松本清張のレビュー一覧
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ー或る「小倉日記」伝
1952年の作品で,第28回芥川賞受賞作。肉体的な欠陥を抱えながらも頭脳の明敏な一青年が,森鴎外「小倉日記」の巡礼を行う話。ある種のコンプレックスによる悲劇性を学問の追究へと昇華させた感じか。周辺人物も大事で,常に献身的な母や"コケットリイ"てる子,これらの存在が主人公の姿勢に影響する。
他の短編にしても書いてあることは似ていて,学者が表現者かであろうと夢中になる者,気分はどうあれ献身する者,機会があるごとに出し抜こうという雑な悪意,人々の生涯,あたりだろう。考古学や歴史学に対する考察の姿勢は,ひねくれた面はあるものの根は真摯そのものだと受け取った -
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物書きの参考書
松本清張様の構想、ネタの元、アイデア、メモの取り方など、物書きを目指す方にはとても参考になるのではないでしょうか。
ぼんやりとリラックスした時にこそいい発想ができるなんて、納得です。昔流行ったアルファ波とでもいえるでしょうか。
個人的には「日本の黒い霧」のほうがおもしろくて、こちらとダブル部分もあったのですが、黒い霧はやっぱりすごいと、改めて思いました。 -
Posted by ブクログ
今でいうところのラブホテルでの秘め事、それも男同士のものを録音したつもりが、秘め事は秘め事でも殺人計画らしき会話が録音されていたことから、ストーリーは展開する。柏崎、出雲崎での身元不明の女性の水死体、教会から信者に配られた私鉄乗車回数券、まさに上り調子の国会議員の大臣就任と選挙違反の発覚、その選挙運動に駆り出されていた地元政治家や区会議員。雑誌記者、映画監督、そして旅先で出会い捜査に加わる不思議かつ怪しい青年。
長編小説で、最初の出だしは快調なペースで読めるが、しかしなかなかストーリーは単調で変化なし。後半で一気に解明への手掛かりが掴めて解決に向かっていく。その途中の遅々として展開しないストー -
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日本の陰の歴史
松本清張は戦後のアメリカ軍による歴史に隠された蛮行を暴くことにも勢力を注いできた。この事件なども彼の矯激なまでの心理への追及審が生み出した日本人必読の書であるのでぜひご一読してほしいものだ。
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Posted by ブクログ
今、この角川文庫を読み終わって
ふと帯を見ると
「TVドラマ化!」
「2014年5月30日(金)よる9時よりフジテレビ系にて」
とある
あらま、本日ではないか
TVドラマ化されるとて新装版になって本屋にあったから
わたしの目に留まって
「まだ読んでない清張さん」
ということで買ってしまった本
あいかわらずたっしゃな清張ワールドを
堪能したのだが
「トランクの死体は発送者本人だった……」
ストリー展開は
折も折
準看護師の女性の遺体が貸倉庫で発見され
その遺体は本人名で宅配便で送られていたとか
元同級生の女性が関係しているとか
と、推理小説ばりの
謎多き気持ちの悪い事件が現実 -
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歴史の闇を暴く小説
帝銀事件に関しては未だに定説がでてこないが、当時の警察の発表にははなはだ摩訶不思議な点が多い。この著作は必ずしも100%真実を語っているわけではないが、松本氏の推論はかなり信ぴょう性があると思われている。