佐藤雫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
佐藤雫さんのデビュー作『言の葉は、残りて』に感銘を受け、本作を手に取りました。
舞台は戦国、茶々(淀殿)と大野治長の生涯を描いた物語です。 これまで茶々に対しては「気が強く、野心家、悪女」というステレオタイプな、あまり良くないイメージを抱いていました。しかし、本作を読んでその印象が一変。歴史は勝者の視点で語られることが多いため、彼女の否定的な側面ばかりが強調されてきたのかもしれません。
運命に翻弄されながらも、最後まで互いを想い合い、支え合おうとする二人の姿はあまりに切なく、胸を打ちます。
本作で茶々は最後、「豊臣家を必死に守ろうとした一人の人間」としても描かれています。親の命を奪われ、側室とさせられ、憎しみはあったと思うのですが。
豊臣家、というよりは秀頼を、という方が適切かもしれません。となると、彼が大野治長との子であったという説(本作での解釈もまた)を前提にするなら、茶々が守りたかったのは「秀吉の血筋」ではなく、「自分と愛する男の間に生まれた命」ということになります。どうなのだろう?
また、本作でもう一人印象的だったのが真田信繁(幸村)です。これまでいくつかの作品で彼の生き様に触れてきましたが、本書での描かれ方も一本筋が通っており、その格好良さが際立っていました。 -
Posted by ブクログ
鎌倉三代将軍・源実朝の理想と現実を、哀しくも美しく描いた歴史ロマンです。歴史小説というよりは、一人の青年の生き様を丁寧に綴った内容で、歴史小説が苦手な方にもおすすめです。
和歌を愛し、武力ではなく「言の葉」の力で世を治めようと願う青年将軍・実朝と、彼を支える御台・信子の運命が煌めくような筆致です。著者は本作でデビューし、小説すばる新人賞受賞! ひょっとして実朝に恋してる? と思うほど、魅力的な人物造形と描写に感心しました。
平安初期の「古今和歌集」序文(紀貫之) 〈やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞ なれりける〉が、実朝の理想とするところでした。
千年も昔から、「伝えたいこと(事=言)は、心を種として、伝える相手の心に蒔かれ、やがて成長し、その葉が生い茂る」と…。和歌の中に、現代に通じる「言葉の力」の原点を見る思いがしました。
そんな、今の時代を先取りするような感性をもつ実朝の理想は、陰謀蠢く不穏な鎌倉という時代が許さず、実朝の望まなかった熾烈な権力争いに巻き込まれていき…。
それでも、抗うことのできない現実から逃げず、自身の運命に毅然と対峙する実朝の姿に、涙を禁じえません。単なる〈ひ弱な悲劇の将軍〉ではなく、〈美しい「言の葉」を愛した青年〉なのでした。
享年28歳の青年将軍。その理想は、800年後の今、叶えられているのでしょうか? 読後、勝手な自己陶酔への没入感覚に陥る(危険な)一冊でした。
空蝉の世にも似たるか花桜
咲くと見しまにかつ散りにけり
(古今和歌集 読み人知らず) -
Posted by ブクログ
今まで実朝にはあまり良いイメージがなかった。「武から逃げたかっただけじゃ?」「なんでそんなに和歌?」「あっさり前世の話に騙された挙句、港にならない地形でもろい船なんか作っちゃって」とか。でも武に依らない統治を目指し、人によって態度を変えない強さを待ち、当時珍しかったであろう妻onlyっぷりに、真の優しさを持った人だったのかなと思い、好きになりました。
実朝以外の人についても、人物描写がはっきりしていて面白かったです。
歴史時代小説には、難しい漢字にも「知ってるよね」的にふりがなが少ないものが多いですが、この本は読み方のみならず、それについても説明的にならずにさりげなく説明してくれていて、分かりやすかったです。歴史的結果が分かっているので、途中から終わってほしくない思いで読みました。
今、鎌倉はまるで、食べ歩き、インバウンドのエンターテイメントの街のようになっているのが少し残念です。私自身は歴史を感じに行くのが好きなのですが、今度は改めて永福寺跡や鶴岡八幡宮を踏みしめたいと思います。 -
Posted by ブクログ
緒方洪庵が素晴らしすぎる!!
なんて凄い人なんだ!!
聞いた事ある名前だなと思ったら大好きなドラマ
「仁」の武田鉄矢じゃないですか(꒪⌓︎꒪)
仁での武田洪庵はそれは素晴らしい人で死ぬ前の2人の語る場面は号泣でした(꒦ິ⌑︎꒦ີ)
と言う事で武田洪庵もとい緒方洪庵です。
医師で蘭学者の緒方洪庵は当時まん延した「天然痘」《発症すると高熱が出て化膿性発疹が起こり、致死率も高い》を英国のジェンナーが開発した牛痘苗をワクチンに使う予防法をいち早く取り入れ、正確な情報を発信しつつスピード感をもって普及に努めた。
今では当たり前になった予防接種
「予め防ぐ」という考えさえない時代に命懸けで種痘を広め、痘苗を守ります。
全六章は
序章で妻・八重(この妻がまた素晴らしい)
適塾の門下生で三章…橋本左内、松本俊平、福沢諭吉
洪庵死後の終章と言う構成で、門下生は福沢諭吉は当然ながら後の2人も凄い功績を残した人達でした。
内容➕読みやすさで☆4
泣かせた武田鉄矢で☆5です:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。
もっとみんなに読んで欲しいなぁ…
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Posted by ブクログ
歴史小説を読んでいる際、特に史実をもとに創られた物語を読んでいるとき、いつも「これは本当にあったことか」「この部分は作者の虚構か」ということに引っ掛かる。地の文に歴史的背景が補足されている小説なら、さらに気になる。そういう癖があるので、余計にネット検索して自分にネタバレされることがちょこちょこある。今回も大方そうだったが、主人公二人の切実な物語に順調に入り込んで、途中から「虚実なんてどうでもいい」と思い始め、一気に読んだ。
実朝の源氏/北条の血を引くゆえの「宿命」と、信子の公家の娘であるゆえの「使命」がそれぞれの心に苦しい葛藤を引き起こして、それを抱えたからこそ、二人の間に生じた純粋な感情がとても清らかで愛しい。
また、権力に翻弄されながらも、流されずに、何度もつまずいても、言の葉で世を治めようとする実朝の決意も尊い。たとえ儚くても、言の葉は時代を越えて残るのだ。
少し虚構の部分もあるが、物語は実朝の生涯に起こったいくつかの事件に沿って時間順に進んでいく。すらすら読めるし、主人公の気持ちにも入り込みやすい。とても良い読書体験だった。 -
匿名
購入済み一気に読みました
静かに、美しい文章で、涙も誘われ、実朝夫婦の生き様を、読ませていただいた感じです。
世が世なら、きっと、武に頼らず、言の葉で導こうとした権力者は慕われたであろうに…、と、切なくなりました。