あらすじ
妻の一方的な嫉妬に悩まされる画家の矢沢辰生は、妻に仕事も金も管理され、さらにはあらぬ浮気の疑いをかけられ酷く責められる日々に身も心も限界を迎えていた。そんな中、彼は1冊の小説「死せるパスカル」に出会う。自分を死んだことにしてでも自由を求める主人公に深く共感した矢沢は、妻による無理心中を装った完全犯罪を画策するが……。歪んだ夫婦の心理に鋭くメスを入れる傑作サスペンス。表題作の他、「六畳の生涯」を収録。
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Posted by ブクログ
松本清張全集39。文春の宮部みゆき松本清張短篇コレクション下にも収録されてます。恐妻家にオススメの一冊。心理描写が秀逸。主人公には逃げ延びて欲しかった。
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表題作の他、「六畳の生涯」二篇を収録。
「生けるパスカル」
画家の矢沢辰生は、美術雑誌記者の森禎治郎がいう外国の小説の話を、近来これほど身を入れて聞いたことはなかった。
天野仙太は二流どこの画商である。絵の催促に来たらしい。
スミ子というのは五年前に矢沢が問題を起こしたモデル女で、鈴恵は未だにそのことにからんでいる。
鈴恵の調子が狂ったきっかけは、瀬戸内海のある都市から岩沢明美が彼をたよって出京したときにはじまる。
最近、矢沢の家の近くで、この羽虫が多く飛んでいた日が調査でわかった。ガス中毒の前夜遅くから当日の午前七時すぎまでであった。
描かなかった絵に、羽虫がどうしてカンバスの塗りたての絵具にまみれていたのか。警察は約三時間の矢沢の「時間待ち」の内容を知った。
ほとんど、妻の言い掛かりに耐えていたが、ある夜、ガス自殺企てて、妻を殺すが、
「六畳の生涯」
ところが、瓶の白い粉の高さが前のとおりに戻っている。あきらかに誰かが十五グラムぶんを補充しているのである。 あの将校行李の中の粉末が、この瓶に入れられていた。── 13
「一盗二婢」
1. 盗(人妻・他人の恋人)、2. 婢(下女・召使い)の順に興奮するという、不道徳な関係ほど好まれるという好色の格言・風刺です。
一日休んだトミは、翌日から出てきて、三日間働いた。三日間というのは、それ以上に彼女が生存しなかったからである。──
「トミさんよ、おじいちゃん。うちに手伝いに来ているトミさんよ。今朝、ご亭主と死んでいたのがわかったんだってよ」
警官は、犯罪ではないので、無理心中としても犯人もいっしょに死んでいるので、捜査の対象にならないと判断し、そのまま死体を持ち帰ることになった。
──すると望子が葡萄酒をトミに与え、しかる後に、さりげなく看護婦に暇を出す……こういうことも考えられないだろうか。
博作は、心臓をどきどきさせて歩き出した。どっちにしても、彼にとっては鬼の棲家に帰るのである。
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妻に殺される前に、殺したい……。歪んだ夫婦の心理を描く傑作サスペンス!
妻の一方的な嫉妬に悩まされる画家の矢沢辰生は、妻に仕事も金も管理され、さらにはあらぬ浮気の疑いをかけられ酷く責められる日々に身も心も限界を迎えていた。そんな中、彼は1冊の小説「死せるパスカル」に出会う。自分を死んだことにしてでも自由を求める主人公に深く共感した矢沢は、妻による無理心中を装った完全犯罪を画策するが……。歪んだ夫婦の心理に鋭くメスを入れる傑作サスペンス。
生けるパスカル 新装版
1編目は、画家の矢沢辰生とそのマネージャーである妻の鈴恵の物語。矢沢は妻のヒステリーに日々悩まされている。彼はイタリアの作家の小説「死せるパスカル」のパスカルへ羨望を覚える。
2編目の「六畳の生涯」は、元医者の老人、志井田博作とお手伝いの倉吉トミの物語。博作はトミに好意を寄せるが。
清張といえば社会派推理小説作家といわれるが、本小説は主人公の日常心理や日常の振る舞いが、滑稽さを交えて永遠と語られていく。
最後の最後で事件は起きる。