松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中編が二本。どちらも舞台はヨーロッパ。表題作はオランダとベルギー、「セント・アンドリュースの事件」はスコットランドで物語が展開する。「物語」と言っても、表題作の方は実話を基にしているようだ。そういえば松本清張は、実際に起こった事件を取材して犯人を勝手に想定してしまうという類の作品が結構あった事をこの本を読みながら思い出した。二十年以上前の歴史の謎を解くテレビ番組「歴史への招待」にも出ていた記憶があるし、五年くらい前に読んだ『日本の黒い霧』では、戦後立て続けに起きた怪事件(三鷹事件、下山事件、帝銀事件…)を清張先生、全部GHQの陰謀と推理しておられた(結構説得力があって面白かったと記憶している)
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アムステルダム運河殺人事件
アムステルダム運河に投げ込まれた、首と手首がない胴体だけの死体入りトランクをめぐる犯人探しのストーリー。石田物産の駐在員、坂崎次郎が浮かび上がる。オランダのベルケム高等警部が犯人と目した人物は交通事故で死亡してしまい、事件は謎のまま迷宮入りとなる。
のちに総合雑誌記者の「私」と久間が登場し、当時の新聞記事やベルケム警部の話や坂崎と接した人々の話から、事件を解いていく。「私」の推理、さらに久間が確定的な推理で事件を解き明かす。
他に「セント・アンドリュースの事件」を含む -
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風の息(中)
史実に疑問あり。あれやこれやと想像を巡らし謎の解明に迫るストーリー、ただしここは、フィクション。風の息(下)は未読だが、史実の疑問が解けるわけではない。清張小説はどんでん返しの結末が魅力だが、風の息(上)、(中)とも、ダラダラと中途半端な空想が続く。史実もどきを前提にして展開すれば、きちんとしたエンターテイメント小説になったのでは、との思いにかられながら読むこととなる。(下)は読むべきか読まざるべきか?
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花氷
三人の女性を騙し続け利用し、周囲を欺く悪徳業者のストーリー。女性をしいたげる物語の展開は清張小説によくみられる。中身の薄い小説と言えるでしょう、好みではない。