あらすじ
浅草の油屋・利根屋の娘お玉に、本所髄一の大店の主人との縁談が持ち上がった。しかし見合いの前日、お玉は置手紙を残して姿を消した。利根屋の体面と命運のかかった縁談である。身代わりとなったおまいは、当日、〈えにし屋〉を名乗る謎めいた女の元で、美しく着飾らせてもらい見合いの席に臨む。しかしその後もお玉の行方は一向に掴めないままで……。浮世には結びたい縁もあれば切りたい縁もある。縁を商いとする者と頼る者の光と影に、心揺さぶられる長篇時代ミステリー、シリーズ第一作。
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Posted by ブクログ
弥勒シリーズが好きで最新の文庫化を
待っている間に読もうと購入。
それなのに予想以上に面白く、
先が気になってドクドクした作品。
(ドキドキというよりドクドクって感じ)
ちょっぴり人の闇と重さがありつつ
結末に少しスッキリする。
出てくるキャラも何気に濃くて深そうなので
続編や番外編なども、あったら良いな。
Posted by ブクログ
浮世には結びたい縁もあれば切りたい縁もある。縁(えにし)を商いとするえにし屋に持ち込まれる依頼は、からまった人間模様が紐解かれていくと驚きに真実が現れてくる。えにし屋の面々はビジュアルが浮かんできそう。映像化されると良い時代劇になりそう。
Posted by ブクログ
探偵小説みたいで、一人の人の言動を多角的に見ていくのが面白かったです。そして、花曇りのおまいちゃんがかっこよくて好きです!寂しさ侘しさ辛さを自分のものとして、排除しないで受け入れて生きて行くっていうのがいいですよね~。
Posted by ブクログ
花曇り 夏の怪の二本立ての物語りです。
花曇りは 奉公人のおまい に大店の旦那との見合い話しが転がり込む。
その旦那は 養子で おまいが子供の頃長屋で一緒だった初恋の人
お嬢さんがもちろん見合いするはずだったのに 他に好きな人がいて家出してしまった。
代わりにおまいが。
という まあよかったね!の話しなのですが
おまいが断ります。
私は仕事が手放せない。仕事をしているから 自分の居場所がある。
現代的なのか 昔の女だって本当はそう思ったのか?
あるいは大店の旦那になった男が ちゃんとおまいを
口説かなかったのが悪かったのか?
おまいは 自立した仕事のできる女になって自信が持てるようになります。
夏の怪は えにしやの昔の話しから 人を食う気持ちの悪い美人の奥方がでたりの話しです。
まとまってるのか まとまってないのか?
花曇りのほうが まとまってますね。
Posted by ブクログ
面白かったー。
この感じ大好き!シリーズ化になるんだろうか。
孝子の気持ちもわからないではない気がするけど、作之進への憎悪はちょっと辛い。でもあんな目にあっていたら、「男」に対して真っ当な気持ちは抱けないかな。
Posted by ブクログ
親に疎まれて育った利根屋奉公人おまい。お見合いを前に逃げ出したお玉の身代わりになりえにし屋のお初と出会う。自己肯定感の低かったおまいが自分の考えをしっかり持って大店の旦那を袖にするとは痛快。二つ目はなんとも怖い、まるでホラーのような女の話。孝子は哀れまれた怒りから吉野様を殺しちゃうけど吉野様から愛情は感じてなかったのかな?えにし屋にきた時から吉野様は孝子を恐れながらも愛情があったと思うんだけどなぁ。
Posted by ブクログ
「花曇り」「夏の怪」の2短編からなるが、“美女”に変身しているイケメンお初とそのお頭の才蔵、そして通い女中のお舟、少年・太郎丸の江戸・浅草の「えにし屋」が舞台となり、謎の依頼人の問題を解決していく。「花曇り」は母に疎まれ不幸の中で生きてきた女性おまいとその女主人・お玉、お多美たち女性全てにとって明るい解決、その中でおまいの強さが爽やか。「夏の怪」では妻が死体を喰うという鬼になったという不気味、不思議な相談の謎が解けていく。しかし、後味の悪さの残るラスト。この中で、お初と才蔵の過去が明らかにされ、この物語の原点が興味深い。