原田マハのレビュー一覧
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雰囲気からしてきっと自分が好きな青春小説、でもって自分の大好きな放浪息子の作者である志村貴子先生のイラストが表紙になってたらそりゃ買うでしょ……。
お年を召された(オブラートに包まれた表現)売れっ子漫画家が高校時代を振り返る、という形で進む話だったのでちょっと期待とは違ったものの、甘酸っぱい少女の体験とかけがえのない友情が描かれた素敵な物語だった。
自分の中で「岡山」というと宮本武蔵出生の地、もしくは5時に夢中!の木曜レギュラーである豹のオバサンこと岩井志麻子さんくらいのイメージしかないんだけど、この本を読むことでそのうちふらりと訪れてみたい場所、になった。元々実際の土地が舞台になっている作品が好きで、なんでかっつーと登場人物達が過ごした街の空気を直に吸うことで、より物語を感じられると信じているから。今作では武美が魅力的な女の子だったから、鶴見橋にはいつか行ってみたい、という気持ちにさせてくれた。行ってみたい、じゃなくてな、でーれー先の話になったとしても、絶対行かなきゃおえんよ。よろしゅーな、未来の俺。 -
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ささやかな独立をテーマにした連作短編集。
短編といっても、それぞれのお話は10ページずつくらいの超短編集だ。今回のお話のチョイ役で登場した人が次回の話の主役に、という感じで繋がっていく。ただ、登場人物がほんの少し重なっているだけで、ストーリー自体が繋がっているわけではなく、それぞれが独立した物語。
物語の構成がお得意なマハ氏ならではの、「よくできた」24の短編。どれも温かく、読み終わった後にはこちらもほんの少し勇気をもらえる。
ひきこもりの漫画家とおばあちゃんとの交流を描く「バーバーみらい」と、いじめ問題に立ち向かう中学教師の「真冬の花束」が個人的には良かったです。
2019/01 -
Posted by ブクログ
<内容紹介より>
人気、実力とも当代随一の作家5人が腕を競う、恋愛小説アンソロジー。3年越しの恋人が無断で会社を辞めてショックを受け、結婚を焦るOL。夏の日、大人の異性との出逢いに心を震わせる少年と少女。長年連れ添った夫婦の来し方、そして行く末。人の数だけ、恋の形はある――。人の心が織りなす、甘くせつない物語の逸品。
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どの作品の程よいボリュームですらすらとよむことができました。甘酸っぱい「有川浩」的な恋愛要素を求めて読むと、少し肩透かしを食うかもしれません。
もちろん、恋愛特有の甘酸っぱさはあるのですが、「ベタベタ」した感じはなく、どの作品もスッキリとしています。
大きなどんでん返しがあるわけでもなく、どちらかというと淡々とつづられている印象ですが、だからこそリアリティがあるというか、実際の体験や経験を思い出しながら読むことができました。
思春期の中学生男子とかでも、大きな抵抗感を抱くことなく読めるのではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
8人の語り手による短編集。
本を通して見た世界はこんなにも多く、こんなにも刺激的。
広がる世界の面白さを、あなたに。
『メアリー・スーを殺して』
メアリー・スーとは聞きなれない言葉だった。
一体それは誰?
この人物は、二次創作における、書き手の願望を一身に背負った自己愛の塊というべき人物。
つまり、イタいキャラクターであり、ご都合主義的な登場人物ということらしい。
ありがちな設定だ。
プロの作家なら、それらを上手く操れるのだろうが、残念ながら多くの書き手はそうではない。
自分の妄想とありがちな設定と底の浅さが露見する、書いている本人だけが満足できるという代物。
このことに気づいた主人公、如月ルカは彼女を徹底的に排除すべく努力を開始する。
それが彼女の扉を開けた瞬間だった。
好きなことをもっと上手くなりたいと熱望し、自らを客観的に眺め、己と戦った。
そして彼女はメアリー・スーと再会する。
その再会は、きっと彼女にとって、大切な瞬間だったことだろう。
『校閲ガール』
出版社の校閲部に配属された悦子は、この仕事が好きではなかった。
好きではなかったが、雑誌編集部に行くために彼女は真面目に、完璧に仕事をしていた。
今や、素人が好き勝手に情報を配信できる時代。
しかもその垂れ流す情報の多くはたった一人で書き、他人の目を通さぬまま世界中に発信される。
だから、変換ミスもおおいし、誤用も多い。
私も自分の文章を読み直しているかと問われたら、毎回はやっていない、というか、ざっと目を通すだけできっちり訂正をかけてはいない。
だが、出版物はそうはいかない。
一応、他人の目が入っているはずなのだ。
さて、嫌だけど、嫌だから、悦子はきっちり仕事をこなす。
言葉遣いはなってない、かもしれないが、意味もなく人を批判してくるわけではない。
ゆとりと言われようが、商売女っぽいと言われようが、その相手にあるだろう思い込みを壊す感じが好きだ。
実際にこんな人が後輩にいたら面倒だろうが、それはそれで面白いかもしれない。
ただ、私のような大雑把な人間に校閲が務まるかはかなり怪しげなところだが。