松本清張のレビュー一覧
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ネタバレ医師・戸谷信一は、院長である社会的な地位を利用して女を騙して金を巻き上げることで生計を立てている。金銭的な魅力がある女に近づいては金を巻き上げ、挙句の果てには夫殺しに加担するようなまねまでする。確かに戸谷は悪い奴ではあるが、表題の複数形が示すように登場人物は一様に悪い。
特に戸谷が熱をあげ結婚を迫ることになる槇村隆子は悪い奴だ。槇村は戸谷に気のあるふりをしながら、戸谷の親友である弁護士・下見沢との結託で病院の土地・建物、貯金を巻き上げ、戸谷の悪事をさらけ出すことで社会から抹殺してしまう。
坂道を転げ落ちるような戸谷の破滅を描くラストに至るまでの過程は、「黒革の手帖」を彷彿させる。やっぱり悪いこ -
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紀行文ミステリーの王道、とでも言えば良いのでしょうか、個人的には、ミステリーそのものよりも、舞台となった各地の情景描写に心惹かれたのは事実。そもそも読んだきっかけも、旅で行った丹後半島と浦島伝説が絡んでいると勧められたので。
ミステリーそのものは、多少垢のついた、平板な内容かな、と思わないでもありませんが、これはきっと逆で、最近のものがこういった時代のものを模している(部分もある)のだろうと思います。
どうにも、ミステリーというと「謎解き」をしたくなりますが、本書は、それよりはドラマそのものを追う方がメインになってしまいました。逆に、謎解き、という感じの内容では無かったような気がします。結 -
Posted by ブクログ
いやー、時代を感じさせまくりながらもなぜこんなに面白いのか。「たづたづし」なんて、なんで首に手のあとがついていなかったかの説明がついになかったし、流れはひどいもんなのに(ダンナが刑務所に入っている、というくだりあたりから、かなり行き当たりばったり感が)最後まで読むのをやめられない。
「影」がいちばん面白かった。後書きにも書かれているが、当時の鬼編集部の姿が生き生きと描かれ、読んでいてほくそ笑んでしまう。
トリックや事件そのものがというのではなく、そこに致るまでの人間の葛藤、喜怒哀楽、ペーソスが、読んだあとも忘れられないものになっている。かっけぇなあ、昭和の文豪。