松本清張のレビュー一覧

  • 黒い画集

    Posted by ブクログ

    冒頭の「遭難」を読みたくて借りた。
    松本清張の本は「黒革の手帳」以来だが、今回は短編集だが、一つ一つが手の込んだミステリーだった。
    遭難は冬山登山の描写がリアルで、遭難の場面描写はぞっとした。
    しかし昭和30年代前半に書かれているということで社会的な背景が古く、男女関係に関しては少し不快な思いもしたが、町の様子や駅の様子なども当時の状況も古く(当たり前だが)、よく知っている駅の周りの描写が、話の筋とは別にとても興味深かった。

    0
    2021年03月27日
  • 黒い福音

    Posted by ブクログ

    犯罪はどこで道を誤れば至るのか。聖人君子ではない神父もまた人として道を見誤る。裏社会にも通じる圧力は時に政治や世間体へと影響する。真実を突き止められずに終幕する未解決事件、悔恨が日常の営みに溶け込んでいく。忘却へと流される被害者の無念が私たちの心にひっそりと宿した時に変えよう変わろうという声となることを望む。変えなければならないのは世間よりも先に私たちなのだ。

    0
    2021年03月04日
  • 或る「小倉日記」伝―傑作短編集(一)―

    Posted by ブクログ

    ー或る「小倉日記」伝

    1952年の作品で,第28回芥川賞受賞作。肉体的な欠陥を抱えながらも頭脳の明敏な一青年が,森鴎外「小倉日記」の巡礼を行う話。ある種のコンプレックスによる悲劇性を学問の追究へと昇華させた感じか。周辺人物も大事で,常に献身的な母や"コケットリイ"てる子,これらの存在が主人公の姿勢に影響する。

    他の短編にしても書いてあることは似ていて,学者が表現者かであろうと夢中になる者,気分はどうあれ献身する者,機会があるごとに出し抜こうという雑な悪意,人々の生涯,あたりだろう。考古学や歴史学に対する考察の姿勢は,ひねくれた面はあるものの根は真摯そのものだと受け取った

    0
    2021年02月28日
  • 風の視線(上)~松本清張プレミアム・ミステリー~

    Posted by ブクログ

    長編ロマン。一人の男に振り回され、いろいろなしがらみから、行き違いになった男女の物語。克明に描かれる描写が頭に情景を想起させる。

    0
    2021年01月19日
  • 風の視線(下)~松本清張プレミアム・ミステリー~

    Posted by ブクログ

    長編ロマン。一人の男に振り回され、いろいろなしがらみから、行き違いになった男女の物語。克明に描かれる描写が頭に情景を想起させる。

    0
    2021年01月19日
  • 黒革の手帖(上)

    Posted by ブクログ

    やはり昭和と令和の今で時代が少し違っていて初めは読みづらかったけれど、だんだん慣れてきて面白くなってきた。下巻が楽しみだ。

    0
    2021年01月17日
  • 彩霧(さいむ)~松本清張プレミアム・ミステリー~

    Posted by ブクログ

    公金の拐帯事件から始まるミステリー。
    金を使う者、金に使われる者。そして、使われてしまった者の最後を書き上げた作品。

    0
    2021年01月04日
  • 高校殺人事件

    Posted by ブクログ

    高校生たちが主になり身近に起きた事件を明かしていく。松本清張氏といえば、サラリーマンが主になる小説というイメージが強いため、本作品を読むと著者の新鮮な面が見える様だ。

    0
    2020年12月30日
  • 軍師の境遇 新装版

    Posted by ブクログ

    黒田官兵衛他3つの短編。官兵衛ほどの知謀があれば主家など見捨て宇喜多直家や斎藤道三の様にお家を乗っ取る事も出来たかもしれないがそこまでの野心は無く意外にも主家を思う人情家。よく考えたら本能寺の変からわずか8年程で天下統一を成し遂げた秀吉の軍師。秀吉が最大限に警戒する人物なのも納得する。

    0
    2020年12月29日
  • 黒い手帖

    購入済み

    物書きの参考書

    松本清張様の構想、ネタの元、アイデア、メモの取り方など、物書きを目指す方にはとても参考になるのではないでしょうか。
    ぼんやりとリラックスした時にこそいい発想ができるなんて、納得です。昔流行ったアルファ波とでもいえるでしょうか。
    個人的には「日本の黒い霧」のほうがおもしろくて、こちらとダブル部分もあったのですが、黒い霧はやっぱりすごいと、改めて思いました。

    0
    2020年11月01日
  • けものみち(下)

    Posted by ブクログ

    人は権力に溺れたり権力の恩恵に与ろうとすると道を踏み誤るものだなと思った。竹中平蔵曰く、忖度には相手の考えを汲もうとする正しい必要な忖度と、そうでない不適切な忖度があるらしい。私利私欲のための忖度は良くない結果を招く良い例を描いた物語だと思った。

