あさのあつこのレビュー一覧
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江戸時代、商家の一人娘のお八重。少女のお八重が恋を知り、大人になっていく成長物語。
江戸を騒がせる強盗の事件も絡み、捕物帳としても読める。
お八重が出会う「川獺」が、まあとても良い男。危険を帯びた謎めいた佇まいが魅力的で、少女も恋しちゃうでしょう、それは。
知ってしまったら知らなかった頃には戻れない。それが大人になるということ。と、解説にもあった。
ごく当たり前の少女が、恋を知って、戸惑い、思いだけで動くことはできない身の上で、何を考えてどの道を選びとるか。みずみずしい少女の感情が眩しい。
青春がしんどいタイプなので、あまり感情移入しないように読んだ。
大丈夫な人なら、この作品をもっと楽しめ -
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ネタバレ監督、おれの生徒です。
ああと短く答えた。誇らしげな響きが嬉しかった。個人の力量に関係なく、勝敗に惑わされず、なんの条件も負荷することなく、子どもたちを誇らしいと感じることが、指導者としての一歩だ。教え子が、スタートラインに立ったと知ることは、嬉しい。
無条件に、子どもたちを誇れ、尊べ。自分の持っているものを伝え、託し、信じて、限られた時間をともに生きてみろ。そんな機会をあたえてもらって、おまえ、幸せじゃないか、真。
監督、おれの生徒です。
そうだ、おまえの生徒だ。それがわかるようになったか。たいしたもんじゃ。おもえも、ちっとは大きくなったな。正直、羨ましい。
「横手というのは、ほんまにいい -
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この本の主人公は中学一年生の4人だ。
おとなしめで、家庭に少しの寂しさを感じている茉里。
誰かと群れることはしない、恋愛とかまだよくわからないクール系の深雪。
陸上部で、友達が多くお調子者の真吾。
父親を心配する、中学受験失敗した過去を持つ千博。
中学生になると、小学校にいたときと全然違ってしまう。これは多くの大人が経験したことだと思う。
放課後公園で一緒に遊んだりしてた異性の同級生と、途端に距離ができてしまう。あだ名で呼び合っていたのに、苗字にさん付けで呼んだりする。
ちょっとしたことで傷ついたり、深く悩んだりする。
自意識過剰な時なのだ。
この本では、四人は「住む街の年表をつくる」とい -
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ネタバレラストのネズミの独白に息が詰まった。
ネズミは紫苑に対して「余計なものを背負い込むな」と何度も言うのは、自分にも言い聞かせているということだったのか…。
この時点で紫苑との繋がりはネズミの中にできてしまっていて、ネズミもそのことに幸か不幸か気がついている。
光の中にいる紫苑は闇の中で生きてきたネズミにとって、まぶしすぎる。
小学生以来の再読だが、ほぼまっさらな気持ちで楽しんでいる。
相変わらずイヌカシが好き。頑張って虚勢張っているけれども、ネズミにははるかに及ばない感じが応援してしまう。
意外だったのは、力河に対して嫌悪感を抱かなくなっていたこと。決して褒められた人物ではないが、人間くささを