れるも別行動でソ連軍に捕虜として連行される。シベリア送りの直前に脱走するも中国国民軍に捕まり紆余曲折な囚人生活を経験して日本に帰国出来る。終戦後、米軍キャンプ地でのタップ等のエンターテイメントで人気を集める。
森村ノラ: 左翼活動家で雑誌「群青」の編集者森村タキの子
育ての父神父は通訳で戦争に取られ、母は左翼活動で刑務所に収監され戦時中は1人で生き抜く。軍事工場で働きながら、ふとしたきっかけで喫茶店を任され闇コーヒーで上手く生活するも喫茶店も長続きせず父の教会で兵隊逃れの偽神父と厳しい買い出しを経験しながら生き抜く。教会で孤児の面倒を見ながら終戦を迎え働きながら津田塾大に進学し知り合った女性GHQ官僚の勧めで渡米を決意する。 -
Posted by ブクログ
『講和条約を結んだとき、総理は国民に向けて大演説をするべきだった。これから日本はどこへ進むのか、どんな国を目指すのか、理想論でも大言壮語でもいいから語りかけるべきだったのだ』 矢野四郎
『自分が攻撃されたらどうしようと思ったが、すぐに母の顔が浮かび、自分に活を入れた。
母なら怯むはずはない。そして自分は森村タキの娘だ』 森村ノラ
「国民を守る気のない政府は、あってはならないのです。ましてや弱者を切り捨てる政策など、昔も今も、もってのほかです」 竹田志郎
『今の日本人は満州を忘れかけている。しかし昭和を語るとき、満州を抜きに語ることは出来ない。』
五十嵐満
昭和三部作最終章。
四人が最後にこうなるとは
納得と言えば納得。
志郎と四郎の最後の決戦。
志郎と四郎が自らを語る
この長い3冊を読み終えて、ふと自分の知る昭和を思い返してしまいました。
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Posted by ブクログ
『四郎たちは察した。自分たちが向かうのは、人間魚雷の基地だ。』 矢野四郎
『今の世の中はどこにも真実がない。ただ上の人たちが、何かを必死に隠そうとしていることだけが伝わって来る』 森村ノラ
『戦前、日本が戦争に突っ走ったのは、みなが同じ方向を向いたからではないか。ファシズムを阻止するのは、思想ではなく多様性だ』 竹田志郎
『もしかして自分たちが世界を動かせるのではないか』 五十嵐満
「生か死の選択を迫られたときは、生を選んで欲しい」木下の言葉に四郎は返事をしない
プレゼントされた一生もののオメガの腕時計。
『いつまで使えるかは、自分でもわからない。』
生きて!と読みながら力が入る
人間魚雷「回天」に志願した四郎にページをめぐる手が止まらない
戦争真っ只中の第二部。一気に読みました
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Posted by ブクログ
感想
激動の時代だけにのっけから暗雲が立ち込めてるな。
敗戦後もみんな逞しく生きている。日常生活を送れることが素晴らしい。
あらすじ
志郎はアメリカで幽閉生活を送っていたが、移動する際に拾った父の鞄から暗号書が出てきて、アメリカに止めおかれる。四郎は、父を亡くし、金沢で代貸のマサの世話になる。四郎は暴力事件を起こして中学を退学させられる。ノラは工場で女工として働く。友達になった女の子と農家に米を買いに行く。満は役者として新京へ行き、富美という中国人の女の子に恋をする。
志郎は紆余曲折を経て、日本へなんとか帰る。四郎は刑期を終えて、東京で生活する。愚連隊をまとめて新宿の矢野として名をはせる。ノラはカフェ経営が軌道に乗るがコーヒーを横流ししてくれていたヤクザの森山が徴兵に行く。満は、張学士と富美がやるリバティに入る。関東軍に逮捕されるもリバティの活動に傾注していく。
