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Posted by ブクログ
中学生って難しい!
中学生の「団結」や「自覚のない残虐性」を認識し、危うさと怖さを感じさせられた。家族から徐々に離れ始める中学生は、社会との接点を増やし始めている。その際、良き友人に出会えば良く育ち、悪い大人や先輩に出会えば悪に染まることもできる。良し悪しや基準が分からないからこそ、何色にでもなれてしまう。人生の転換点にいるのかもしれない。
600ページ弱の長編で、登場する中学生と、その親、学校の先生、中学生と向き合う警察や検察のそれぞれの人物が解像度高く描かれていた。それぞれに悩みや譲れぬものがあり、自分の立場が一番大切という人間らしさが溢れる登場人物たちで感情移入できた。
ある人物に共感していると、他者から否定されて、苦しくなりながら読んだ。誰が諸悪の根源なのだろう。中学生を取り巻く社会の複雑さを感じる1冊だった。
Posted by ブクログ
さすがの奥田英朗だから読みにくいってことはないのだけれど、中盤以降急に名倉が生きていた頃に戻ったり死後だったりの時系列がわかりにくかった。
最後はちょっとほっぽり出された感じがあった。書きたかったのは、中学生の証言の難しさなのだろうか。
中学2年の名倉が学校の敷地内で亡くなっていた。頭が割れて、つねられた痕が多数ある。同じグループの14歳になった坂井と藤田が傷害の疑いで逮捕。13歳の市川と金子は児童相談所送致つまり補導ということになる。警察は4人が銀杏の木に飛び移るよう強要したのではないかと思っているが、4人の子供たちはあまり喋らず、裏が取れない。
3日ほどで彼らは保釈されて元の生活に戻っている。テストも終わり、何事もなかったようだ。名倉の家に4人で来るように遺族に強制され行くことになる。何度も名倉がいた時には来たことがある。子供たちは花も香典さえも持ってこなかった。そして何も収穫はなし。また来てもらうことになった。
4人の両親もスクラムを組むことにした。だがそれも不穏である。他の誰かのせいにしたいのだ。
遺族の申し出により4人はテニスの県大会に出られなくなる。が、坂井と市川の母は頑張って抵抗する。
Posted by ブクログ
さすが、奥田英朗先生。
読ませます。
571ページとかなり厚みのある作品なのですが、ページ数を感じさせない読みやすさで、一気に読み切ってしまいました。
物語の始まりは、中学生の転落死。
彼の死は事故だったのか、それともいじめを苦にした自殺だったのか。
さらに、中学生2名が逮捕、2名が補導されるという、心穏やかではいられない状況が立ちはだかります。
冒頭から、心がざわつく展開です。
転落死した名倉は、本当に四人の少年たちにいじめられていたのか。
彼らと名倉の関係が、少しずつ明らかになっていきます。
最初は私も、四人の少年たちに対して、
「弱い者いじめなんて、けしからん!!」
と怒りの矛先を向けていました。
けれど、四人の生徒と名倉の関係性が見えてくるにつれて、少し印象が変わっていきます。
特に市川と坂井に関しては、
「たまたま部活が一緒だっただけで、巻き込まれてしまったのでは?」
という同情の気持ちも生まれました。
亡くなった名倉の学校での振る舞いや生活態度が明らかになるにつれ、名倉だけに一方的に同情することもできなくなってくるのです。
彼のKYな振る舞いにも、やはり問題はあったと思います。
おそらく名倉は、発達障害だったのではないかなぁと感じました。
二度の流産を経て生まれた一人息子。
しかも、家業を継ぐ存在として期待されていた子ども。
親の愛情をたっぷり受けて育ったことは、よく分かります。
でも同時に、親としては「普通の子とは少し違う」という現実を認めたくなかったのではないかとも思いました。
それを認めてしまえば、跡継ぎの問題にも向き合わなくてはいけない。
ましてや、舞台は北関東の田舎町っぽい雰囲気です。
ご近所さんの目もあるでしょう。
何がなんでも、我が子は普通の子である。
そう思い込みたかったし、その思いを子どもにも押しつけていたように感じました。
一方で、思いのほか印象に残ったのが、不良の井上です。
彼は意外と人をよく見ている。
生い立ちの影響もあるのでしょうが、自分が損をしないように、人を選んでいるんですよね。
ただ乱暴なだけの子ではなく、生き延びるための嗅覚のようなものを持っているところが、妙にリアルでした。
私はこの小説を、かなり親目線で読みました。
だからこそ、この一文がとても刺さりました。
“親は、自分の子供が学校でどんなキャラクターを演じ、どんなポジションにいるかを知らない。”
そう。
子どもが自分から言わない限り、親は知りたくても知れないのです。
親が想像している子どもの姿と、学校での子どもの姿。
そこにギャップがないわけがない。
それは親自身も、かつて経験してきたことのはずです。
だからこそ、我が子が学校でうまくやっているのか、不安になるんですよね。
この小説は、いじめ、転落死、少年事件という重たい題材を扱っています。
けれど、読んでいて暗・暗・暗と沈み込んでいく感じではありません。
それはおそらく、弁護士・堀田というキャラクターの効果が大きいと思います。
奥田先生の人気キャラクター・伊良部先生の弁護士版ともいえるのが、この堀田です。
堀田と坂井の母親とのやり取りは、どこか伊良部と患者のやり取りを思わせます。
題材を考えると不謹慎かもしれませんが、思わずクスリと笑ってしまう場面もありました。
この抜け感があるからこそ、重たい話なのに最後まで読み進められたのだと思います。
そして、少年たちの親の立場になって読むと、これまたしんどい。
私がもし少年の親だったら、市川の母親みたいな行動を取ってしまう気がします。
夫に当たりまくる……みたいな。
こういうピンチの時って、本当に性格が出ますよねぇ。
『沈黙の町で』は、単純に「いじめは悪い」「被害者がかわいそう」「加害者が悪い」と割り切れる物語ではありませんでした。
子ども同士の関係。
親が見ている子どもの姿。
学校という閉じた世界。
地方の空気。
そして、事件が起きた時にあぶり出される大人たちの本音。
読み進めるほどに、誰か一人を責めるだけでは終われなくなっていく。
そこがとても奥田英朗先生らしい作品でした。
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