原田マハのレビュー一覧
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原マルティノ×俵屋宗達×ミケランジェロ・カラヴァッジオをつなげる、アート×歴史の小説。
まだ20歳にもならない少年達が、家族や故郷を離れ、帰って来られる保障のない長旅に出るのは、
特に別れのシーンは身に迫る切実さだった。
今でこそ飛行機で行き来できるヨーロッパも、当時は数年がかりの命がけの船旅になる。改めて今の時代に生きられていることに感謝したい。
上巻は一気読み出来たが、下巻は少しペースダウン。
今回は少しフィクション味が強かったか、、?
史実との乖離を認識してしまうと、じゃあ今読んでいるこれは一体何なのか、と冷静になってしまう自分がいる。世界観は大好きなのだけど、フィクションと割り切る -
Posted by ブクログ
ネタバレ京都の雅な世界の中で描かれる、人間の業。
「異邦人」として頑張る菜穂を描いているのかと思っていたが、菜穂は異邦人どころか京都にDNAを持っていた。まさかのどんでん返し。
ただ、その背景を知ると、菜穂の言動に合点がいく。モネの睡蓮が売られた時、友の訃報に触れたような悲しさ、と言っていたが、それもそのはずなんだろう。実の父と母が亡くなっている以上、自分には父が引き継いでくれた審美眼と、父が残してくれた絵画、美術館が菜穂にとってのよりどころ。それらが自分の意志とは関係なく第三者に渡される、しかもお金のために、というのは、自分の尊厳が傷つけられた気持ちになるのだろう。
また、この本によって、アートを -
Posted by ブクログ
ネタバレ4人の女性の4つのお話。
「天国の蝿」は、初っ端から心にじんと沁みるいい話だった。正直、借金まみれの父親になぜそこまで優しい感情を持てるのかわからないが、子供は親を憎めないことと同じで範子も心奥底では父親を愛していたのだろう。
「ごめん」は1番好きな話だ。世の中には様々な夫婦関係があって、奇妙だと思えることも普通に罷り通っていて不思議な気持ちになった。植物状態になった夫の秘密を知った陽菜子は、後悔するだろうと思った。死ぬことよりも脳死や植物状態に陥ることのほうがよっぽど怖い。
表題作の「夏を喪くす」はタイトル通りの話だと思った。生まれて死ぬまで共に過ごす予定だった、自分の乳房。それをなくす -
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Posted by ブクログ
表題作「ジヴェルニーの食卓」が飛び抜けて好き モネが好きというのもあるけど、モネがこだわりぬいたという眩しい庭や『アトリエ』の景色、匂いが感じられる文章…… わたしもジヴェルニーの大きな庭で、大きなテーブルで一緒に食卓を囲んでいる気分になる
タンギー爺さんのお店は心強いしすごく楽しそう、画家ってわりと孤独になりがちな職業だと勝手に思ってるからこういう同業者と気兼ねなく話せる場所があることはきっと支えになっていたはず
「エトワール」が地味に衝撃作 バレリーナたちがパトロンとなる男性に見つけてもらえるように踊っていること、仕方ないけどなんか嫌 それにしても絵の具の始まりがチューブじゃなくてシリ -
Posted by ブクログ
大好きな原田マハさん。
お盆の連休中に地元に戻った際に、
駅前の書店で発見しました。
私が住んでいた地元は、駅前が開発されて、
大きな書店があるんです。
帰るときは必ず立ち寄ります。
ずっと気になっていた一冊だったので、
綺麗な在庫を見つけて歓喜でした…!
2019年に開催された展覧会(なんと清水寺らしいです)のために書かれた本書。
20名の巨匠(星)たちとコンタクト(インタビュー)している作品。
ゴッホやマティスもいますが、
黒澤明、宮沢賢治を含め、
たくさんの才能を持った方々達が登場します。
マハさんがインタビューしたら…
という設定で話が進みますが、
マハさんの手にかかると、