松本清張のレビュー一覧
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明治終盤、私立大学哲学館に文部省の立ち入りが入り、倫理学のテストでの一学生の解答をもとに、師範の免許剥奪が行われた、いわゆる「哲学館事件」をもとに、その解答をした学生、工藤の激動の人生を追う。
上下巻に分かれているようだけど、元々は1巻だったらしい長編のため、また忘れかけた頃に下巻に手を付けることとする。
もともと哲学館事件を知らないで読み始めたのと、舞台は東京帝国大学と思いきや、全く別のところで始まり、別のところでストーリーが進行するため、やや拍子抜けと言う感じ。まあ、上巻はこの程度なのであろう。
Wikipediaによると、かなり実史に近いようで、教官などの名前も同じである。
なお、上巻中盤部から、怪しげな人物が活躍し始め、やや読者置いてけぼり感があり(いずれも実在)、ストーリーもあまり進まなくなってくるため、ややだれた状態である。
でもまあ、当時は教育者と政治家って、ほぼ同義だったのだなあと思えるのは興味深い。今もそうだって?たしかに。 -
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☆☆☆2019年2月レビュー☆☆☆
松本清張の小説からは「昭和」を感じる。この作品は実際に昭和34年に起きたスチュワーデス殺人事件を題材に描かれた小説である。
グリエルモ教会は「布教」の名のもとに、密輸、支援物資の横流しで大きな金銭的利益を得ていた。「密輸」を生業とするランチャスター氏と深い関係を持ち、それがスチュワーデス殺人事件に繋がる。
直接の実行犯はトルベック神父であるが、彼もまた追い込まれて罪を犯したという意味では「被害者」ともいえる。殺人を犯すまでに追い込まれたトルベック神父があまりにも憐れだ。恋人である生田世津子を自ら手にかけるその精神的苦痛が、読んでいた痛いほど伝わってきた。
新聞記者と刑事のやり取りや、人々の生活描写から時代を感じることもでき、最後までスラスラ読めた。 -
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松本清張の時代物の推理小説。
隅田川に上がった2人の水死体は、柔道に長けた者であろう下手人によって、みぞおちを打たれていた。その現場から上がった細工物の煙管をつてに犯人を追う岡っ引き藤兵衛であったが、同心(岡っ引きの上司)川島に、捜査から手を引くよう指示される。その後、参考人たちが次々と謎の死を遂げていくが…。
なかなか凝ったストーリーで楽しめる時代・推理ものであるが、時代小説が苦手なんだよね。理由はまたいずれどこかに書こうとおもうが、やはり苦手なものにとっては、なかなかとっつきにくいものである。
とはいえ、そこは松本清張、同心とは何であるか、奉行所との関連はどうでという説明もかなり丁寧に書かれており、苦手意識が克服されるかもねという作品である。
一応推理小説という形にはなっているが、最後の最後で「点と線」スタイルが始まるまで、結局動機やらなにやらが、読者には予想もつかないため、単純に人間模様や岡っ引きの捜査を楽しむのが正しい読み方であろう。
わかりやすかったが、やっぱり苦手かもね。 -
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実際にあった殺人事件を元に、事実を推測し物語にしたもの。結構分厚く、持参のブックカバーに入らなかった。それだけに読みごたえはあるが、難しいと思うことなく時間を忘れて読み進めた。
あまり推理もの等を読まない身としては偏見として、警察は悪役に回るものなのかなと思っていたけどこの話はそうではなかった。寧ろ日本の警察の力❨勿論権力のことではない❩に期待をかけていたような感じさえ受ける。教会側は教会側として、初めから詐欺だとかなんだとするというのではなく本気で布教するなら国の法律を犯してもよいというところに基づいているところもなんとなく歯切れの悪いところ❨※これは誉め言葉です❩。
構成としても江戸川乱歩の初期作品のように、実際の犯行を先に書き後から明かしていくというのもよかった。 -
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ネタバレ陰謀に巻き込まれた談合建設会社専務味岡。まさかの誰得小太りおっさん。
上巻の終わりから不穏な気配がしていたけれども、下巻はメインヒロイン味岡から、主謎を解く刑事に視点をバトンタッチして物語が進む。
下巻は上巻の謎が解き明かされるので読みやすく面白い。
(以下ネタバレあり感想)
しかし、終章の駆け足どころじゃないあらすじはどうなのか。雑誌の人気ランキングが悪かったのか、或いは作者が飽きたのか。上巻のクオリティに比べると下巻があまりにもおざなりでどうなのって思う。
また近代手法で捜査している割に警察の見落としが多すぎて、読者にとって公開されるべき情報が隠匿されている。もし隠匿していないならば、推理が乱暴すぎる気がする。
そして、ラストの駆け足あらすじにより、謎がどのように解けるかを魅せる物語というより、説明を「ハァ」って受けている気持ちになる。アレだ「犯人は実は異母兄弟だった(物語には出ていない)」的な気持ち。
上中下でいいのでもっとみっちり書いて欲しかったなぁ……と言う気持ち。
これ、調べてみたら2時間ドラマ化されていたようなんだけれども、どんな感じだったんだろう。