池波正太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
半世紀以上のあいだ映画を愛し,観続けてきた達人の映画ガイドです。対談の語りおろしをまとめてものです。本書タイトル中の「見る」は著者の映画に対する愛情が籠った表現なのではないでしょうか。どんなにつまらなく感じる作品にも見所はありますということだと思います。
第三章 「なぜ映画を観るのかといえば」のなかで「これは映画ばかりでじゃなくて、小説を読んでもそうなんだけれども、無意識のうちに、いろいろなことをもっとしりたいと、好奇心にあふれている人が一番得をする」と、また、「人間というのは、自分の人生だけしか知らない。一つの人生しかしらないというのでは、やはり、さびしいわけだよ。だから、小説を読み、芝居や映画を観るんだよ」語り、「本能的な欲求」として芸術があるのだとしていることに考えさせらました。物事に意義づけや価値観をもたせようとついついしてしまいがちなものでハットする言葉でした。
第二章 「見方によってもっとおもしろくなる」のなかで、「映画文法」というつくる側と観る側の暗黙の約束事に関しての記述は、監督、脚本家、役者の関係をとおして観客がいかに映画をみていくかということにおいて参考になる記述でした。また、原作、シナリオをに関してとの記述や舞台と映画の差異、カメラ、フィルム、音楽に関しても今まで映画にさほど興味がなかったものにたいしてもわかりやすい話でした。
とても興味をもったのは、「「観てからから読むか、読んでから観るか」は問題ではない。大事なのは両方を比較する姿勢。」という章題ですが、昔の角川のCMのコピーのようなタイトルですが、徹底的に「比較」するというこが学問や芸術にとって重要な課題だと思います。
舞台「剣客商売」で主役の加藤剛に「すっと一段上がれ」と映画でのクローズアップの手法を舞台でこなす方法を教える話は、さすがにこの著者はわかっているなという話ですね。
90分から2時間でまとめられた映画というものを1本でも多くみたいなと思わせてくれる1冊です。 -
Posted by ブクログ
主人公が仕える信玄の病状が進むにつれ、
話も少しずつ悲惨な方向に行くのは否めないか?
忍びが家庭を持ち、妻をめとって子をもうける。
それが彼らにとっては時に、足かせにもなる。
人間として、男として、夫として、信玄の足下として。
成長し、また苦労する笹之助。
甲賀忍者のやりとりや塚原卜伝との交流など、
本当にきめ細かに描かれる相関図が物語にさらなる深みを与える。
ちなみに私が池波作品を好きなのは、
地の文章に常に、情景が浮かぶ要素が盛り込まれているから。
それが忍者モノだと特に、際立った映像感が伝わってくる。
最初の数ページ、最後の数ページは特に、
読みながらまるで映画を見ているかのようだった。