池波正太郎のレビュー一覧
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剣客商売シリーズ六作目
剣士の三冬に訪れた最大の危機。
抜け荷に関する事件に巻き込まれ、囚われ監禁されてしまったのだ。
その時の大治郎の動揺といったら…。
でも、それで晴れて二人は結婚することに。大治郎から言うのではなく、意次から頼まれて…というのが何とも大治郎らしいです。
ちょっとあっさりしすぎて拍子抜けしたのと、唐突だなぁ…という思いはあるけどめでたしめでたし。
さて、夫婦になった二人は…というと、三冬の若妻ぶりが初々しくてかわいい。これまで剣術に没頭して来た分、家事がほとんどできないんですね。
大治郎から、「さ、おあがりなさい」と渡された飯を「かたじけない」「む…これはうまい」と食べ -
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半世紀以上のあいだ映画を愛し,観続けてきた達人の映画ガイドです。対談の語りおろしをまとめてものです。本書タイトル中の「見る」は著者の映画に対する愛情が籠った表現なのではないでしょうか。どんなにつまらなく感じる作品にも見所はありますということだと思います。
第三章 「なぜ映画を観るのかといえば」のなかで「これは映画ばかりでじゃなくて、小説を読んでもそうなんだけれども、無意識のうちに、いろいろなことをもっとしりたいと、好奇心にあふれている人が一番得をする」と、また、「人間というのは、自分の人生だけしか知らない。一つの人生しかしらないというのでは、やはり、さびしいわけだよ。だから、小説を読み、芝居や -
Posted by ブクログ
主人公が仕える信玄の病状が進むにつれ、
話も少しずつ悲惨な方向に行くのは否めないか?
忍びが家庭を持ち、妻をめとって子をもうける。
それが彼らにとっては時に、足かせにもなる。
人間として、男として、夫として、信玄の足下として。
成長し、また苦労する笹之助。
甲賀忍者のやりとりや塚原卜伝との交流など、
本当にきめ細かに描かれる相関図が物語にさらなる深みを与える。
ちなみに私が池波作品を好きなのは、
地の文章に常に、情景が浮かぶ要素が盛り込まれているから。
それが忍者モノだと特に、際立った映像感が伝わってくる。
最初の数ページ、最後の数ページは特に、
読みながらまるで映画を見ているかのよう