志郎は、ノラと出会い、闇米の買い出しなど手伝い、新たな体験をする。ノラは物資が入らないことからカフェを閉店して、桜高等女学校に入学する。四郎は愚連隊をまとめていたが、仲間が逮捕され、自分も勾留されているうちに退学処分になる。四郎は予科練に応募し、松山で修練を受ける。満は東京に出張できて、東京にリバティの支部を立ち上げ、ノラや志郎と出会う。
その後、日本は敗戦する。志郎は捕虜の通訳の勤めが終わり、東京帝大に入る。そこで共産主義の渡部と出会い、距離を置きつつも共産主義について学ぶ。矢野四郎は予科練から人間魚雷に搭乗するまで行ったが、無事に新宿に帰ってきた。大学を目指すも昔の仲間と会い、新宿で矢野組を立ち上げる。四郎は日大に入り、流れで右翼にも入る。ノラは英語が話せることからGHQで働き、GHQから見た日本を学ぶ。満は終戦後、曲芸師とハルピンに向かうもロシア兵に捕まり、捕虜にされる。その後、脱走するも、中国共産党に捕まり、延安に連行される。
志郎は、東大を卒業し、司法習生になる。四郎は、警察に捕まるも将来どうするか考える。ノラは妊娠中絶が行えない女性を助ける活動を通じて女性地位向上に向けて活動しようと考える。満はなんとか満州から脱走して、米軍相手のバンドを結成し、銀座に事務所を構える。4人はGHQのクリスマスパーティで再会するのだった。 -
Posted by ブクログ
【あらすじ】
群馬県と栃木県を跨ぐ渡良瀬川の河川敷において、女性の遺体が立て続けに発見された。臨場した捜査員達の胸に去来するのは、十年前に発生した未解決連続殺人事件。これは十年の沈黙を破る殺人鬼の蠢動か、それとも悪質な模倣犯か、強烈な「後悔」を胸に群馬・栃木両県警が事件に立ち向かう。
事件解決に心血を注ぐ刑事達。未解決事件に囚われた警察OB。娘の「復讐」を誓う父。初めての大事件に臨む新聞記者。容疑者と親交を結ぶクラブのママ。
様々な人間の思惑が絡み合うなか、事件は思わぬ展開を見せていきーー。
【短評】
緻密な筆致が印象に残る良作である。
じわじわと真相に迫る手応えを感じつつ、群像劇の妙味である細やかなザッピングにより「一番良いところ」を見せてもらえるため、終始飽きが来ない。上下巻のボリューミィな作品ながら、二、三日で読み切ることが出来た。
警察小説の醍醐味は地道な捜査にあると思う。立件に足る確たる物証を集めていく道程。遅々とした歩みのなかに覗く刑事の矜持。私が警察小説において観たい諸々の景色が丁寧に描かれており、非常に好感が持てた。個人的には齋藤一馬(さいとうかずま)が好きである。他方、松岡などは殆ど狂人であり、好きにはなれなかった。だが、奥田英朗は、こういう思い込みが激しい人間を描くのが上手いとも思う。
さて。徹頭徹尾じわじわずるずると進んでくれれば良かったのだが、最終盤の展開はかなり駆け足気味である。読みながら「これ頁足りる?」となったが、個人的には「やはり足りなかったか…」という感想が先行してしまった。「足りたねえ」と嘆息したかっただけに少々残念。容疑者が徐々に絞られていく興奮と、ある容疑者に拘泥することへの危機感が同居したスリリングな展開だっただけに、肩透かしを喰らった感が強い。
刑事たちがかなり優秀なので、状況証拠は揃っているが、「物証」と「動機」が分からない。通読した限りにおいて、読者の興味は後者に寄ると思う。しかしながら。
頁が足りない。知りたいことが開示されない。すっきりしない。
この興味の持っていき処をどうしてくれようか!!となってしまう訳だ。
序盤中盤はかなり好きだが、終盤がソードマスターヤマトになってしまったことが残念でならない。さりとて良作の部類ではあるため、じっくりと腰を据え、勘を働かせながら読むことをお勧めしたい。