佐藤雫のレビュー一覧
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細川忠興とその妻・玉(洗礼名ガラシャ)の物語。約30年前、三浦綾子さんの『細川ガラシャ夫人』で読んでいたので、結末は知っていました。それでも、ラストでは涙が止まりませんでした。
三浦綾子さんの著書は信仰の描写がより深かった記憶がありますが、本書はそれ以上に、忠興と玉という「ひとりの人間」としての苦悩が強く心に残りました。
信仰を得た後の玉は、さらにまっすぐで、強くて、揺るがない。
けれどその強さは、ときに忠興の思いを置き去りにしてしまったのではないか。そんな切なさを感じる場面もありました。
もう少し、忠興の心に寄り添ってあげてもいいのでは?と。
でも、父・明智光秀のことを思えば、玉がどれ -
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佐藤雫さんのデビュー作『言の葉は、残りて』に感銘を受け、本作を手に取りました。
舞台は戦国、茶々(淀殿)と大野治長の生涯を描いた物語です。 これまで茶々に対しては「気が強く、野心家、悪女」というステレオタイプな、あまり良くないイメージを抱いていました。しかし、本作を読んでその印象が一変。歴史は勝者の視点で語られることが多いため、彼女の否定的な側面ばかりが強調されてきたのかもしれません。
運命に翻弄されながらも、最後まで互いを想い合い、支え合おうとする二人の姿はあまりに切なく、胸を打ちます。
本作で茶々は最後、「豊臣家を必死に守ろうとした一人の人間」としても描かれています。親の命を奪われ、 -
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幕臣の中で悪名高く語られる小栗上野介。
勝海舟と比較され、良い印象を持たれていない。その小栗を真正面から描いた一冊としては、最高の作品だと思う。
三河以来のご譜代の旗本ゆえに、愚直なまでに徳川を見捨てることが出来ない生き方も(一種の)武士だな~と。形は違えども消滅する幕府の中で奔走し、何かを残そうとする姿は、勝海舟と通ずるものがある。
作品の性質上、しょうがないんだろうけど、勝と慶喜の描かれ方がかなり悪人で、何もできなそうに読めてしまった。
「百年後に生きる人々のネジ」を目指した小栗の行動は、今まさにそうなってるのではないか。最後の最後まで、お金をどう使うか。それを真に現した生き方だった -
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2027年の大河ドラマの主人公、小栗忠順の物語。最後まで幕臣であることを貫き、最後は斬首される。倒幕側からではなく、倒される幕府側にいた者で、なおかつ先の世を見つめ、民のために国のために国益になるものを残そうとした。先見の明があったにも関わらず、旗本としての自分を最後まで貫き通した。疱瘡痕を残した見た目は男前ではなかったかもしれないが、その生き様は、倒幕や大政奉還に巻き込まれながらも、ぶれることなく国としての未来を見つめて、幕臣として闘う男前な生き様だった。
今風に言うと忠順は、ダメな経営者の下で働く、とびきり財務能力のある部下、かな。
立場が違うと、こんなにも見え方が違う。そして、矜持を持つ -
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鎌倉三代将軍・源実朝の理想と現実を、哀しくも美しく描いた歴史ロマンです。歴史小説というよりは、一人の青年の生き様を丁寧に綴った内容で、歴史小説が苦手な方にもおすすめです。
和歌を愛し、武力ではなく「言の葉」の力で世を治めようと願う青年将軍・実朝と、彼を支える御台・信子の運命が煌めくような筆致です。著者は本作でデビューし、小説すばる新人賞受賞! ひょっとして実朝に恋してる? と思うほど、魅力的な人物造形と描写に感心しました。
平安初期の「古今和歌集」序文(紀貫之) 〈やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞ なれりける〉が、実朝の理想とするところでした。
千年も昔から、「伝 -
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今まで実朝にはあまり良いイメージがなかった。「武から逃げたかっただけじゃ?」「なんでそんなに和歌?」「あっさり前世の話に騙された挙句、港にならない地形でもろい船なんか作っちゃって」とか。でも武に依らない統治を目指し、人によって態度を変えない強さを待ち、当時珍しかったであろう妻onlyっぷりに、真の優しさを持った人だったのかなと思い、好きになりました。
実朝以外の人についても、人物描写がはっきりしていて面白かったです。
歴史時代小説には、難しい漢字にも「知ってるよね」的にふりがなが少ないものが多いですが、この本は読み方のみならず、それについても説明的にならずにさりげなく説明してくれていて、分かり -
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歴史小説というより恋愛小説として読んでたけど、ちゃんと歴史の通説もしっかり抑えたうえで、玉と忠興の心情をしっかり描写している。本能寺の変の頃や関ヶ原の時の2人がどんな思いでいたのかを書いた話ってあんま聞いたことなかったので、こういう解釈があるのかと。途中は忠興に食傷気味になるんだけど、最後は泣かされた。
心のままに、玉は忠興の妻として死ぬことを選んだけど、それはキリシタンとして救いがないわけではないことをオルガンティーノに語らせるとこがまたいい。タイトルが最後にわかるのね、ガラシャと呼んでやればよかったと。
著者が同年生まれという縁もあって、応援したい。 -
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細川忠興とガラシャの幼少期から結婚、そして細川邸の炎上に至るまでの愛の物語。
最初から、もう…文体が美しくエロい。いや、違うな…艶があって蠱惑的。
めちゃめちゃうっとりしました…。
私は細川忠興様=日本一のモラハラ武将だと記憶しておりましたがね。
佐藤雫さんが描くと、なんとこんなに美しい愛の物語(一部ご乱心表現あり)になるんだ…とクライマックスは泣きました。
しかも忠興様、ほぼ全女子が大好物の「不器用&一途」からのグッドルッキング!!口から砂が止まりませんでした。
そして、織田信長から豊臣秀吉、徳川家康へと政権が変動してい時代の中での細川家とガラシャさんの苦難の運命をここまで細かく