    0
    2020年10月06日
  • 不安な演奏

    Posted by ブクログ

    今でいうところのラブホテルでの秘め事、それも男同士のものを録音したつもりが、秘め事は秘め事でも殺人計画らしき会話が録音されていたことから、ストーリーは展開する。柏崎、出雲崎での身元不明の女性の水死体、教会から信者に配られた私鉄乗車回数券、まさに上り調子の国会議員の大臣就任と選挙違反の発覚、その選挙運動に駆り出されていた地元政治家や区会議員。雑誌記者、映画監督、そして旅先で出会い捜査に加わる不思議かつ怪しい青年。
    長編小説で、最初の出だしは快調なペースで読めるが、しかしなかなかストーリーは単調で変化なし。後半で一気に解明への手掛かりが掴めて解決に向かっていく。その途中の遅々として展開しないストー

    0
    2020年08月24日
  • 共犯者

    Posted by ブクログ

    松本清張の短編小説集。
    今回はあまり良くないと思われるものもあったが、とにかく読ませる力量は凄い。
    集中、「潜在光景」「距離の女囚」あたりが特に印象的だった。
    この「文豪」と呼べるほどの膨大な作品を世に出した作者、人間たちの「出来事」を様々なシーンから切り取ってくるアイディアの無尽蔵さには舌を巻く。

    0
    2020年08月23日
  • 水の肌

    Posted by ブクログ

    犯罪短編集。
    普通の人が犯罪にはしる話がいくつかあって、松本清張は記者時代に事件を色々と調べるうちに人間の犯罪心理に詳しくなったのだろうか。
    そんなことを感じる短編集だった。

    0
    2020年07月03日
  • 黒の様式

    Posted by ブクログ

    「歯止め」「犯罪広告」「微笑の儀式」の3つの短編が所収。「歯止め」は、結婚後数年で自殺した姉の真相が、思春期の息子の素行や夫の実家の法事に出席したことをきっかけに徐々に明らかになる。「犯罪広告」は、義父による実母の殺害が20年たって明らかにしていく息子が、逆に殺される。「微笑の儀式」は、法医学の教授と新進気鋭の彫刻家の飛鳥での出会いが、殺人事件と結びついていく。

    0
    2020年06月04日
  • 疑惑

    Posted by ブクログ

    「疑惑」「不運な名前」の2作品が所収。「疑惑」は、雨の港から転落した車、乗っていた老齢男性の夫は水死、妻は助かる。前科のある女性ホステスのつま、夫にかけれた多額の保険金から憶測呼び書き立てるマスコミ。国選弁護人が、徐々に妻の嫌疑を晴らしていく。「不運な名前」の舞台は、北海道の月形にあった樺戸監獄。この資料館を訪れ、偶然出会った観覧者3名によって偽札作りで収監され亡くなった熊坂長庵の冤罪を解く推論が展開される。かつて印刷工として働いていた経験をもち松本清張ならでの詳しい印刷技術がとうとうと綴られる。

    0
    2020年05月31日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

    Posted by ブクログ

    本のタイトルは黒地の絵だが、内容は「真贋の森」が出色。
    清張のアカデミズムに対する見方が色濃く作品に反映されている様に感じる。

    「装飾評伝」「草笛」がこれに次ぐ。虚実ない交ぜとなったリアリティー溢れる佳品。

    他の作品も読みごたえはあるが、話の結末はことごとく悲しい。清張の現代小説は人が死なない(殺されない)方がよい。推理小説はまた別。

    「真贋の森」は特にオススメ。

    くまざわ書店阿倍野店にて購入。

    0
    2020年05月31日
  • 一九五二年日航機「撃墜」事件

    購入済み

    日本の陰の歴史

    松本清張は戦後のアメリカ軍による歴史に隠された蛮行を暴くことにも勢力を注いできた。この事件なども彼の矯激なまでの心理への追及審が生み出した日本人必読の書であるのでぜひご一読してほしいものだ。

    0
    2020年05月28日
  • 死の発送 新装版

    Posted by ブクログ

    今、この角川文庫を読み終わって
    ふと帯を見ると
    「TVドラマ化!」
    「2014年5月30日(金)よる9時よりフジテレビ系にて」
    とある
    あらま、本日ではないか

    TVドラマ化されるとて新装版になって本屋にあったから
    わたしの目に留まって
    「まだ読んでない清張さん」
    ということで買ってしまった本

    あいかわらずたっしゃな清張ワールドを
    堪能したのだが
    「トランクの死体は発送者本人だった……」
    ストリー展開は

    折も折
    準看護師の女性の遺体が貸倉庫で発見され
    その遺体は本人名で宅配便で送られていたとか
    元同級生の女性が関係しているとか
    と、推理小説ばりの
    謎多き気持ちの悪い事件が現実

    0
    2020年05月27日
  • 小説帝銀事件 新装版

    購入済み

    歴史の闇を暴く小説

    帝銀事件に関しては未だに定説がでてこないが、当時の警察の発表にははなはだ摩訶不思議な点が多い。この著作は必ずしも100%真実を語っているわけではないが、松本氏の推論はかなり信ぴょう性があると思われている。

    0
    2020年05月25日